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単なる大学生の練習試合ではない。
韓国はリベンジを期して自腹で来日したそうだ。
関東大学選抜が8月に韓国へ遠征し、韓国を3-1で下している。
国家代表が地域選抜に敗れるのは屈辱だ。
「負けっ放しは許されぬ」ということらしい。

「日韓大学選抜サッカーフェスティバル」と銘打って2試合が組まれた。
全韓國大学選抜は関東大学選抜、全日本大学選抜と対戦する。
まず関東選抜との対戦だ。
会場は赤羽スポーツの森公園競技場である。
西が丘サッカー場のご近所に新設された球技専用スタジアム。
ピッチは人工芝で、客席の収容人数が千人くらいかな?
平日の昼にもかかわらず関係者、ファンで埋まっていた。

両チームとも4年生は参加していない。
関東大学選抜は全日本勢を抜いた編成である。
なお全日本大学選抜は「18分の15」が関東勢だ。
だからこのチームは「全日本ニ軍」とも言い得る。
関東の監督は明治大の神川明彦氏が勤めている。
試合前にFIFAアンセム、国歌が演奏された。
気分は国際Aマッチである。

関東大学選抜
GK  1 上福元直人 89.11.17 181/73 順天堂大
DF 18 不老祐介  90.08.30 177/69 筑波大
    4 松岡祐介  90.05.08 177/68 明治大
    5 谷口彰悟  91.07.15 180/67 筑波大
    2 奥田大二郎 89.04.23 167/63 明治大
MF  6 中里崇宏  90.03.29 174/70 流通経済大
    7 佐々木翔  89.10.02 175/67 神奈川大
   10 田中恵太  89.12.26 168/60 明治大
   11 三田啓貴  90.09.14 173/62 明治大
FW  9 林容平   89.07.16 176/61 中央大
   17 瀬沼優司  90.09.01 184/75 筑波大

−−−−-林-−−−−瀬沼−−−−
−−三田−−−−−−−−田中−−
−−−−−中里−-佐々木-−−−−
−奥田−−谷口−−松岡−−不老−
−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−-上福元-−−−−−−
■リザーブ:
GK 16 シュミット・ダニエル
           92.02.03 194/85 中央大
DF  3 大岩一貴  89.08.17 182/75 中央大
   12 若狭大志  89.07.24 180/70 東洋大
   14 瀬川和樹  90.04.25 176/73 国士舘大
MF  8 金子昌広  91.02.02 168/62 国士舘大
   13 湯澤洋介  90.12.31 166/64 駒澤大
   15 磯部想   89.12.01 177/68 中央大
FW 19 吉野峻光  89.04.24 178/67 国士舘大
   20 安柄俊   90.05.22 183/72 中央大

全韓國大学選抜
GK  1 チョン・ハンソプ  88.07.01 183/75 清州大
DF 23 ファン・ソコ    89.06.27 182/79 大邱大
    6 アン・ヨンギュ   89.12.04 185/73 蔚山大
   17 イ・ハンセム    89.10.18 185/80 建国大
    3 ソ・デウォン    90.02.19 174/72 韓国国際大
MF  5 パク・ヒソン    90.03.22 182/78 圓光大
    9 キム・ウチョル   89.07.04 179/73 壇国大
   13 ション・ドンジン  90.06.06 169/66 朝鮮大
   20 チョ・ヨンヒョン  89.03.02 183/73 東亜大
FW 12 ホン・ジュビン   89.06.07 183/75 東義大
   18 イム・ドンミン   88.07.26 173/67 麟蹄大

−−−−ホン−−−−イム−−−−
−−チョ−−−−−−−-ション-−
−−−−−キム−−パク−−−−−
−ソ−−−イ−−アン−−ファン−
−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−-チョン-−−−−−−

■リザーブ:
GK 21 イ・チャンシッ   89.09.09 192/80 培材大
DF  2 キム・テプン    90.04.15 170/66 韓民大
    4 イ・ギソン     89.04.07 175/65 又石大
   16 ムン・ジェギョン  90.11.29 187/80 藝苑芸術大
   24 チョ・ジュンヒョン 89.09.26 170/66 韓南大
MF  7 ソ・ソンミン    90.05.27 170/63 耽羅大
    8 ホ・ジェヒョッ   91.01.20 175/67 全南科学大
   10 ジン・サンフン   91.01.10 176/70 大邱芸術大
   14 チョ・ミヌ     91.12.11 172/68 草堂大
   15 キム・ユンソッ   90.03.09 166/56 乾同大
   19 パク・ギョクミン  90.05.08 177/72 明神大
FW 11 シム・ドンウン   90.03.03 169/67 弘盒大
   22 チャ・ジュンヒョッ 91.05.07 176/75 全州大
   25 キム・デグァン   91.01.18 161/58 慶雲大


試合前の練習で発見があった。
関東選抜の両GKがロングキックの練習をしている。
シュミット・ダニエルのキックが素晴らしかった。
ライナー性で精度も高い。
上福元直人は大半のキックを一歩も動かず捕球していた。
実戦で見る日が楽しみである。

序盤から関東選抜ペースだった。
韓国は4-4-2のゾーンDFである。
本来は前線から積極的に追いたかったんだと思う。
しかし日本の技巧が上回っていた。
韓国は詰めても奪えないから引く。
そうすると関東選抜のDF、ボランチが自由に持てるようになる。
仕掛け損ねた後のファーストDFもいい。
複数ですぐ詰めるから韓国は速攻に持ち込めていなかった。

7分、関東は田中恵太と佐々木翔が前後のパス交換。
佐々木翔がヒールで後ろに落とす。
田中恵太は1タッチでスペース叩く。
瀬沼優司がトラップして右足ミドルを狙う。枠外。

16分、関東は不老祐介が右サイドから折り返す。
林容平がDFの弾きを拾ってミドルを狙う。GKの正面だった。

19分、関東はボランチが縦に当てる。
三田啓貴が右に開く。不老祐介が攻め上がって中央に折り返す。
瀬沼優司のヘッドはGKがキープした。

21分、韓国はファン・ソコ→シム・ドンウン。
韓国は中盤に新しい選手を入れてテコ入れを図る。
布陣がこうなった↓
−−−−ホン−−−−イム−−−−
−−シム−−−−−−−-ション-−
−−−−−キム−−チョ−−−−−
−ソ−−−イ−−アン−−−パク−
−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−-チョン-−−−−−−


30分、韓国はイム・ドンミンに警告。
セットプレー時の距離不足。

37分、韓国はイム・ドンミンがスルーパスから突っ掛ける。
イム・ドンミンは谷口彰悟を抜いてエリア右からシュート。
決定的だったけどシュートミスをして枠外。

41分、韓国はホン・ジュビンが右から中にドリブルで切れ込んで左足ミドル。枠外。

この時間は韓国の勢いが日本を上回った。
しかし関東がすぐに主導権を取り戻す。

44分、関東は奥田大二郎が前線にクサビを当てる。
林容平と三田啓貴が細かくパス交換。
三田は左足ミドルを狙ったけど枠外。

前半は関東が優勢ながらスコアレスで終了する。

45分、関東選抜は瀬沼優司→吉野峻光。
45分、韓国はシム・ドンウン→イ・ギソン。
イ・ギソンはそのまま左MFに入る。
シム・ドンウンは途中出場、途中交代。

46分、関東は佐々木翔が左にサイドチェンジを入れる。
三田啓貴がエリア左に切れ込んでシュート。
GKチョン・ハンソプは正面に入っていたけど危険な位置に逸らしてしまう。
林容平がDFと競りながらこぼれ球を押し込んだ!
<関東大学選抜 1−0 全韓國大学選抜>

53分、関東のカウンター。
林容平がハーフライン付近からドリブルで持ち上がる。
枚数は3対3で韓国DFはリトリートしながら対応。
林はエリア右まで持ち上がってシュートを狙う。
これはGKがブロックして外。

54分、韓国はパク・ヒソン→チャ・ジュンヒョッ。チョ・ヨンヒョン→チョ・ミヌ。
韓国の布陣がこう↓
−−−−ホン−−−−イム−−−−
−−シム−−−−−−−−チョ−−
−−−−−キム−−チャ−−−−−
−ソ−−−イ−−アン−−ション−
−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−-チョン-−−−−−−


56分、関東は佐々木翔が左サイドに浮き球フィードを入れる。
三田啓貴は裏に突っ掛けてCBと競る。
林容平が中への「こぼれ」に反応してゴール左に抜け出す。
林は1対1を難なく流し込んだ。
<関東大学選抜 2−0 全韓國大学選抜>

60分、関東選抜は佐々木翔→磯部想。
神川明彦監督は「タマ〜!中に入れ!」と指示。
そういえば三田啓貴の愛称は「タマちゃん」だったっけ(笑)
布陣がこうなった↓
−−−−吉野−−−−-林-−−−−
−−磯部−−−−−−−−田中−−
−−−−−三田−−中里−−−−−
−奥田−−谷口−−松岡−−不老−
−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−-上福元-−−−−−−


佐々木翔は最近まで左サイドバックのイメージが強かった。
でも適性はサイドバックよりボランチかもしれない。
プレスを受けつつ、しっかりボールを落ち着かせていた。
左右両足が使えて遠くも見えている。
ボールをほとんど失わず、程よく長短に散らしていた。
そういえば今日は彼がキャプテンマークを巻いていましたね。

63分、関東は中盤でトリッキーな崩しを見せる。
吉野峻光が縦に当てる。
三田啓貴は1タッチで後ろに落とす。
田中恵太が右中間からループシュートを狙う。
決定的だったけど惜しくも左ポストに弾かれた。

ベンチの神川監督は「いや〜!いい攻撃だった」と呻く(笑)

関東選抜の攻勢は止まらない。
韓国DFの集中力が完全に切れていた。
「一発のパス」で裏に抜け出すシーンが出てくる。

64分、関東は中里崇宏が前線にロングフィード。
吉野峻光がエリア左で胸トラップからシュートに持ち込む。
これはGKが正面でキープした。

65分、韓国はホン・ジュビンに警告。

65分、関東は谷口彰悟が前線にロングフィード。
田中恵太がエリア右に抜け出してシュートを狙う。
これもGKがキープして逃れる。

68分、関東選抜は田中恵太→金子昌広。

71分、関東選抜は谷口彰悟に警告。
チョ・ミヌに対する対応。

71分、韓国はイム・ドンミン→ソ・ソンミン。
韓国の最終布陣がこう↓
−−−−ホン−−−−チョ−−−−
−−シム−−−−−−−-ソ・ソンミン-−
−−−−−キム−−チャ−−−−−
−ソ・デウォン−-イ−-アン−-ション−
−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−-チョン-−−−−−−


76分、韓国はアン・ヨンギュに警告。
77分、関東選抜は林容平→安柄俊。
布陣がこうなる↓
−−−−吉野−−−−-安-−−−−
−−磯部−−−−−−−−金子−−
−−−−−三田−−中里−−−−−
−奥田−−谷口−−松岡−−不老−
−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−-上福元-−−−−−−


安柄俊が短時間で鮮烈なプレーを見せた。
78分、関東は吉野峻光が左に開く。
磯部想が中央に折り返す。安柄俊のヘッドはGKの正面。

80分、関東は松岡祐介がヘディングを前線に跳ね返す。
吉野峻光がチェイシングして落とす。
安柄俊がエリア左に抜け出して左足で流し込んだ!
<関東大学選抜 3−0 全韓國大学選抜>

関東選抜は全く守りに入る様子がない。
この時間もボールを蹴らずに動かして、アクションを起こしていた。

83分、関東は不老祐介→大岩一貴。
日本の最終布陣がこう↓
−−−−吉野−−−−-安-−−−−
−−磯部−−−−−−−−金子−−
−−−−−三田−−中里−−−−−
−奥田−−谷口−−松岡−−大岩−
−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−-上福元-−−−−−−


90分、関東は右CKの攻め直し。
三田啓貴がシュートフェイントから縦に抜けて右足で折り返す。
安柄俊がファーに飛び込んでヘッドを叩きつけた。
<関東大学選抜 4−0 全韓國大学選抜>
三田啓貴のフェイントにDFが引っ掛かった。
彼は左半身の使用率が高いけど右側の仕掛けも実はいい。

関東選抜が韓国を粉砕してタイムアップ。
関東の攻撃が素晴らしかった。
最終ラインからきっちり繋いでいた。
両ボランチは「クサビ」「裏」「外」と上手く散らしていた。
前線は林容平、三田啓貴、田中恵太がトリッキーでしかも連動できる。
速いテンポ、少ないタッチでボールを動かしていた。
3人目の飛び出し、ドリブルの仕掛けと全てが調和していた。

DFは松岡祐介の対応が圧巻だった。
出足、後方のカバーと判断が一歩速い。
大きい選手ではないけど空中戦も互角に競っていた。
奥田大二郎は「痒いところに手の届く」プレーだった。
中に絞ったり、押し上げたり「リベロ」な動きができる。
セカンドボール回収、パスコース作りと周りを楽にする選手だ。
明大勢は三田啓貴も3点に絡む大活躍である。
神川明彦監督は教え子の活躍にご満悦だろう(笑)

全韓國大学選抜は期待外れだった。
試合前は日本よりむしろ韓国に注目していたのだけど…。
「こいつ」という人材を見つけられなかった。
今回のチームはベストメンバーじゃないんだと思う。
高麗大、延世大と有力校の所属選手もいない。
だから勝っても喜ぶのは程々にしておこうと思う。
僕らが韓国の選手へ潜在的に期待するのは「大きくてタフ」な人材だ。
でもGK、両CBとそういうタイプでなかった。
アン・ヨンギュ、イ・ハンセムとキックは上手かったけど…。
3人とも実測は180cm以下に見えた。
攻撃は連携不足があるにせよ何も出来なかった。
唯一の脅威は放り込みだけど「競った後」のフォローがない。
1回跳ね返せばそれっきりなのである。
決定機は前半40分前後の2つだけだった。