ヨセフスと新約聖書
s・メイソン 著 浅野淳博 訳
最近の読書で久しぶりにワクワクして読んだ。
西暦100年ごろ、イエスと同じ時代の史書に関する研究書である。ヨセフスはユダヤ人歴史家で、西暦37年誕生し100年ごろ没。彼はユダヤ教の祭司で、パレスチナのガリラヤ地方の指揮官でローマ軍と戦い投降している。エルサレムやローマにも住んでいる。ユダヤ教を弁護して「ユダヤ戦記」,「古代史」を著作した。
メイソンの本書は、ヨセフスの著書と同時代のイエス、聖書とを比較研究したものである。
ユダヤ教の立場と聖書編集者の立場の違いはあるものの同じ時代の歴史の出来事を異なる視点で語る。これらの史観の違いが面白い。イエスが歴史上の人物であることの証拠である。
2019年と100年頃の人々の生活、考えや政治 、社会も変わらない。戦争はあるし、階級差、裁判、宗派間の対立、特権階級の悪行、人々の苦難など現代と変わらない。

ヨセフスの「古代史」にヨハネ、イエス、ヤコブについて言及している。その内容について、いろいろの意見があり議論がある。書く人によって視点がことなることが分かる。
ヨセフスの記述と聖書の中の「ルカ文書」との間に著しい共通点があると指摘され、論述された。90年頃に時空を同じくする両著者である。信仰、思想は異なるものの識者であるので影響しあったのかな。

新約聖書の歴史的背景に関心あるものにとって本書は有益な道標となる。