日産・キューブは当初日本でしか販売されていませんでしたが、海外の反響を受けて3代目モデルでは欧米でも販売が開始されました。結果的にはその販売は失敗に終わったようですが、海外での評価はどんなものだったのでしょう。

今回は、英国「Auto Express」によるキューブの試乗レポートを日本語で紹介します。


Cube

長期試乗を行ったキューブは他の車と違って顔つきにアグレッシブさがないのだが、この顔つきは虫にとっては最悪なようだ。

この1.6Lのコンパクトカーを長期試乗して気付いたのだが、この絶壁のフロントエンドやほとんど垂直に近いフロントウインドウは虫の死骸を大量にくっつけてしまう。そのため、ホワイトパールに塗装された試乗車のボディには虫の黒い点々がついてしまう。なので休日のたびに洗車をしなければならなかった。

しかし、そんな代償と引き換えに、この車は他のどの車にも似ていないスタイルを得た。私はキューブの四角いプロポーションが大好きだ。左右非対称のリアウインドウも素晴らしい。そしてインテリアはおもちゃが満載だ。パノラミックガラスルーフ、バックカメラ、クルーズコントロール、ステアリングスイッチ、Bluetoothハンズフリーフォン…これら全て標準装備なのだ。ただ、インテリアのデザインは意見が分かれるところだろう。ただ、見た目がどうであれ実用性は高い。

リアベンチシートは前後にスライドし、荷室スペースを広くとることもできる。荷室スペースは255Lあるが、荷室が天地方向に広いため、高さのある荷物を載せるにはもってこいだ。

ただ完璧とはいえない。荷室口は高くて特に重いものは積みづらい。そしてこの車には横開きのバックドアが採用されている。このドアは大きく、特に狭い場所では開けるのに一苦労だ。 なんで日産はこんなドアにしたのだろうか。

キューブを運転していい意味で驚かされた。この車は全くスポーティではなく、コーナーをスピードを上げて曲がればロールも凄い。ただ、搭載される1.6Lエンジンは街乗りに十分だし、何より視界が素晴らしい。

ボクシーなスタイルは空力性能とは無縁で、高速には適していないが、クルーズコントロールが付いているので高速走行のストレスはそれほどひどくない。また、ドライビングポジションが高く遠くまで見渡すことができるので先を予測して経済的な運転ができる。ちなみに私は高速で14.2km/Lを達成した。四角いこの車でこれはなかなかなものだと思う。

高速以外の道路も含めたテスト時の総合燃費はもう少し悪く、10.5km/Lだった。ただ、これは私が都市部でたくさん走ったからで、現実的な走り方をすればもう少しいい値が出るだろう。ただ、やっぱり虫を洗い流すのだけは嫌だ。


Nissan Cube Long-term Test