今回は、英国の人気自動車番組「Top Gear」でもおなじみのリチャード・ハモンドが2012年に英国「Mirror」に寄稿したロータス・エキシージSの試乗レポートを日本語で紹介します。


Lotus Exige S

今年のパリモーターショーには素晴らしい英国車が多数出展されていた。高級感を増し、400kg以上の軽量化を果たした新型レンジローバー。セクシーなジャガー・Fタイプ。そして、マクラーレンの新型スーパーカー…。

小さな島国からこれだけの素晴らしい車が生まれること自体が凄いと思う。そこで、イギリスの自動車産業の素晴らしさを賛美するため、パリに出展していなかった自動車メーカー、ロータスの新型車に乗ることにしよう。

ロータスは2010年のパリモーターショーで一挙に5台もの新型コンセプトカーを披露した。それはまるで、僕がオリンピックで金メダル5個獲得を目指すと宣言するようなものだった。明らかに異常だった。

ポルシェでさえ、今後5年間で5台の新型車の投入を予告することなどありえない。誰もがこの計画を笑い飛ばした。しかし、ロータスに関する良い知らせもある。エキシージSだ。これは世界でもトップレベルのスポーツカーだ。

リアには350PSを発揮するエヴォーラSと共通のトヨタ製3.5L V6エンジンが搭載されている。エキシージのシャシはエリーゼをベースとしているのだが、もともと小型の4気筒エンジンを搭載することしか考慮されていなかったため、シャシは引き伸ばされている。ホイールベースは70mm延長され、エンジンは新しいサブフレームの中に収まっている。

エキシージに大排気量のV6エンジンを載せれば当然ながら車重は重くなるのだが、350PSという最高出力はおよそ1,200kgの車重には十分だし、十二分に速い。非常に速い車だ。

アウディ・R8 V10すら置いて行くことができる。エキシージSの0-100km/h加速は4.0秒で、R8よりも0.1秒勝っている。最高速度は274km/hで、これだけ小さな車としては異様な速さだ。

車に乗り込むのは僕にすら簡単ではない。ましてや、背の高い人間がこの車に乗り込むのは、一度出した歯磨き粉を容器に戻すのと同じくらいに大変だろう。しかし、乗り込んでしまえば居心地は良い。室内には運転を楽しむための必要最低限のものしかない。

ステアリングの横には非常に重要なダイヤルが付いている。これはボッシュが作ってくれたトラクションコントロールシステムのスイッチだ。セッティングはツーリング、スポーツ、レースの3種類がある。

ツーリングモードでは一切のスリップが起こらないようになる。スポーツモードではちょっとした乱暴が許されるようになり、レースモードにするとほとんどセバスチャン・ベッテルになることができる。

この車は異様なほどに速い。スペック上でも速いのだが、実際に乗ってみるとなお速く感じられる。

シートのわずか数cm後方に搭載されるV6エンジンはアクセルをちょっと踏んだだけで爆発し、トラックモードにすると排気システムのフラップが開いて暴力的な排気音を響かせる。

この車はあらゆる面でドラマチックな走りを引き出すために設計されている。妥協は存在しない。

ステアリングにはパワーアシストなどなく、低速域では重く感じるのだが、スピードを出すと完璧になる。路面のあらゆる情報が伝わってくるため、車が何をしているのか、手に取るように理解できる。ブレーキは素晴らしいし、ギアチェンジは最近のどのロータスよりも正確で楽しい。

比較的幅も狭いので、普通の道で飛ばすのも簡単だ。5万2,900ポンドのロータスで、よりパワーのあるフェラーリやランボルギーニ以上に飛ばすことができる。しかし、エキシージSの本領を発揮するためにはサーキットを走らせる必要があるだろう。

思うに、この車はロータス史上最高のスポーツカーなのではないだろうか。実際、あらゆるスポーツカーの中でトップレベルに出来が良い。

ノーフォークで製造されるエキシージSは、イギリス人が誇ることのできる車だ。


Light, speed.. Lotus Exige S is a true giant-killer