今回は、人気自動車番組「Top Gear」でもおなじみのリチャード・ハモンドが2009年に英「Mirror」に寄稿したトヨタ・プリウスのレビューを日本語で紹介します。


Prius

少なくとも、旧型プリウスのデザインは酷かった。なので車好きが誤ってトヨタのハイブリッドカーを買ってしまう危険性は少なかった。それに、車が嫌いな人は喜んでプリウスを購入した。プリウスは車に対する憎しみを見事に体現していた。

しかし、新型プリウスのデザインは良くなった。クリーンで、シャープで、モダンになった。誰かがこのスポーティーな見た目に騙され、本物の車と間違えてプリウスを買ってしまうおそれが出てきた。

僕がプリウスを運転していると、多くの人が振り返ってこちらを見てきた。僕はこう叫びたくなった。
違うんだ。こいつはホットハッチなんかじゃない。こんなものに惹かれちゃあいけない。

しかし多くの人間がこの車に惹かれてしまう。なぜならこれがハイブリッドだからだ。この車にはモーターとそれを動かすバッテリーが搭載されており、1.8Lのガソリンエンジンを使ってバッテリーが充電され、必要に応じてモーターが駆動力を補助する。こうすることで燃料を節約している。

しかし現実的な話、世の中には重量級のバッテリーやらモーターやらを無駄に載せることもなく、プリウスと同等の燃費を実現できる車もたくさんある。

新型プリウスではパワートレインの大部分が刷新もしくは改良されており、バッテリー容量は向上し、モーターは軽量化され、それを包むボディも魅力的なデザインとなった。

インテリアも刷新されているのだが、基本的にはよくできている。見た目もいいし、あるべきところにあるべきものが収まっているし、スピードを表示するヘッドアップディスプレイまで付いている(まるでスピードのことを気にする人間が購入するかのように)。ダッシュボードには曲線が多用されており、白物家電ではなく本物の車を操作しているのではないかという誤った印象を与える。

運転操作は従来型と同じだ。電源スイッチを押しても何も起こらず、アクセルを踏むと不快な呻き声とともにすぐにエンジンが始動し、加速するためにさらに呻き声が大きくなっていく。

素足で優しくアクセルを踏んでやると電気だけで走ることも可能だ。あまり速くはないのだが、歩行者に音もなく近寄りクラクションを鳴らせば、その驚く姿を楽しむことができる。ただし、こんな車を購入するような独善的な人間がそんなことをするはずはない。

実際に走りだしてみると、乗り心地はさほど悪くない。一瞬だけ、ひょっとしたらプリウスが本物の車なのかもしれないと疑ってしまう。しかし、風切り音やロードノイズはあまりにやかましく、CVTが引き起こす唸り音は最悪で、こんな車を運転するのは全く楽しくなどない。

どこからパワーが出ているのかを表示してくれるディスプレイがあるのだが、それをじっと見つめていると街灯に激突してしまう。

トヨタいわく、プリウスは30.8km/Lの燃費を実現しているそうだ。この数字は確かに素晴らしい。しかし、プリウスよりも5,000ポンド安いフォルクスワーゲン・ポロ BlueMotionの燃費は34.4km/Lだし、こちらは普通のディーゼル車なので整備に特別な知識もいらないし、無駄なおもりも載っていない。それに本物の車だ。一方のプリウスは声明だ。僕にはまったく出すつもりのない声明だ。

プリウスは売れることだろう。見た目も良い。ただ、改善の余地はある。5気筒の2.5Lターボを搭載し、サスペンション(特にリア)を改良して車高を2cmほど落とし、いかした18インチホイールを履かせれば良い車になるだろう。

もし環境に配慮したいのであれば、プリウスなんて買わずに中古のマスタングでも買って、余ったお金で家をエコに改造したほうがよっぽどいい。


Toyota Prius: Don't be seduced by looks alone