今回は、人気自動車番組「Top Gear」でもおなじみのリチャード・ハモンドが2009年に英「Mirror」に寄稿した日産・370Z(日本名: フェアレディZ)のレビューを日本語で紹介します。


370Z

1960年代当時、日本の自動車メーカーは変な名前の四角い小型車を製造しており、イギリスの自動車メーカーはそんな車を嘲笑していた。モーリス・マイナーではなく、あえて日本車を購入する意味などないと考えていた。

そして1970年、ダットサンは240Zという正統派スポーツカーを生み出した。このデザインは非常に素晴らしく、数十年後にフェラーリ・250GTOのレプリカのベース車両に選ばれたほどだ。

しかし、馬鹿な年寄りたちはいまだに日本車を馬鹿にしていた。やがて、240Zが世界中でヒットを飛ばし、MGBの販売台数を追い越すまでは。

240Zは260Zに世代交代し、2+2となって車重をわずかに増した。そして1980年代には300Zへと世代交代した。1990年代には日産(ダットサンの名前は消滅した)からツインターボを搭載した300ZXターボが登場した。その後、日産はZの生産を一時的に中止し、そして2003年に350Zとして復活した。

ここまでで日産のスポーツカーの歴史をざっとおさらいしたわけだが、僕はこの歴史を輝かしいものだと思っている。そしてこの歴史は370Zにも継承されている。

2万6,690ポンドの370Zはドライバーに笑顔をもたらしてくれる。370Zが作り出す笑顔は9万9,000ポンドのアウディ・R8 V10よりも数mmほど大きいと思う。思うに、Zは東洋のフォード・マスタングだ。粗さ、鈍さがあり、それでいてとても楽しい。

新型ではただエンジンが大きくなっただけでなく、全長が65mm、ホイールベースは100mm短縮されている。これによってより俊敏になるものだと思ったのだが、実際に運転してみるとその違いははっきりとは感じられない。

感じられるのはパフォーマンスの変化だ。排気量が200cc増加したことで、最高出力は313PSから336PSに向上している。このため、0-100km/h加速は5秒でこなし、最高速度は250km/hを記録する。現代の基準で考えれば驚くほど速いとまでは言えないのだが、3万ポンドを切る車としては十分に速い。

プッシュエンジンスイッチを押すとV6エンジンが素敵な音を響かせて始動する。エンジンは7,000rpmで最高出力を発揮するのだが、少し怠け者だ。スロットルを踏むと回転数はゆっくりと上がっていき、エンジン音は厚みを増していく。

ATモデルもあるのだが、6速MTの方がこの車には合っている。このMTは勝手にヒール&トーをしてくれる。ヒール&トーが何かを知らない方のために少し説明しよう。

ロングストレートを過ぎ、鋭角コーナーに入る時、6速から1速に変速する。そうするとエンジンは悲鳴を上げるのだが、結果ターンイン時にリアがバランスを崩してスピンしかねない。これを避けるため、レーシングドライバーは右足のかかと(ヒール)でアクセルを踏んでエンジンの回転数を上げ、同時につま先(トー)でブレーキも踏む。これによってギアチェンジがスムーズになり、車がバランスを崩すこともなくなる。

しかし、370Zではボタンを押すと変速時に勝手にエンジンの回転数を上げてくれる。セミオートマチックトランスミッションにはこの機能が必ず付いているのだが、マニュアルトランスミッションにこの機能が付いたのは370Zが初めてだ。

350Zやかつての240Z同様、370Zも4倍高価な車と同等の楽しさを有している。この車は昔ながらの男らしいスポーツカーだが、この車は男女ともに愛される車だ。実際、僕の妻も370Zを気に入っている。


Review: Nissan 370Z