今回は、人気自動車番組「Top Gear」でもおなじみのリチャード・ハモンドが2013年に英「Mirror」に寄稿したMG3のレビューを日本語で紹介します。


MG3

イギリス車が本当にイギリスの車だったことがあるだろうか。これは非常に難しい疑問だ。

モーガンは確実にイギリスの車だ。確かに中にはドイツ製のエンジンを積んだモデルもあるが、使われている木はイギリスで育ったものだし、レザーシートの元になった牛はイギリスの草を食べて育っているし、それになにより、マルバーンの工場で手造りされている。

ミニはBMWの傘下にあるが、エンジンはイギリス製だし、車自体の組み立てもイギリス人の手によってオックスフォードで行われている。

日産・ジュークもレンジローバー・イヴォークと同じくらいにはイギリスの車だと言えなくもない。なぜなら、どちらの車も外資系の企業がイギリス国内の工場で製造しているからだ。

しかし、今回の試乗車であるMGに関してはどうだろうか。MGは中国の上海汽車の傘下にあり、中国から各種コンポーネンツがイギリスまで輸送され、ロングブリッジにある工場で組み立てのみが行われる。これはCKD(コンプリート・ノックダウン)と呼ばれる手法だ。

とはいえ、ロングブリッジには300人の技術者と60人の設計者がおり、開発に携わっている。要するに、外野から見ればほぼ100%中国車にも思えるかもしれないが、この車にはかなりのイギリスらしさが含まれている。

今回試乗したのは3Form Sportというモデルで、中間グレードに当たる。下には3Timeというグレードがあり、上には3Styleというグレードがある。

3Timeは8,399ポンドであり、フィエスタと同じクラスの車としてはダチア並に安い。試乗車はオプション抜きで9,549ポンドであり、オプション価格自体もBMWと違ってぼったくってはいないので、いろいろと付けても値段はそれほど変わらない。要するに、MG3は低価格な車を求めている人のためのお買い得車だ。

しかし、試乗車の3Form Sportの姿を目にすると、これはホットハッチなのかと思うはずだ。MG3のデザインは素でも魅力的なのだが、試乗車にはオプションのアルミホイールやエアロパーツ、四角形のテールパイプが付いており、明らかにスポーティーに見えた。しかし、リアホイールの隙間から覗くドラムブレーキを見ると、この車が見た目ほど凄い車ではないということに気付いてしまう。

インテリアに関しても同様だ。本革ステアリングや散りばめられたレッドアクセント(レッドパネル及びピアノブラックパネルは99ポンドのオプション)は一見すると素晴らしいのだが、プラスティックの質感を確かめるとこれが安物であるという現実に引き戻されてしまう。

搭載されるのは106PSの1.5Lガソリンエンジンだ。価格を考えれば十分にパワフルと言えるだろう。

しかも、この車は保険料も安い。3Form Sportのデザインも考慮すると、若者にぴったりな車のようにも思える。

最高速度174km/h、0-100km/h加速10.9秒という数字はレーシングマシンには程遠いが、加速やスピードだけがすべてではない。かつてのローバーは速さこそなかったものの、そのハンドリングには目を見張るものがあった。電話ボックスくらいつまらないデザインだったMG ZSさえ走りは非常に良かった。

実際、MGのサスペンション設計者が優秀なのは今でも変わらない。ハンドリングはMG3の強みだ。予算が少なく、保険料のことを心配している若者は、ぜひともMG3を試乗してみてはどうだろうか。


New MG3 delivers fun on a budget - the Sport is just right for young drivers on a budget