今回は、人気自動車番組「Top Gear」でもおなじみのリチャード・ハモンドが2014年に英「Mirror」に寄稿したBMW 2シリーズ アクティブツアラーのレビューを日本語で紹介します。


BMW218i

ある自動車メーカーが「○○は絶対にやらない」と宣言しても、その言葉を決して信じてはいけない。

ポルシェはかつて、ディーゼルエンジンを搭載した車は作らないと宣言した。フェラーリは10年前、年間5,000台以上車を製造することはないと宣言した(現在のフェラーリの年間製造台数はその2倍にほど近い)。そして、BMWは長らく、前輪駆動車は作らないと宣言してきた。

では、BMWのバッジを付けた初めての前輪駆動車、2シリーズ アクティブツアラーを試乗することにしよう。

しかし、この掌返しも至って当然の帰結だ。自動車メーカーを経営するということは、利益を生み出さなければいけないということであり、金儲けのチャンスがあればそれに飛びつくのも当然なことだ。2シリーズ アクティブツアラーは金儲けの大チャンスだ。

この車について概説することにしよう。これはクロスオーバーのドライビングポジションを持った一種のピープルキャリアーだ。正直なところ、定義をするのは難しい。立ち位置はホンダ・ジャズ(日本名: フィット)とまったく変わらない、あくまでも実用性を主眼に置いた車だ。

BMWがジャズと比較されることを良しとするかはともかく、BMWは別にホンダから顧客を奪おうとしているわけではない。

アクティブツアラーはミニのプラットフォームの延長版を用いている。全長は1シリーズとほとんど同じなのだが、リアシートのレッグルームは7シリーズとほぼ同等だ。

これこそがアクティブツアラーの強みだ。家族持ちや高齢者には受けることだろう。リアシートはヘッドルーム、エルボールーム、レッグルーム、どこをとっても広大だ。それに、リアシートは40:20:40の分割可倒式だし、荷室スペースは468Lもある。しかも、荷室のフロア下にまで便利な収納スペースが付いている。

リアシートは自動で畳むことができるため、レバーを引けば失神した近衛兵のようにぱたっと倒れる。シートを立てる際は手動で操作する必要があるのだが、パワーテールゲートは全車に標準装備される。

エンジンには、ミニと共通の3気筒1.5Lターボエンジンと4気筒1.5Lディーゼルエンジンの2種類が設定される。BMWらしく、グレード名は排気量と一致しておらず、前者が218i、後者が220dとなる。今回は218iに試乗した。

3気筒エンジンは静粛性・なめらかさともにディーゼルよりも優れている。それに、ディーゼルほどではないものの経済性も高い。ディーゼルのほうが2,000ポンド高いことまで考慮すれば、218iを選ぶべきだろう。

2シリーズ アクティブツアラーの見た目は大したものではない。ただ、MPVのデザインを印象的にするのは難しいのだが、BMWのデザイナーは最大限の努力をしたようで、箱っぽさはあまり感じられない。

インテリアにはBMWらしさがある。丁寧なステッチが施されたレザーやシルバーのアルミパネルなど、一流と言って差し支えない仕上がりだ。

試乗した218iの6速MTモデルは0-100km/h加速が9.2秒、最高速度は204km/hだ。とはいえ、この車を購入する層にはこんな数字など何の意味もなさないだろう。カタログ燃費は24.5km/Lで、実燃費でも20km/L近くはいくだろう。

運転していて楽しいわけではないのだが、操作性は高く、ロールもあまり起こらない。乗り心地は良いし、これこそが一番重要だ。

BMWはかつて決して作らないと宣言した車を作ってしまった。しかし、それを後悔する必要はないのかもしれない。


BMW 2-Series Active Tourer review by Richard Hammond: Beemer's got front