今回は、人気自動車番組「Top Gear」でもおなじみのリチャード・ハモンドが2012年に英「Mirror」に寄稿したレクサス・GS450hのレビューを日本語で紹介します。


GS450h

まず最初にアトキンソン氏の話をしようと思う。ミスター・ビーンことローワン・アトキンソン氏のことではない。ジェームズ・アトキンソン氏の話だ。ジェームズ・アトキンソンは1882年にアトキンソンサイクルエンジンを発明したイギリスの技術者だ。

このエンジンは、内燃機関における吸気、圧縮、膨張、排気のサイクルをクランクシャフトの1回転にまとめている。これにより、オットー氏の特許侵害をうまく回避した。そろそろ飽きただろうか。しかしまだ話を続けよう。

オットーサイクルエンジンが主流となり、ジェームズ・アトキンソンは誰からも忘れ去られてしまった。しかし、トヨタが初のハイブリッドカーであるプリウスの製造を開始した。

プリウスやそれ以外の大半のハイブリッドカーはアトキンソンサイクルエンジンかそれに類するものを用いている。アトキンソンサイクルエンジンは熱を機械的なエネルギーに変換する効率が高いため、非常に燃料効率が高いという利点がある。これ以上の詳細を書こうとすれば、a) 読者を退屈させてしまう b) ハモンドの弱い頭が爆発してしまう だろう。

しかし、レクサス・GS450hのレビューを書くに際して上述した解説は必要不可欠なものだ。大昔のイギリス紳士が生み出した発明を基にしたパワフルでスムーズなパワートレインが、今ではカリフォルニアなどに住むエコ信者たちを移動させるのに活躍している。

GSシリーズは1990年代はじめ頃に登場し、現行型は4代目に当たる。GSは非常に作りが良く、信頼性も高い。実際、ジャガーが一度GSをばらしたそうなのだが、細部の作り込みには衝撃を受けたそうだ。それを考えれば、めったに壊れることがないことにも納得がいく。なので、新型GSの信頼性も十分高いと言えるだろう。

ノーズ周りにはLFAの雰囲気もあり、なかなか良い。GSのデザインはセクシーとは言えないものの、まともなスーツのようなスマートさがある。

インテリアは比較的ごちゃごちゃしており、その中心には大型スクリーンが配されている。ボタンはあちこちにあり、オーナーがその配置を覚えるためには数週間はかかることだろう。毎週のように違う車に乗る自動車評論家にとっては、日本語でシェイクスピアを読むのと同じくらいに大変だ。ギアの配置すら複雑で、選択ギアを間違えないためには目視で確認する必要がある。

しかし、3.5Lエンジンを始動させればそんな欠点などどうでもよくなる。このエンジンはほぼ無音で始動する。最高出力は292PSを記録し、モーターは200PSという驚異的な出力を発揮する。最高速度は250km/hで、0-100km/h加速は5.9秒を記録する。この車はレクサスでありながら非常に速い。

しかも、CO2排出量はわずか141g/kmだし、複合燃費は19.4km/Lだ。燃費に興味がない人も多いだろうが、これだけのパフォーマンスを有しながら、税額は比較的安いため、社用車としては非常に魅力的と言えるだろう。

GS450hの実力はCT200hと同じくらいに高い。高速道路ではエンジン音よりもエアコンの音の方がうるさいくらいだし、乗り心地も非常に良い。レクサスを運転するのは、スパに行くようなものだ。ただし、レクサスに乗っても誰かがドアを開けて顔にスライスしたきゅうりを貼り付けてくることはない。

価格は5万995ポンドで、大半は社用車として購入されることだろう。税金を節約しつつも、パフォーマンスを犠牲にしたくない人たちが購入するはずだ。もちろん、同等の実力を持つディーゼル車もあるが、やはりパワフルなガソリンエンジンの魅力には敵わない。この点についてはきっとアトキンソン氏も同意してくれることだろう。


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