今回は、人気自動車番組「Top Gear」でもおなじみのリチャード・ハモンドが2015年に英「Mirror」に寄稿したポルシェ・カイエン ターボのレビューを日本語で紹介します。


Cayenne

ポルシェの売り上げの半数以上はカイエンだ。12年前の登場以来、ポルシェは50万台以上のカイエンを製造しており、2014年の販売台数は8万台を超えた。

カイエンがどれだけの利益を生み出すか想像してみて欲しい。ポルシェの熱狂的ファンは、ポルシェがいずれドイツのランドローバーになってしまって、スポーツカーがニッチ向けの製品になってしまうのではないかと心配していることだろう。

しかし、ポルシェいわく、カイエン(あるいはその弟分のマカン)によって生み出された利益は911 GT3のようなスポーツカーの開発にも充てられているそうだ。なので、カイエンの成功は素直に祝福するべきだろう。というわけで、新型カイエンをじっくりと観察してみることにしよう。

初代カイエンは走りこそスポーツカー的だったのだが、あまりに醜く、生みの親にすら愛されなかった。2台目は多少ましにはなったものの、レンジローバーほどの仕上がりではなかった。

新型カイエンの最大の変更点はボンネットだ。従来モデルよりもワイドになり、印象が大きく変わっている。エアインテークの形状も変更され、またテールランプはマカン同様にジュエル風になっている。事実、先代モデルからキャリーオーバーされたのはドアとルーフだけだ。

ラインアップは幅広く用意される。カイエンSには従来のV8に代わって3.6LのツインターボV6エンジンが搭載される。最高出力は420PSと従来のV8よりも向上しており、一方で経済性も改善している。

また、422PSのカイエンS Eハイブリッドや304PSのV6エントリーグレードもラインアップされる。ほかには、戦艦を引っ張れるほどの大トルクを有するカイエンS ディーゼル、最近登場したGTS、それに上級モデルのカイエンターボ、ターボSがある。

今回は、比較的手の届きやすいエントリーグレードをあえて選ばず、上級グレードのターボに試乗した。とはいっても、今回試乗したのは11万8,000ポンドのターボSではなく、9万2,628ポンドのターボだ。

当然、試乗車にはオプションがいくらか付いており、実際の価格は10万7,397ポンドまで膨れ上がっていた。オプションには電動格納式の牽引バーやダチア・サンデロほどの値段のセラミックブレーキなどがある。

2015年モデルではインテリアはほとんど変わっていないのだが、最大の変更点は3本スポークのステアリングだ。マカンには918スパイダーと共通デザインの3本スポークステアリングが装着されているのだが、カイエンには油圧パワーステアリングが採用されているため、ステアリングは大径のものとなっている。

室内はどこも最高の質感で、操作系もしっかりと動く。ただ、木やレザーに囲まれたレンジローバーに乗った後だと、『アバター』を観た後に退屈な無声映画を観ているような気分になる。

ただし、カイエンターボは非常に速く、優秀な大型スポーツカーのような操作性も併せ持っている。2015年モデルではサスペンションのセッティングが変更されており、直接乗り比べなければ分からない程度とはいえ乗り心地が改善されている。

カイエンターボの520PSのパフォーマンスでも十二分なので、わざわざ570PSのターボSを選ぶ理由は見栄以外にはないだろう。もっとも、0-100km/h加速が4.5秒では不十分だと考えるならば別だが。

2015年にはランドローバーからレンジローバースポーツが発売されるので、それと比較するのも面白いかもしれない。ただ、個人的には、スポーツカーはポルシェで、SUVはランドローバーで買いたいと思っている。


Porsche Cayenne Turbo 4x4 review by Richard Hammond: It handles like a great big sports car