今回は、人気自動車番組「Top Gear」でもおなじみのリチャード・ハモンドが2014年に英「Mirror」に寄稿したフォード・エコスポーツのレビューを日本語で紹介します。


EcoSport

かつてマドラスと呼ばれていたインドの都市は現在チェンナイという名前に変わっている。マドラスというカレーは、僕が消防士の同席なしで食べることのできる最も辛いカレーだ。

また、この街は自動車製造が盛んで、インドのデトロイトとも言われている。ここには、ヒュンダイ、BMW、ルノー、日産、そしてフォードの工場がある。

前置きはこれくらいにしよう。今回、インドについての話題を導入に持ってきたのは、今回の主題であるフォード・エコスポーツがチェンナイで製造されているからだ。

ご存知かもしれないが、イギリス向けの日産・マイクラ(日本名: マーチ)もインドで製造されている。マイクラの品質はあまり褒められたものではない。特に室内のプラスチックの質感は低い。

同様にエコスポーツの品質にも問題がある。車内に乗り込むとすぐ、ドアパネル、ダッシュボード、コンソールなどありとあらゆる部位の質感が、ヨーロッパ製のフォード(例えば、エコスポーツとの共有部品が多いフィエスタ)の質感にはまったく追いついていないということに気付く。

エコスポーツは2003年に初代モデルが登場し、南アメリカなどの一部市場において販売されていた。そして、2代目モデルはヨーロッパでも販売されることとなった。

エコスポーツは既に発売されているクーガに続く形で投入された。この後にはエッジという大型SUVの投入も予定されており、フォードはSUV市場にこの3台で挑むようだ。

エコスポーツのライバルとなるのは、日産・ジュークやルノー・キャプチャーだ。いずれもデザイン重視で中身のあるモデルであり、販売台数も多い。

エコスポーツの話に戻ることにしよう。僕は分かりやすいシンプルなモデルが好きだ。エコスポーツにはTitaniumというグレードしか設定されず、Titanium Xパッケージを選ぶと、レザーシート、クルーズコントロール、17インチアルミホイール(標準モデルは16インチ)が追加装備される。

エンジンラインアップもシンプルだ。現時点では3気筒の1.0L EcoBoostと1.5Lディーゼルがラインアップされており、来年には1.5Lガソリンエンジンも追加される予定だ。また、1.5Lガソリンモデルにはセミオートマチックトランスミッションも設定される予定だが、現時点では5速MTのみが設定される。

試乗車には125PSの3気筒EcoBoostエンジンが搭載されていた。これは軽量・軽快なフィエスタにも搭載されているエンジンなのだが、エコスポーツはフィエスタよりも重いため、0-100km/h加速は12.7秒と遅い。

試乗車はTitaniumで(1,000ポンド高いTitanium Xではない)価格は1万5,995ポンドだった(メタリックペイントを選ぶと1万6,500ポンドとなる)。

意外性のない退屈なデザインはSUV市場では通用しないので、エコスポーツが個性的なデザインとなった理由は理解できる。デザインは好き好きなのだろうが、僕には映画『ファインディング・ニモ』に出てくるあるモブキャラのように見える。

ちゃちなプラスチックさえ無視すれば、エコスポーツに失望することはないだろう。運転席からの視界はまさに古典的なSUVで、フィエスタをベースにしていることを考えれば着座位置は驚くほどに高い。

室内は広いし、フルサイズのスペアタイヤがテールゲートに装着されているので荷室も広く取られている。リアシートを倒せば荷室容量は1,238Lとなり、リアシート利用時でも310Lだ。ただし、テールゲートにタイヤが装着されているため、開閉時には重さを感じる。

4WDモデルは存在しないのだが、地上高は180mmあるのでちょっとしたのオフロードなら走れるだろう。舗装道路では操作性も高いし、ロールもあまりせず、それでいて乗り心地は良い。3気筒エンジンは独特のエンジン音を響かせはするものの、鬱陶しく感じることはない。

低価格なモデルが欲しければダチア・ダスターも比較対象に入るだろうし、デザインを重視するならばジュークやキャプチャーとも比較することになるだろう。

エコスポーツは車として出来が悪いわけではないのだが、欧州フォードの水準で考えるとどうしても見劣りしてしまう。


Ford EcoSport review: Company's new Indian-made compact SUV is let down by build quality