今回は、人気自動車番組「Top Gear」でもおなじみのリチャード・ハモンドが2008年に英「Mirror」に寄稿した旧型ホンダ・ジャズ(日本名: フィット)のレビューを日本語で紹介します。


Jazz

ホンダ・ジャズは老人に大人気だ。若者はそれを馬鹿にするかもしれないが、50代や60代、あるいはそれ以上の年代の人たちのする選択が間違っているということはあまりない。要するに、老人は自分に適していない車に大金を払ったりはしない。

なので、老人は信頼の置ける自分のお気に入りを見つけると、同じものを選び続ける傾向にある。ホンダ・ジャズがその好例だ。ホンダ・ジャズを購入した人の実に60%がジャズからの乗り替えだ。

しかし、そんな選択をする老人を笑うべきではないだろう。今や経済状況は芳しくないし、冒険して車を買って、すぐに飽きて買い替える、なんてことになれば大損してしまう。そこで無駄にしたお金は、本来であればCDを買うなどもっと有意義に使えたはずのお金だ。

オーナーが愛車を本当に気に入っているのであれば、車を大きく変化させる意味はあまりないだろう。なので、新型ジャズは旧型ジャズとあまり変わっていない。

全高は変わっていないのだが、全幅は20mm、全長は55mm増えた。それに、ホイールベースは50mm延長しており、フロントウインドウ位置は前方に移動している。その結果、レッグルームは拡大し、ドアの開口部も広くなっている。

荷室は399Lと広大だし、アレンジも自在だ。荷室フロアのボードは取り外すことができるし、ボードの設置場所を変えれば棚を作ることもできる。それにリアシートはフラットに畳むことができる。

室内にはカップホルダーが10箇所設置されており、他にも収納スペースは数多く用意されている。インテリアはそれほどスタイリッシュというわけではないのだが、シンプルだし、あるべき場所にあるべきものがちゃんと配置されている。

中身は大きく変わっており、サスペンションやステアリング、ブレーキは新設計だし、ボディ剛性も向上している。

エンジンは1.2Lガソリンと1.4Lガソリンの2種類しか設定されない。旧型フィットにはCVT(このCVTは信頼性の高かった旧型ジャズで唯一壊れやすかった)が設定されていたのだが、新型ではセミオートマチックトランスミッションが設定される。

今回試乗したのは1万2,790ポンドの最上級グレード「1.4EX」で、クルーズコントロールをはじめ豊富な装備が付いている(なお、最も安い1.2Sの価格は9,990ポンドだ)。

試乗車は5速MTで、燃費のために5速がロングレシオとなっている。ジャズの燃費は21.9km/Lと良好で、ディーゼルモデルがないことも気にならない。また、ギアチェンジのタイミングを教えてくれる表示もある。これは便利なのだろうが、車の運転に慣れているのであれば、いちいち教えて貰う必要はないだろう。

一般にディーゼルの方が高価なため、元を取るためには長距離を乗らなければならない。それでもジャズの22km/Lの燃費に満足できないのであれば、ハイブリッドモデルの追加を待つ手もある。

ジャズは運転していて楽しいわけではない。そもそもこれは楽しさを追求した車ではない。車が好きならシビックタイプRを買えばいい。

ただ、運転は非常に楽だ。操作系は軽いし、応答性も高く、100PSのエンジンも必要十分だ。それに乗り心地も良い。道の悪い場所では暴れがちだった旧型よりも改善している。

今や大半のディーラーで閑古鳥が鳴いている。重い腰を上げて新車を買うのも悪くないだろう。この車を買えば、買ってから15年はセールスマンと会わなくて済むだろう。


Review: Honda Jazz 1.4EX shows why wise old birds come back to Honda