今回は、イギリスの大人気自動車番組「Top Gear」でおなじみのジェームズ・メイが2011年に英「Telegraph」に寄稿したアメリカ版「Top Gear」をテーマにしたコラム記事を日本語で紹介します。


Top Gear USA

車名が普通の名前であるべきなのか、それともアルファベットと数字の単純な組み合わせであるべきなのか、私はまだ判断しかねている。

私の愛車のロールスを例に考えてみよう。車名はロールス・ロイス コーニッシュなのだが、私はこのとろけるような名前の響きを非常に気に入っている。

高級チョコレート同様、高級感や威厳のある語感だし、ブティックに乗り付けるにはぴったりの名前だ。しかし、ひょっとしたらこれは私に先入観があるからなのかもしれない。

コーニッシュの初代モデルは購入するべきではない。トランスミッションは厄介だし、それにこの車の元々の名前は「ロールス・ロイス シルヴァーシャドウ 2ドア フィックストヘッドサルーン by H. J. ミュリナー・パークウォード」だった。車名が改められた理由は想像に難くない。

そもそも、シルヴァーシャドウという名前自体が変だと思う。シルバースプーンとかそれくらいの名前では駄目だったのだろうか。ベントレー版の車名はT1とT2だ。こちらの方が適しているように思う。

アメリカ人は車の命名に長けている。コルベット、シェベル、コンチネンタル、ブロアム。ドイツ人はアルファベットと数字の組み合わせを作ることに長けている。CL65 AMG, BMW 635 CSi。

最近ではイギリス人の命名センスも良くなっているのだが、愛国心を出してしまうとどうも駄目なようだ。オックスフォード、ケンブリッジ、コンサル、アンバサダー。

フィエスタなどは素晴らしい名前だ。私が10代の頃、同じ名前のポルノ雑誌が建設現場によく落ちていたのだが、それでも小型車の楽しさをよく表した名前だと思う。しかし、RS2000には負けてしまう。

フォードが犯した最大のミスはプローブという名前の車を生み出したことだ。一体何を考えていたのだろうか。

ディーラーに同情せずにはいられない。「プローブはいかがでしょうか?」という質問は「クロワッサンはいかがでしょうか?」という質問と並んで「ノー」と言われる可能性が高い質問だ。

ともかく、ここでTop Gearのアメリカ版について検討してみたいと思う。私はこの番組に出演する3人組を羨ましいとは思えない。なにしろ、彼らは特に意味もなく、既に存在しているよく知られたフォーマットに従わなければならないのだから。

彼らは我々が作った慣例に従わなければならないのだが、かといって司会者同士が互いに憎しみを募らせ合ってきた長年の実績があるわけではない。

しかし、いずれは彼らが我々に打ち勝ち、我々の死体の上に立って、メドゥーサの首を掲げるペルセウスのようにクラークソンの生首を掲げ、彼らこそが真のTop Gearになるのだろう。

司会者の一人はプロのレーシングドライバーであるタナー・ファウストだ。これはまるでゲーテの本の中から飛び出してきたかのような名前だし、まさにレーサーになるために生まれたかのような名前だ。それに比べればジェームズ・メイなんて名前の私はいかにも地味だ。

どうも。レーシングドライバーのタナー・ファウストです。
これだけの名前の響きの良さは、人生というサーキットにおいては5秒くらいの差を生み出すことだろう。その間、私はピットでただもたついているだけだ。

続いて、二人目の司会者は俳優のアダム・フェラーラだ。この名前はきっと車の名前に由来しているのだろう。もし私が車と同じ名前になれたとしても、せいぜいミスターMGマグネットくらいにしかなれないだろう。

エマーソン・フィッティパルディが靴屋の店主になりえないのと同じように、アダム・フェラーラなんて名前の人がヨガチャンネルに出てくるようなことはありえないはずだ。

私のようなありふれた苗字の人間がバーで名前を覚えてもらおうと必死になっている一方で、ハンサムな彼はきっと人間スーパーカーを自称しているのだろう。これは不公平だし、両親を恨みたくもなる。

そして最後の一人がラトリッジ・ウッドという自動車評論家だ。彼は顎髭を蓄え、ランバージャックシャツを着て、オタクっぽい眼鏡をかけており、アラバマ州出身で、少し丸々している。いかにも学者的だ。

実際、ラトリッジ・ウッドなんて名前には、朝のRadio 4で紹介されているようなアメリカの有名小説の作者のような響きがある。

結局、平凡な名前の私では彼らには敵わない。自動車も人生も同じだ。トライアンフ・スタッグには成功が約束され、オースチン・マキシはそうではなかったように、彼らには成功が約束され、そして私はそうではない。

なので、私はすでに彼らのことを嫌っている。


Top Gear US: why I hate the presenters already