今回は、イギリスの大人気自動車番組「Top Gear」でおなじみのジェームズ・メイが2008年に英「Telegraph」に寄稿した、車重をテーマにしたコラム記事を日本語で紹介します。


Lotus Elan

燃料を節約したいのであれば、ジャッキを車から降ろしてグローブボックスを空にするべきだ。しかし、シートはどうすればいいだろうか。

以前にも言ったことがあるのだが、原油価格高騰に対処するための唯一の方法はストライキだ。車を使う人、ボートを使う人、バイクを使う人、飛行機を使う人、芝刈り機を使う人、全員が結託してガソリンの使用をやめる必要がある。

緑の党もきっと喜ぶだろう。最初の数日間は。しかしやがて、ストライキの影響が緑の党の痛いところを突きはじめる。すぐにシイタケやニョッキの供給は止まってしまうはずだ。電灯は点かなくなり、1週間以内に大蔵省が破綻し、ようやく原油価格は下がる。単純な話だ。

実際は、エコドライブの方法を指南され、燃料をわずかに節約することが推奨されている。場合によっては「自家用車の利用は控えましょう」というアドバイスをされることもある。これは敗北主義的な考え方だ。この考え方に沿えば、食料価格高騰への簡単な対処方法を編み出すこともできる。

しかし、基本的には重量の削減をアドバイスされることが多い。統計的に考えると、わずかに重さを減らすだけでも、それが積み重なれば国単位では燃料代を数兆ポンド節約することができる。ただし、各々が節約できる燃料代は微々たるものだ。

そもそも、車に乗るときに重量を削減するよりも、車を設計する時点で車を軽くした方がいいのではないだろうか。

先日、あるメルセデスから運転席を取り外したのだが、驚くほど重かった。最初はまだボルトが全部外れていないのかとも思ったのだが、ただ重すぎて持ち上げられなかっただけだった。

シートの重さに弁解の余地はない。不必要に車が重くなって金を浪費するだけでなく、無駄に大きいので暑い夏の日には熱気を吸い込んで保持してしまう。テニスラケットのようなメッシュ素材のシートにすることはできないのだろうか。

重さは車において諸悪の根源だ。重い車をちゃんと加速させるためにはパワーが必要になるし、減速する際にはブレーキパッドを浪費するし、当然ガソリンの消費量も増えてしまう。

しかも、カーブでは重さが惰性を生み出し、それが大きな問題になる。軽い車は小さな(そして安い)タイヤで十分だし、走りも軽快で俊敏に加速してくれる。

しかし、今の車はどれも重い。使っている物が少ないはずなのに高価になっているスーパーカーの軽量バージョンすら、昔の車ほどには軽くない。

全長9.7mの翼を持ち、6.0Lの空冷フラット4を搭載する私の2人乗り飛行機すら、重さはわずか583kgだ。一方、2シーターの小型スポーツカーであるマツダ・MX-5(日本名: ロードスター)はその約2倍の重さだ。そう考えると、BMWのコンセプトカー、GINAは賞賛に値する。もう少し改良すれば空さえ飛べるかもしれない。

MX-5に言及したので、その着想の元であるロータス・エランにも言及しよう。史上最も楽しい車とも言われているこの車の重さはわずか680kgだ。

コーリン・チャップマンは「加える物は軽さだけ」という名言を残しているが、誰も彼の言葉を聞かなかった。事故が起きたら危ないじゃないか、と反論する人もいるかもしれないが、「だったら車に乗るな」と同じレベルの反論をしよう。事故を起こさなければいいじゃないか。簡単なことだ。

エランのおかげで自動車メーカーに重さは敵であると認識させる方法を思いついた。紙面が尽きたので残念ながらここに書くことはできない。

ともかく、小規模な自動車メーカーならば世界に向けて前に進む方法を示すことができるかもしれない。それこそが成功への道だ。


James May's greatest hits: take a back seat - and throw it away