今回は、英国の人気自動車番組「Top Gear」でおなじみのリチャード・ハモンドが2013年に英「Mirror」に寄稿したフェラーリ・F12ベルリネッタの試乗レポートを日本語で紹介します。


F12

1976年のF1世界選手権におけるジェームス・ハント(マクラーレン)とニキ・ラウダ(フェラーリ)の戦いを描いた映画『ラッシュ/プライドと友情』はもうご覧になっただろうか。個人的にはとても良い映画だったと思う。

ラウダの乗ったフェラーリはおよそ500PSを生み出す3.0Lの12気筒エンジンを搭載しており、ラウダがこれに乗って死にかけたことも有名だろう。当時のF1マシンはどれも似たようなスペックだった。

そんなフェラーリが生み出したフロントエンジンのV12スーパーグランドツアラー、フェラーリ・F12の最高出力は740PSだ。実に驚異的な数字だ。この数字に勝てる車はブガッティ・ヴェイロンくらいしかないし、ヴェイロンのほうがかなり重いので、速さはそれほど変わらない。

道を走っていて馬力が足りないと思うことなどない。0-100km/hは3秒でこなし、最高速度は320km/hを超える。当然、この実力を公道で出すことはできないし、それどころかサーキットへ持ち込んだとしても全力は出せないかもしれないのだが、それだけの実力がある車を持っているというだけでかなり満足できるはずだ。

フェラーリに払った金はすべてがエンジン代で、それ以外はおまけとしてタダで付いてくる、なんてことがよく言われてきた。それが事実なら、エンジンが23万9352ポンドで、それ以外が0ポンドになるはずだ。実際、原子力発電所並のこのエンジンにはそれだけの価値がある。

interior

搭載される6.3Lエンジンは8,250rpmまで回って鼓膜を刺激するのだが、そこに至るまでの音がまた心地良い。個人的にセミオートマチックトランスミッションはあまり好きではないのだが、F12はあまりに速く、暴力的な変速を見せてくれるので、他のトランスミッションなど考えられなくなってしまう。

ステアリングはまるでF1マシンのそれのようで、スイッチ類がたくさん配置されている。

トラクションコントロールのセッティングは、超安全モードから完全オフまで多様に用意されている。雨の中、トラクションコントロールをオフにして飛ばそうものなら、ほぼ確実に事故を起こしてしまうだろう。

もっとも、あなたがニキ・ラウダなら話は別だ。


New Ferrari F12 has 731bhp under its bonnet - that’s absolutely amazing