今回は、イギリスの大人気自動車番組「Top Gear」でおなじみのジェームズ・メイが2009年に英「Telegraph」に寄稿した駐車スペースに関する問題をテーマにしたコラム記事を日本語で紹介します。


Parking Problems
皮肉なことに、車が一番必要な場所で一番厄介な問題が起こっている。その場所とは街中だ。車は長距離の移動には向いていない。なにせ自分で運転しなければならないのだから、ずっと集中していなければならない。ロンドンからエディンバラに行くなら、車よりも電車を使ったほうがずっといい。電車のほうが速いし、電車の中にはバーだってある。

同様に、イングランドからイタリアまで車で行くような馬鹿はほとんどいない。なにもフランスを通らなければいけないことが理由というわけではない。ボーイング757を使えば約10分の1の時間で到着するのだから、こちらを選ぶのは当然だ。

しかし、駅から空港へ行く手段は必要なので、ここで車の出番となる。公共交通機関の利用を推進する人たちは路面電車やバスの利用を勧めてくるのだが、いずれも便利とは決して言えず、目的地から遥か遠い場所で降ろされてしまう。だからこそ、街中にはいつも車が溢れている。

しかし、本当の問題は動いている車ではなく止まっている車にある。ここ2週間で長旅のために公共交通機関をたくさん使ったのだが、336時間のうちで愛車のフィアット・パンダが動いていた時間はわずか8時間、すなわちほんの2.4%だけだった。97.6%の時間は鳩の糞を集めながらただ外に佇んでいるだけだった。実際に使われている車などほとんどなく、大半の車はただ何もせず出番が来るまで待っているだけだ。

全員がスマート・フォーツーやG-Wizを購入すればある程度ましになるのだろうが、一つの社会問題が解決する代わりに、また別の社会問題が生まれてきてしまう。こんな車に乗っていると、国民全員が鬱状態になり、自尊心も失ってしまう。

そもそも、スマートを買うような人の多くは金持ちで、既存の車の代替として購入するのではなく、むしろ、街乗りのためのセカンドカーとして買っているのではないだろうか。要するに、もともと1人あたり1台だったはずの車が、1人あたり1.5台に増えてしまっているのではないだろうか。

折り畳み式自動車というものが開発されていない現時点においては、もっと多くの駐車場を確保することが重要だと思う。

私自身、家の駐車場が足りていない状態なので新しい土地が必要だ。そこで、近所を少し散歩をしてみることにしたのだが、恐ろしいことに気付いた。私の家の近所には駐車場がほとんどなかった。

近所の家のほとんどが自動車の発明以前に建てられていたことを考慮したとしても、それは言い訳として不十分だ。我々は時代に追いついていかなければならない。

私の住んでいる土地の価値はかなり高いのだが、家自体にそれほど価値はない。建て直すにしてもせいぜい15万ポンドしかかからない。

一方で、同じくらいに利便性の高い場所に今よりも広い土地を購入して家を建てるとなると、さらに75万ポンド追加でかかってしまう。それだけでなく、保険をかける必要もあるし、不動産業者に仲介料を支払う必要もある。要するに、車を複数台持つということは、それだけお金がかかるということだ。

しかし、私は別に大きな家が欲しいわけではない。大きな家を買えば家具もたくさん買わなければならないし、カーペットもたくさん買わなければならないし、屋根の修繕費も高くなるし、誰かが泊まりに来る可能性も高くなる。私が欲しいのはあくまで駐車場だけだ。

そう考えると、今住んでいる家を壊し、空間効率の優れた近代的な家を建て、広い駐車場を確保することこそが、この難問に対する答えなのだろう。完璧な答えではないだろうか。


James May's greatest hits: parking problems