今回は、英国の人気自動車番組「Top Gear」でもおなじみのリチャード・ハモンドが2011年に英「Mirror」に寄稿したレクサス・CT200hの試乗レポートを日本語で紹介します。


CT200h

CT200hはさして面白い車ではない。少なくとも、田舎のコーナーを走らせて楽しい車ではない。CT200hの存在意義は一点に集約される。この車は、トヨタ車(プリウス)に乗ることを恥ずかしいと思いながらも、それでも善行をしたいと考えている人のための車だ。

レクサスのハイブリッドカーとしては、CT200hの位置付けは分かりやすい。しかし、LS600hの存在意義はよく分からない。LS600hは最高出力445PSを発揮するV8エンジンを搭載する10万ユーロ超えの高級車だ。10万ユーロ超えの車を買うとき、他のライバルよりもわずかに環境性能が高いことだけを理由にLS600hを選ぶ人間など果たして実在するのだろうか。ジェットスキーに乗る象を見つけるほうが簡単そうだ。

ともかく、CT200hの話に戻ろう。デザインについては各々に判断を任せたいと思う。僕自身には判断できない。家にある洗濯機のデザインの良し悪しが判断できないのと同じだ。穏やかで無害なデザインだと表現しておくのがいいかもしれない。

ともかく、室内に乗り込むと印象はかなり良くなる。真っ当なレクサスらしい質感もあるし、飽きることのないギミックがたくさん用意されている。BMWのiDriveのダイヤルのように操作できるマウス風のスティックも付いている。このスティックは手にぴったりと収まる。

スティックの前方にはPと書かれた小さなボタンがあるので、これを押すと電動パーキングブレーキがかかると思う人もいるだろう。しかし、パーキングブレーキは足元に足踏み式のものが別にある。CT200hの操作には慣れが必要だ。

EVモードを使って楽しむこともできる。センターコンソールにあるボタンを押してEVモードを選択すると、バッテリー残量が少なくなるまでモーターで走行することができる。電気が足りなくなると1,798ccのエンジンが始動して車の駆動およびバッテリーの充電を行う。これを使えば、エンジンが始動するまでどれだけの距離を走れるか挑戦したり、あるいはEVモードのままどれだけ速く走れるか挑戦したりすることができる。

インパネのディスプレイには車のリアルタイムの状況がグラフィックで表示される。アーカイブ表示も可能で、過去数日間にどれだけエコな運転をしたかが分かる。

CT200hではそこそこの距離を電気で走ることができる。僕もモーターのみで800m走らせることができたし、練習すればもう少し距離を伸ばすこともできるはずだ。

エンジンが始動する際の音は驚くほどに静かだ。それに、エンジン自体の静粛性も高い。ただ、レクサスの高級車であるにもかかわらず、乗り心地はさほど良くない。

28,974ユーロのレクサスのハイブリッドハッチバックにスポーティーさを求める人などいないはずだ。購買層が求めているのは快適性と質感だろう。

走る楽しさを求めるなら、BMW 320dを購入すべきだ。こちらも経済性は非常に高いし、それでいて163PSという最高出力や優れたハンドリングも兼ね備えている。

経済性に関しては、レクサスも負けてはいない。当然ながら、24.4km/Lというカタログ燃費は信用に値しないだろうが、普通に走っていても16km/L程度の燃費は出る。

しかし、政府の定める燃費の数字に我々はあとどれだけ振り回されればいいのだろうか。こんなものは無意味だし誤解を招きかねない。1Lの牛乳を買って、家に帰って計量してみたら750mLしか入っていなかった、なんてことはありえない。

それに、メーカーオプションのナビの値段が馬鹿みたいに高い点についても頭にきている。CT200hのナビは2,127ユーロだ。僕が持っているヘリコプター用のGPSのほうがまだ安い。

CT200hのCO2排出量は94g/kmなので、ビジネスカーとして使うのであれば税制上も有利だし、安くリースできるだろう。

CT200hはチェス好きに気に入られそうな車だ。しかしながら、個人的にはチェスよりもペイントボールのほうが好きなので、僕ならばBMW 320dを選ぶ。


Few smiles but plenty of miles for new green Lexus