今回は、英国の人気自動車番組「Top Gear」でもおなじみのリチャード・ハモンドが2006年に英「Mirror」に寄稿したダイハツ・シリオンSX(日本名: ブーンカスタム)の試乗レポートを日本語で紹介します。


Sirion SX

飾りのたくさん付いたハーレーにレザーパンツを穿いたライダーが乗り、『ワイルドでいこう!』を歌いながら夕日に向かって走っている姿を想像してみてほしい。違和感を覚えないだろうか。

一方の僕はBMW R1150GSに乗っている。分からない人もいるだろうから説明すると、これはパリダカ風のバイクだ。巨大で扱いづらく、この上ないほどにダサい。このバイクに乗ると、僕の中にあるフーリガンの心が解放される。

最初にバイクの話をしたのは、ダイハツ・シリオンSXとの比較がしたかったからだ。シリオンは巨大という概念とは程遠い。むしろ扱いやすい。それに、特別ダサいわけでもない。もっとも、この車のポスターが欲しいなどとは露ほども思わないが。

しかし、BMWのバイク同様、この車は僕の奥底に眠っている獣を解き放ってしまう。こんな小さなコンパクトカーなのに意外だろう。

1.3Lという小排気量エンジンを積み、14インチという小径ホイールを履いているのだが、僕はまるでスバル・インプレッサのラリーカーに乗っているかのような気分でこの車を運転していた。しかしどうしてだろうか。

SXにはスポイラーやエアスクープ、アルミホイールやステッカーなどが付いているのだが、どれも飾りにすぎない。要するにこの車は、何の変哲もないシリオンにレーシングスーツを着せただけの車であり、レースの教養はない。

エンジンの最高出力はわずか87PSで、普通のシリオンと何ら変わらない。0-100km/h加速は11秒とかなり遅いし、最高速度はわずか171km/hだ。

しかし、SXにはスポーティーな回転計やメッシュグリル、サイドスカート、スポイラーが付いている。

はっきり言って、車の実力として考えると、以前にTop Gearで試乗したショッキングピンクの日産・マイクラC+Cと同じくらいのレベルだ。しかし、どうしてか悪い印象は受けなかった。

車がフェイクのスポーツウェアを着ていると、ドライバーも自分がスポーツカーに乗っているかのような気分になれる。

ステアリングはシャープで反応も早く、ブレーキも効きやすいし、エンジンはやかましいながらも応答性が高くて元気も良い。コーナーを少しオーバースピードで抜けるのは楽しかったし、街中では狭い車間に割り込むような少し乱暴な運転をしてしまった。

確かに、シリオンの見た目は少し奇妙なのだが、箱型の形状のおかげで室内空間はかなり広い。自分のマウンテンバイクを積載することもできたし、荷室にTop Gear Dogを乗せても不満はなさそうだった。

しかし、この車には大きな問題がある。価格は9,290ポンドと高く、これだけあれば低価格なホットハッチが購入できてしまう。とはいえ、マウンテンバイクや犬を車に乗せなければならないが、他とは違う車が欲しいという人には、ひょっとしたらぴったりな車なのかもしれない。


HARD DAI