今回は、英国の人気自動車番組「Top Gear」でもおなじみのリチャード・ハモンドが2009年に英「Mirror」に寄稿したトヨタ・アベンシスツアラー 2.2 D-4D の試乗レポートを日本語で紹介します。


Avensis Tourer

トヨタ・アベンシスはタクシー用車両として人気があり、飲酒可能年齢に達している人ならば誰しもがアベンシスのリアシートに座ったことがあるだろう。きっと、パブやクラブの帰りにくたびれたアベンシスに乗った経験があるはずだ。

フランクフルトを走るメルセデス・ベンツのタクシーの堅牢さを語る人も多いが、トヨタ・アベンシスは格が違う。メルセデスに乗るのはビジネスマンであり、一方でイギリスのタクシーの場合、車内で喧嘩をする客もいるし、食べかすを撒き散らす客もいるし、そもそもろくに点検すらされていない。もはや防弾車の域の堅牢性だ。

これまでのアベンシスの見た目の魅力は洗濯機と同等だった。なので、試乗車と対面したとき、驚きを禁じ得なかった。試乗車はステーションワゴン(トヨタはツアラーと呼んでいる)だったのだが、比較的スタイリッシュに見えた。

BMWのリアをトヨタ車にくっつけたような見た目だ。ただし、フロント部分のデザインは退屈で、ここ15年間に登場してきた数ある日本車と大差ない。なので、前向き駐車をすれば周りからは注目されることだろう。

アベンシスにはトヨタ製の2.2Lディーゼルエンジンが搭載される。メーカー公表値では最高出力が150PSだそうだが、おそらくは誤植だろう。実際に運転してみると750PSくらいはあるように感じられた。

それは大袈裟にしても、エンジンは非常に元気があった。0-100km/h加速は公称値9.2秒だそうだが、それよりも明らかに速く感じられる。最高速度は211km/hだそうだが、試乗した日は道に雪が積もっていたので確かめられなかった。

室内は作りこそしっかりしているのだが、実に平凡だ。しかし、これはタクシーとしての用途を考えるとむしろ適している。鮮やかな色のスイッチや変わった形状の飾り物を付けたりすれば、酔っぱらいの乗客がお菓子と間違えて食べようとしてしまうかもしれない。

interior

試乗車はT4という21,535ポンドのグレードで、さまざまなオプションが付いており、特に1,500ポンドのオプションであるシートヒーターは冬の季節には非常にありがたかった。また、バックカメラ付きのナビも便利だった。迷うのはお尻が冷えるのと同じくらいに不愉快だ。

残念なことに、アベンシスには電動パーキングブレーキが付いている。スイッチはステアリングの裏側にあり、探すのにも一苦労だ。それに、パーキングブレーキをかけないと、車が動き出してしまうかもしれないと警告されてしまう。

4年後くらいには次期型アベンシスが登場し、大幅に進化したと宣伝されることだろう。見た目ももう少し魅力的になっているかもしれない。しかし、アベンシスの足回りを今以上に向上することは可能なのだろうか。

乗り心地は低速では少し跳ね気味なのだが、最近の車のほとんどは大して乗り心地がよくない。アベンシスの場合、スピードを上げると相当に快適だ。高速道路ではほぼ無音だし、どんな場面でもエンジンに不足を感じないため、変速しようとさえ思わない。

運転していて楽しい車ではないのだが、それはフォード・モンデオもヴォクスホール・インシグニアも同じだ。

試乗車を借りる期間はまちまちなのだが、アベンシスは1週間ずっと借りていた。どこへ行くにもアベンシスを使ったのだが、給油は1回しかしなかった。正確な値は分からないのだが、多分15km/Lくらいは走ったと思う(ちなみに、カタログ燃費は17.8km/Lだ)。燃料タンクは60Lあるので、航続距離はおよそ900kmだ。

アベンシスを買うとしたら、ステーションワゴンを選ぶのが賢明だろう。リアシートを倒せば荷室は1,609Lもあり、非常に便利そうだ。

製造はダービーシャーの工場でイギリス人労働者の手によって行われており、いずれはイギリス人のタクシー運転手がイギリス人の酔っぱらいを乗せることになるだろう。非常に愛国的な車だ。当然、僕もこれから何度となく乗ることになるだろう。


Review: Toyota Avensis Tourer 2.2 D-4D T4