今回は、英国の人気自動車番組「Top Gear」でもおなじみのリチャード・ハモンドが2010年に英「Mirror」に寄稿したレクサス・LFAの試乗レポートを日本語で紹介します。


LFA

LFAのデザインは見る角度によっては衝撃的だ。1970年代のSF映画から飛び出してきたかのようだ。

V10エンジンはこの車のためだけに設計されている。回転数は成層圏レベルまで回り、髪の毛を逆立たせるほどの咆哮を轟かせる。最高出力560PSを誇り、わずか3秒ちょっとで100km/hに達する。

インテリアはまさにバック・ロジャーズの世界だ。メーターはデジタル表示で、エンジンをかけると滑らかに始動し、実際に加速をしはじめるとあちこちの表示がめまぐるしく変化する。思わず宇宙服を着て運転したくなるようなSF感だ。

30万ポンドを超える価格設定は、LFAのために新たに開発されたカーボンモノコックシャシによるところが大きいのかもしれない。新しい素材を使って車を作ることは良いことだと思う。

V10エンジンは、絶叫し、悲鳴を上げる。アクセルを踏んだ瞬間からとてつもない力が解き放たれ、先ほどまで見えていた星たちを遙か後方へと追いやってしまう。560PSという出力のなせる技だ。それに、このエンジンは威勢も良く、9,000rpmのレッドゾーンまで一気に吹け上がる。

シャシにしてもボディにしてもしっかりと考え抜かれているのだが、事実、560PSのパワーを解放するときにはかなりの剛性が要求される。そして、実際に全開にしても、LFAはバランスを崩すことなくしっかり走る。

トランスミッションも他の平凡なレクサスとは別物だ。LFAに採用されるのは高剛性のトランスミッションなのだが、流行りのデュアルクラッチユニットではない。

LFAには特別感がある。幅の広さ、未来的なインテリア、デジタルな計器類、咆哮するV10エンジン、上質な仕上がり。そのどれもが、他の車とは一線を画している。

しかし、30万ポンド超という価格まで考慮してもなお、魅力的な車と言えるのだろうか。フェラーリ・458イタリアは17万5000ポンド、ランボルギーニ・ムルシエラゴ LP-670は27万5000ポンドだ。

しかも、この2台にはそれぞれ、フェラーリの、そしてランボルギーニのバッジが付いている。一方のLFAにはレクサスのバッジが付いている。アラン・パートリッジもレクサスに乗っている。これこそがLFAの最大の問題だ。

ただし、レクサスはLFAを売って利益を出そうとはしていない。LFAはレクサスのブランドイメージを刷新するために生まれたモデルだ。

LFAについて考えるとき、どうしても頭に浮かんでくるアルファベットが3文字ある。それがGTRだ。日産 GT-RはLFAと同等に速く、見た目も優れており、先進技術もふんだんに使われており、それでいて価格はおよそ5万ポンドだ。

ひょっとしたら、レクサスはLFAを発売するタイミングを見誤ったのかもしれない。


Richard Hammond's road test: The Lexus LFA