今回は、英国の人気自動車番組「Top Gear」でもおなじみのリチャード・ハモンドが2014年に英「Mirror」に寄稿したルノー・トゥインゴの試乗レポートを日本語で紹介します。


Twingo

他と違うことは良いことだ。そして、ルノー・トゥインゴは明らかに他とは違う。なにより、この車はリアにエンジンが搭載されている。

ルノーはかつて、リアにエンジンを積んだ小型車を何台も作ってきた。しかし、1967年のルノー・10を最後に作るのをやめてしまった(ただし、ルノー・5ターボやクリオV6のような特殊なモデルは例外とする)。他の自動車メーカーも同じだ。初代フィアット・500や初代ビートルもリアエンジンだった。

ではどうしてエンジンをフロントに搭載するようになったのだろうか。それは安いからだ。新型トゥインゴのエンジンがリアに搭載されるようになったのも、ダイムラーと共同開発してコストを削減できたからだ。ルノーは新型トゥインゴを生み出し、同時にダイムラーには新型スマートが誕生した。2台のうち、最初に発売されるのはトゥインゴだ。

では、どうしてトゥインゴはエンジンをリアに搭載したのだろうか。トゥインゴは後輪駆動のため、フロントにドライブシャフトがなく、かなり小回りが効くようになっている。前輪が45度も曲がるので、最小回転半径はわずか4.3mだ。実際に駐車してみると違いは明らかだ。

エンジンは2種類しかなく、今回はその両方に試乗した。パワーのあるほうは898ccのTCe 3気筒エンジンで、クリオ(日本名: ルーテシア)やキャプチャーにも搭載されているものだ。これにはターボが付いており、最高出力は90PSだ。もう一方はノンターボの1.0L SCe 3気筒エンジンで、最高出力は70PSだ。

ターボエンジンは11,695ポンドのDynamiqueにのみ搭載される。しかし、ターボが選べないことを嘆く必要はない。

いずれのモデルも速くはない。特に70PS版はかなり遅い。90PS版は0-100km/h加速10.8秒で、一方の70PS版は14.5秒だ。ただし、ターボモデルはピーキーでスロットルレスポンスもあまり滑らかではない。一方、ノンターボは低回転域からレスポンスが良く、音も良い。

発売当初は5速MTしか設定されないのだが、2015年9月にはターボモデルにセミATが追加される。いずれ、ハイパフォーマンスモデルが追加される可能性も高そうなのだが、ルノーはその点について口を閉ざしている。

後ろから聞こえてくるエンジンの音を例外として、運転していてRRっぽいと思うことはほとんどない。これはむしろ喜ぶべきことだ。歴史的にRR車はトリッキーな傾向にあったからだ。ポルシェ・911も35年間かけてサスペンションが調節され、ようやく落ち着いた車になった。

トゥインゴは多少飛ばしても十分に落ち着いている。コーナーで楽しめる車を求めてトゥインゴを選ぶとむしろがっかりするかもしれない。

リアにエンジンを置いたことで空間効率も改善している。リアシートに大人が座ると膝がフロントシートバックに当たってしまうのだが、それでも十分快適に座ることができる。

ただし、テールゲートを開けると欠点も見えてくる。ルノーはエンジンを平らにしようと努力はしているのだが、それでも荷室はある程度失われている。911やビートル同様にフロントにも荷室があるかのと思えば、そんなこともなかった。

ボンネットを開けても、ウォッシャー液を追加するかバッテリーを交換することしかできない。それに、このスペースはラジエーターや衝撃吸収のためにもあけておく必要がある。

とはいえ、リアシートの下の収納スペースや前後のドアポケットをはじめ、室内には収納スペースが多く用意されている。

旧型トゥインゴは退屈な車だったが、新型はそれと対照的に面白い車だ。今年の個人的カー・オブ・ザ・イヤーの有力候補でもある。


Richard Hammond: New Renault Twingo's rearguard action makes it a car of the year contender