今回は、英国「Auto Express」によるアストンマーティン・DB11 V8の試乗レポートを日本語で紹介します。


DB11 V8

我々はアストンマーティン・DB11を気に入っている。昨年試乗したV12モデルは完璧にほど近い車だった。ただし、インテリアの質感は16万ポンドという価格には見合っていないように思えた。

新たに、V8エンジンを搭載したDB11が登場した。価格は144,900ポンドで、最近のメルセデスAMGのモデルの大半と共通の4.0L ツインターボV8エンジンが搭載される。このエンジンには手が入っており、AMGらしさを減らしてアストンマーティンらしさが付加されているそうだ。

V8モデルはインテリアデザインも大幅に変更されており、全体的な質感も向上している。ただし、ブラックのエアコン吹き出し口は2万ポンドのメルセデス・ベンツ Aクラスのものにも似ている。質感は確かに向上しているのだが、ベントレーを脅かすほどのレベルには至っていない。

サスペンションはうまく調整されており、V12モデルよりもより俊敏でシャープでスポーティーな印象となっている。リアサスペンションは10%硬くなり、パワーステアリングはフィールを増すために重くなっている。

V8エンジン単体は5.2L ツインターボV12エンジンと比べると100kg近く軽く、全体ではV12モデルよりも115kg軽い。結果、燃費性能は15%改善しており、普通に運転した場合でも2~3km/L程度は改善するそうだ。

rear

ZF製8速ATを操作するパドルシフトの挙動も変更されている。パドルの動き幅が50%も削減されており、従来よりもずっときびきびと操作することができる。

実際に運転してみると、価格が安いにもかかわらず、V12モデルよりも優れている点が見えてくる。エンジン音、敏捷性、そして速度の3点だ。

アストンが公的に認めることはないだろうが、V8モデルはV12モデルより魅力的なだけでなく、現実的なコンディションであれば、ウェット路面だろうとドライ路面だろうと、V12モデルよりも速く走れるはずだ。

確かに、カタログスペックではV12モデルに負けている。0-100km/h加速はV12モデルが3.9秒なのに対して、V8モデルは4秒かかる。最高速度はV12モデルが322km/h、V8モデルが301km/hだ。V12モデルが608PS、V8モデルが510PSであることを考えれば、この差も当然だろう。

しかし、トルク、特にトルクウェイトレシオについては、68.8kgf·mのV8モデルのほうが有利だ。その結果、現実世界ではV8モデルのほうが速く走れる。ブレーキペダルのフィールやストロークも変更されており、ちょっと踏むだけでも非常に気持ちが良い。それに、V8のほうが軽いので制動距離は短縮している。

interior

しかし、最大の違いはシャシにある。軽量化されたことも影響しているのだが、一番影響しているのはリア部分が強化された点だ。この結果、ノーズがより機敏になり、道路に挑む武器として、V12よりも優秀な存在になっている。

旋回は非常に正確で、コーナリング途中のバランスも素晴らしく、電子制御ダンパーのモードを3つ(GT, SPORT, SPORT+)のうちどれにしていても非常に落ち着いた走りを見せてくれる。

問題点についても述べよう。依然として大きさは感じるので、今回試乗したスペインの狭い道などでは少し怖さを感じることもある。Aピラーはやたらに太いので視界も制限されてしまう。


New Aston Martin DB11 V8 2017 review