米国「MOTOR TREND」による新型 日産・アルティマ(プロトタイプ)の試乗レポートを日本語で紹介します。


Altima Prototype

SUVが新しいファミリーセダンだ
アメリカ人はセダンを捨てて次々クロスオーバーに乗り換えている
新しいトレンドによってセダンが絶滅しかけている

…そんな話題が聞かれるようになってもう久しい。それゆえ、フォードなどの自動車メーカーはセダンを見切りはじめているのだが、果たして日産はどうだろうか。

その答えは明白だ。セダンを多く販売している日産は、新型アルティマを生み出した。そして今回、実際に試乗してみて、アルティマをこれまで以上にたくさん売ろうという日産の気概が実感できた。

販売台数は減少しているものの、2017年には5代目アルティマが25万台も売れている。訃報が伝えられたはずのセダンではあるが、実は依然として元気がある。日産によると、変わったのは顧客層だそうだ。今やセダンに乗るのは家族ではなく、周りとは違う車に乗りたい人達だそうだ。そういった傾向を考慮し、日産は、従来より魅力的で走りが良く、先進技術を満載した新型を作り出した。

ただし、今回の試乗はあくまで新型アルティマに搭載される2種類の新パワートレインの実力や走りを体験するためのものであり、それ以外の詳細については日産から箝口令が敷かれている。

新型アルティマの最大の注目点はやはり、可変圧縮比「VCターボ」エンジンが搭載されたことだろう。これは高級クロスオーバーSUVのインフィニティ・QX50に先行搭載されている。技術的詳細については割愛するが、ごく簡単に言えば、文字通りエンジンの圧縮比を自動的に変更することのできるエンジンだ。

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燃費性能を追求して高い圧縮比に固定するわけでも、パフォーマンスを追求して低い圧縮比に固定するわけでもなく、VCターボエンジンは圧縮比を8:1から14:1まで自在に変更し、必要に応じて燃費性能とパフォーマンスをうまくバランスさせている。

レギュラーガソリンも使用できるのだが、日産によると、エンジンの性能を完全に引き出すためにはプレミアムガソリンの使用を推奨するそうだ。新型アルティマに搭載される2.0L 直列4気筒 VCターボエンジンは最高出力251PS、最大トルク37.7kgf·mを発揮する。旧型の3.5L V6エンジンと比較すると出力は22PS低下しているものの、トルクは3kgf·m向上している。カタログ燃費については公表されていない。

言うまでもなく、アルティマの発表時に注目を集めたのはVCターボなのだが、ベースグレードに搭載される2.5L 直列4気筒エンジンについても完全新設計となっている。排気量自体は従来と変わっていないのだが、最高出力は9PS向上して191PSに、最大トルクは0.4kgf·m向上して24.9kgf·mとなっている。日産によると、新しい2.5LエンジンはNVH性能を重視し、95%が新設計となっているそうだ。

いずれのエンジンにもCVTが組み合わせられる。駆動方式は基本的に前輪駆動であり、2.5Lモデルにはオプションとして4WDも設定される。

VCターボ搭載車に乗って最初に感じるのは、そのエンジン音の素晴らしさだ。しわがれたような唸り声はスポーティーで、聞いていて心地良かった。そのままトルクピークの1,600rpmまで滑らかに加速し、そのピークは4,400rpmまで続く。2人乗車の試乗では速くてパワフルに感じられ、高速道路での追い越しにも余裕があったし、発進加速も力強かった。

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VCターボに組み合わせられるCVTも良かった。8段の仮想ギアがあり、普通に運転していると、通常のAT車のように"変速"し、アクセルを踏み込めばレッドゾーン付近の回転数を維持する。

しかし、VCターボの最大の注目点はその滑らかさだろう。内部では非常に複雑な仕事をしているはずなのだが、車内にいると圧縮比が変わったことなど感じようがない。ただし、メーター内のディスプレイにターボブーストとともに圧縮比が「ECO」(14:1)から「POWER」(8:1)までのスケールで表示されるので、現在の圧縮比を知ることはできる。走行中は圧縮比がひっきりなしに変わるのだが、定速巡航時には「ECO」に安定する。

2.5Lの4気筒エンジンも優秀だ。従来の2.5Lは粗くて不快な音を発する傾向にあったのだが、新エンジンではNVH性能に力を注いだ成果がはっきりと出ており、静粛性や洗練度が向上している。高速道路での加速性能にも不満はないし、高速巡航時はかなり静かだ。高速道路での追い越し性能も十分にある。4人や5人と荷物を満載にしているなら、追い越しの際に周りにちゃんと気を配る必要があるのだが、通勤時のように1人しか乗っていない状況なら十分に速く感じられる。

2.5LのCVTに関しては、VCターボのCVT同様8段の仮想ギアが存在し、ほとんどのユーザーは満足することだろう。

現在、セダンの販売台数は急落しているのだが、新型アルティマは縮小する市場においても高いシェアを獲得できる車に仕上がっているように思う。今回は主にパワートレインについてしか書けなかったのだが、この車にはまだ未公表の部分も存在する。燃費や価格など、詳細な情報については2018年秋の発売までに発表される予定だ。