英国「Auto Express」によるトヨタ・カローラ ハッチバックの試乗レポートを日本語で紹介します。


Corolla

新型トヨタ・カローラは時流に合った見た目の時流に合った車だと感じた。ほとんどのグレードでハイブリッドを選択できるし、製造はイギリス国内で行われている。

2018年秋には2.0Lハイブリッドのプロトタイプ車に試乗して良い印象を抱いたのだが、今回は1.8Lハイブリッドモデルの市販仕様車に試乗した。

カローラには3種類のパワートレインが設定される。当初、イギリス国内にはハイブリッドしか導入されないと発表されていたのだが、結局1.2Lのガソリンターボエンジンも選択できるようになった。ボディスタイルは5ドアハッチの他にステーションワゴンセダン(HVのみ)が設定される。

販売は大半がハイブリッドモデルになる予定で、トヨタはそれを見越してハイブリッドに2種類の選択肢を設定した。以前に試乗したのが179PSの2.0L仕様で、今回試乗したのはプリウスやC-HRでもお馴染みの1.8L仕様だ。こちらのシステム出力は122PSで、エンジンは最大トルク14.5kgf·m、モーターは最大トルク16.6kgf·mを発揮する。

1.8Lモデルのスペックに不足はないのだが、あくまで必要十分でしかない。0-100km/h加速は11秒を切るのだが、この数字は1.0L 85PSのゴルフよりわずかに速い程度でしかない。なお、最高速度は180km/hだ。

しかし、このモデルの強みは経済性の高さにある。厳しいWLTPサイクルでも20km/L前後の燃費を実現しており、CO2排出量は73g/kmとなっている。フォーカスの最も低いモデルと比べても15g/km以上の差を開けている。

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イギリス仕様車には4種類のグレードが設定される。エントリーグレードの「Icon」には16インチアルミホイール、LEDヘッドランプ、フロントシートヒーター、8インチインフォテインメントシステム、バックカメラが標準装備される。その上の「Icon Tech」にはナビやボイスコントロール機能、パーキングセンサーが追加装備され、メーター内のディスプレイサイズが4.2インチから7インチに変更される。

さらに上の「Design」には17インチアルミホイールや雨滴感知式ワイパー、自動格納ドアミラー、リアプライバシーガラス、LEDフロントフォグランプが装備される。最上級グレードの「Excel」にはスポーツフロントシート、レザー表皮(一部)、18インチアルミホイールが装備される。

ハイブリッドモデルの価格は23,750ポンドからなのだが、2.0L版は上位2グレードにしか設定されないので、2.0Lハイブリッドの価格は27,550ポンドから29,070ポンドとなる。ちなみに、1.8L車との差額は約1,900ポンドとなっている。

C-HR同様、TNGAベースのシャシは非常に完成度が高く、それに重心も低い。マクファーソンストラット式フロントサスペンションとマルチリンク式リアサスペションの組み合わせはフォーカスとゴルフの中間的なセッティングで、フォードほど鋭いわけでもなければ、フォルクスワーゲンほど快適なわけでもない。

しかし、この中間的な性格は魅力とも言えるだろう。コーナーを落ち着いて抜けることもできるし、相当舗装の悪い道でもなければ基本的に乗り心地も良好だ。17インチ車と18インチ車に乗ってみたのだが、ホイールのサイズで走りもはっきりと変化する。ステアリングは初期応答がやや鈍いと感じ、また路面状況も感じ取りにくくはあるのだが、基本的にはダイレクトで扱いやすかった。

ここまで読むと運転するのが楽しい車に思えるかもしれないが、残念ながらハイブリッドシステムは決してシャシの良さを楽しませるような性格ではない。トヨタはハイブリッドシステムの肝であるCVTの改良を続けてはいるのだが、どうあれ右足とエンジンの動き、そして駆動力はまったく連動してくれない。

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実際、山道を楽しむためにカローラを購入すれば深い失望に見舞われるだろう。けれど、穏やかに運転する限りであれば、いわゆるラバーバンドフィールはかなり薄まっている。ゆっくり運転するだけなら、普通のトルコンATと大差ないフィールを実現している。街中では非常に扱いやすく、穏やかな運転を心がければ信号から信号までモーターのみでの走行も可能だ。

それに、加速の鈍さに耐えられるなら、高速域でもそれなりに快適だ。タイヤやシャシのノイズは思った以上に感じたのだが、風切り音は110km/hでも十分に抑えられており、その速度域だと回転数は2,000rpm程度なのでエンジンも穏やかだ。

インテリアはパッドが多く使われており、合理的な配置となっている。悪名高いトヨタおなじみのデジタル時計もようやく消え去った。リアは特別広いわけではなく、シュコダ・オクタヴィアのほうがよっぽど広いのだが、フォーカスやヴォクスホール・アストラと比べれば同等の空間は確保されている。

荷室もそれほどは広くない。荷室容量は361Lで、フォーカスよりは約20L広いのだが、新たに登場予定のシュコダ・スカラと比べると100L近く狭い。それに、2.0Lモデルでは荷室下に12Vバッテリーが搭載されるため、荷室はわずか313Lとなってしまう。

インフォテインメントシステムは従来のトヨタ車と比べれば応答性が向上しているのだが、インターフェイスは依然として古臭くて使いづらい。それに、Android AutoやApple CarPlayにも対応していない。他社ではもっと安価なモデルにも装備されているのだが、トヨタは現在対応の準備中で、2020年頃にようやく導入されるとの噂だ。

欠点もあるのだが、所有するメリットも大きい。CO2排出量が少ないため、カンパニーカーとして使うのであれば税制上かなり有利だし、トヨタは5年/16万kmの保証も設定している。