青い栞


日々の読書のおぼえがき

羊と鋼の森 (文春文庫)
宮下 奈都
文藝春秋
2018-02-09



北海道の自然の中で育った主人公は、ピアノの調律師という仕事と出逢い、
葛藤しながらもまっすぐにその道を進んでゆく。
「本屋大賞」にもなり映画化もされた・・と言うことで興味深く読んでみたけれど
内容はただただ、調律師になり、一人前を目指して精進する主人公の心情が綴られるのみ。
個性的で魅力もありそうな周囲の人物描写は浅すぎて、あまりにもうわべの説明だけで終わる。
説明的になる必要はないけれど、たとえばふたごの少女の一人がピアノを弾けなくなることについて
「病気になり、弾けなくなりました」だけでは・・・あまりにも雑ではないだろうか。
ふたごの一人のピアノに肩入れする主人公だけれど、それも出逢ってからのエピソードが
あまりにも少なすぎて無理がある。
ピアノの内部素材を森に例えたタイトルは美しいけれど、結局それだけのことだった。




ドキュメンタリーはともかく、病気や障碍を持つ主人公もの、はあまり好まない。
死を美化したりハンデをドラマチックに描こうとするのが何となく不快だからだ。
これもそういった類の「泣かせる」小説かと思っていたが少々路線は違っていた。
それは後半のあまりに意外な展開でも示されている。

ただ友達が一人もいない暗い主人公の男子が、初めて関りを持った少女と
こんなに器用な(自分にはそう思える)やりとりを出来るものなのか、
容姿は分からないがカッコ良く描き過ぎで少女漫画っぽいと思った場面は多いけれど
生きることの意味、人と人との関わりについて、問いかけるテーマには共感もできた。





”「すごい小説」刊行します。
キャッチコピーを代わりに書いてください! ”
・・という新潮社のキャンペーン小説である。
期間限定で全文無料公開していたので読んでみた。

キャンペーンでは、”無名の新人が書いた奇怪な小説”、
”凄すぎてコピーが書けない”、などととにかく期待感を膨らませる。
そんなに言ってしまって期待外れだったらどうするの?と思ったが
異例の企画なだけに、かなりの宣伝効果にはなるのだろう。


Facebookでの邂逅。昔の恋人同士の往復書簡。
メール文だけが続くので初めは退屈にも思えたが
過去の真相が気になり、あっという間に読み終える。
そして、もう一度読み返したくなる。

衝撃の真相、に持って行くための理由付け?が作り込み過ぎかな・・
登場人物の誰にも共感できないし、結末に違和感と嫌悪感が拭えない。

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