2004年05月02日

【Ali君の救出 合州国狙撃兵が救急車に発砲する土地】リー・ゴードン,The Guardian(2004/04/29)

Lee Gordon in Falluja

原文:Saving Ali ― Where US snipers fire at ambulances
翻訳:203号系統

それは、ずたぼろになった小さなAli君の体を見た時だった。私は単なる情報報告屋である事をやめ、この地の人たちと一つになり初めていた。ファルージャに在る、急ごしらえの野戦病院でのことだ。病院に向かって発射された一発のミサイルが、Ali君が寝ている病室の壁を破片で穴だらけにしていた。
靴の下で割れたガラスがザクザクと音を立てる。たった4歳のAli君は、血糊の乾いた小児用ベッドに寝ている。ひどく傷付いた股のところから出血が止まらない、そして左足は膝の上で切断されてしまっている。彼の左腕には包帯を巻かれ出血している、顔もひどく切り刻まれているのだ。傷口の周りをブンブン飛び回るハエを、彼のお父さんが払いのけている。まったく絶望的な光景。

前日、ジェット機(恐らくF-16戦闘機)の攻撃を受けた大家族の中で、Ali君は生き残った内の一人だ。この子は何とか助かるかもしれない、しかしそれは数時間以内にバグダッドの病院に搬送できればの話だ。救急車は、彼と他の重傷者たちを搬送しようと試みてきたのだが、合州国が作った検問所のところで「誰も入ってはならないし、誰も出てはならない」という命令を行使する軍隊によって追い返されて来た。もはや望みはひとつしか残されていない。私の報道員身分証そして私の旅券を以って、Ali君と私はバグダッドに戻ることが出来たのだった。

私の案内人と共にバグダッドに帰る道のりは緊張に満ちていたが、90分後にイタリアの共同病院にて医師たちの治療を受けることが出来た。医師たちは、初めてみるファルージャからの避難民に衝撃を受けていた。手術のお陰でAli君の命は救われた、しかし彼の腕は失われてしまった。

それから殆ど日を経ない内に、負傷者を運び込む時の野戦病院の汚れた通路と同じように、バグダッドへ戻る道路も私は覚えてしまった。私のなかに鮮明に刻まれた記憶、それは火に焼かれた人の肉が放つ悪臭。そして狙撃兵に頭を撃たれた11歳にもならない男の子と女の子の、死んだ眼差し。

負傷者を搬送する救急車に、私は自ら乗り込んだ。彼らは断じて救急車を撃って来ないって?本当の話、合州国の狙撃兵たちは救急車に照準を合わせ続けていた。私は、狙撃銃のレーザーサイトを見分ける方法を身に付けてしまった。

病院で稼動状態にある最後の救急車が、イギリス人とアメリカ人の支援者たちを乗せたままボコボコに弾を打ち込まれて引き返して来た時の怒り狂った医者の様子、そしてアメリカ人・イギリス人とオーストラリア人支援者たちが自分たちの国籍を合州国の兵隊にはっきりと宣言しているのに銃撃を受けて帰ってきた時どれ程大きな衝撃受けていたかを、私は覚えている。

Ali君に出会う何日か前、私の案内人と私は合州国の斥候隊を待ち伏せしているイスラム聖戦士たちに遭遇してしまい銃を突きつけられるはめになったことがあった。一緒にお茶を飲むことを経て私たちは、彼らと行動を共にした情報報告者として私たちの活動を継続することに同意した。イスラム聖戦士たちは、彼らの扉をそして彼らの生活を私たちに開放し、戦闘地域の外に安全に誘導してくれたのだった。

彼らと行動を共にするということは、大きな代償を払うことになる。イスラム聖戦士と寝食を共にしてまた爆撃も一緒に受けるということは、鶏肉や米を分け合うということ以上の意味を持っている。それは、ヘリコプターの爆音に注意深くなることであり、「敵」の内側に押し込められた傷だらけの家族たちを助けることの出来ない無力さを味わうことだ。
またそれは、不具にされた体たちが病院のベッドに倒されるとき、彼らと同じ憤激の情を抱くということだ。それにしても、現場から何マイルも離れて強固に護られたパレスチナ・ホテルに引き籠った場所からで、一体どのような視点を以って戦争を報道しようと云うのだろうか?

*Lee Gordon氏は、フリーランスのジャーナリスト。この記事は、明日(訳者注:4月30日)のUK ガゼット紙に掲載されるものの編集版です。

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この記事へのコメント
ガーディアン記事末尾にある「UKプレス・ガゼット」記事は
http://www.pressgazette.co.uk/Features.aspx?Action=View&ID=3936
サブスクライブしないと読めません。
本誌年間定期購読でウェブアクセスということのようです。
年間£80とか85とか書いてありました。
私も「ガゼット」の記事は読めていません。

取り急ぎ,ご報告まで。
Posted by nofrills(いけだ) at 2004年05月05日 01:33
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 月刊「DAYS JAPAN 6月号」( http://www.daysjapan.net )の
冒頭記事「イラク占領の末路」に、 Ali君の写真が大きく掲載
されております。
 ご紹介させて頂きますので、併せてお読み下さいませ。
Posted by 203号系統@アホでマヌケな日帝本国人 at 2004年06月20日 19:21