2004年05月11日

【人間の盾、戦闘、さらなる爆発】ダール・ジャマイル(2004/5/9)

原文:
http://blog.newstandardnews.net/iraqdispatches/archives/000356.html
(訳:earthspider)

人間の盾、戦闘、さらなる爆発

ダール・ジャマイル
2004年5月9日午後9時6分(バグダッド時間)

治安状況がすさまじく悪化するなかで、報道関係者はこれまでにもまして行動を制限されている。よって、占領軍に対する襲撃や爆弾攻撃の多くが報道されないままになっている。

バグダッドでは、今や毎日のように爆弾の炸裂音が聞こえる。街路でのいつもの散発的な銃声に加えてのことだ。爆発の大多数はいわゆる「グリーン・ゾーン」(訳注:CPA周辺の管理区域)の内側から聞こえてくる。
イラクの米軍は、可能なかぎり多くの戦線を展開するつもりのようであり、昨日の午後にはサドルシティーにあるムクタダ・アル・サドルの事務所に攻撃を加えた。むろん、戦闘は昨夜にも続き、今日もさらに行われている。

戦線は現在、バスラ、ナジャフ、カルバラ、アマラなど南部各地に広がりつづけている。多くの人々は今や、状況が数週間前に逆戻りしているように感じている。頻発する戦闘に加え、外国人にとっても危険な状況がさらに深まりをみせている。

バクバにいる友人、シェイク・アドナンによれば、三日前にクルド愛国同盟(PUK)の事務所が「新イラク国旗」を掲げることを決めたとのことだ。イスラムの四色のうちたった一色しか使われていない旗であり(黒と緑と赤が欠けている)、米国が任命した統治評議会によって、民衆の投票もなしに密室で決められた旗である。水色の三日月とティグリス・ユーフラテス川を表す二つの水色の線、その間にクルド民族を表す黄色の線が引かれている。

イラクの人口の多数を占めるアラブ民族を表すものが、この旗には何もない。シェイクは最近の著述のなかでこう書いている。クルド民族はもちろん国旗に象徴される権利を有するが、それはアラブ民族も同じように象徴されている場合においてのみだ、と。

私が話したイラク人のうちで、この「新国旗」をうれしく思っているものは、いまだに一人もいない。

バクバのPUKビルの正面に翻った「新国旗」は、大好評を博した。掲げられてから二十四時間もたたないうちに一台の車爆弾が建物の大半を破壊し、もちろん「国旗」もその道連れとなったのだった。

私はいまだに「新国旗」の姿をこの目で見たことがない。ファルージャで焼かれていたところを見たのは別にして。どこで掲げられても、すみやかに引きずりおろされてしまうのだ。ましてや車に付ける勇気のあるものなど、誰もいない。

バグダッドのアル・アーダミヤ地区の住民は「新国旗」の制定に対して、あたり一面に無数の旗(ほんとうのイラク国旗のほうだ)を掲げることで応えた。二十メートルにも達する巨大な旗がアブ・ハニファ・モスクの近くに掲げられ、それより小さい旗がビルや家々に翻った。車の中に紙で作られた旗が掲げられさえした。

米軍の反応は、アル・アーダミヤ地区にやってきて、引きずりおろせるだけの旗を引きずりおろすというものだった。旗の一本は戦車が轢き倒した。通常、占領下イラクでの反対意見は、戦車と銃で処断されるのである。

これが自由であり、これが民主主義なのだ。

もちろん、アル・アーダミヤの人々はさらに多くの旗を掲げなおすことでやり返した。通訳と私は話し合い、ここに及んでは私たちも一本ずつ自分の旗を掲げるのがいいだろうということになった。

もうひとつ、状況が展開を見せていることがある。最近、米軍の哨戒部隊と輸送部隊が、他の車が近づいて走行するのを許すようになった。車がハンビーとブラッドレー(訳注:いずれも軍用戦闘車両)の間に入るのも認めている。これは、以前は彼らが決して許さなかったことだ。米軍車両が車道にいれば、渋滞を覚悟しなければならなかった。一台たりとも追い越しを許さなかったし、近寄ることさえも阻止されたからだ。

今や米軍は、イラク人を車道や大通りで人間の盾として使っているというわけだ。抵抗勢力の攻撃から身を守るための一環として。この件について私が話した人はみな、米軍の戦術に気付いていた。

これは、ファルージャで米軍のパトロールが再開されるにあたって目論まれていることとまったく同じである。イラク警察(IP)とイラク民間防衛隊(ICDC)を、以前にもまして激しくかけられるであろう攻撃に対する緩衝材として利用するというものだ。

この一月に、サマラで同じ手法を米軍が使うのを見たことがある。米軍パトロール部隊はハンビーの後ろに兵士を歩かせ、大通りをゴールデン・モスクに向けてじわじわと進んでいた。米軍兵士の両側、歩道の人々との間に歩かされていたのは、まさしくイラク人警察官だったのだ。

占領がはじまってからのあいだ、なぜこれほど多数のイラク人警察官が死んでいっているのか、おわかりだろうか。

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ダール・ジャマイルはニュースタンダード紙のバグダッド特派員です。彼はアラスカ人で、占領下イラクの水面下で起こっている物事の取材に献身しています。イラクでの重要な取材活動を支えるために、募金を募っています。ダールへの募金に関してはニュースタンダード紙のウェブサイトを参照してください。
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