「じゃあ、何が望みだ?」

彼は興味を示したようだ。

それはそうだろう。

いきなり、面前で全裸になってみせた。

そんな美少女が何処にいるだろうか?

しかも、お金は欲しくないと宣言する。

一体、この少女は?

彼の困惑を想像してみている。

 

「愛…かな」

私はそう言った。

誰か他人が言った。

そんな気がした。

そんなセリフが私の口から出てくるなんて、想像もしなかった。

何か変…

それはさっき、起死回生の手段として全裸になり、それをさらりと受け止められ、それが嬉しくなって泣いた事と繋がっていた。

 

男。

大人の男。

初めて、丸ごと、私を受け入れてくれる男に巡り合えた幸せ。

それが私の心を揺さぶっていた。

 

「私には妻が居る」

彼はそう正直に答えた。

「そうですか」

私は当然の様に聞いていた。

「しかも、世界の誰よりも、彼女を愛している」

彼は臆面もせずに、そう答える。

「詰まり、私を愛せないって事ですね?」

私は悲しみに胸を一杯にしながら、聞き返す。

「そうだね、兄のように性欲だけでは動かない」

彼は又、そう兄を揶揄する。

余程、気に入らないのだろう。

世界各地に愛人が居るらしい兄。

そして、それを当然の事として、その一人として甘んじている、私の同級生。

 

「でも、私も生身の女です」

私はそう正直に答えた。

「ああ、そうだね」

彼はそう笑う。

その笑いは自らの下半身の変化を知っていたからだろう。

兄と何ら変わらない。

それを自虐的に捉えているのだろう。

「そして、貴方も…」

私はそう指摘する。