「まあ、好戦的だな、男たちは…」

香西はそう自虐的に笑う。

「軍隊に女性を増やせば、あるいは政治家に女性をもっと選べば、平和になるという指摘もあるでしょ?」

私はそう付け加える。

「まあな、だが、不倫事も増えるかもな」

香西はそう揶揄する。

「良いんじゃない、有り余った精力を其処で使えば、他国を攻めたりする気力も起きないわ」

私は嗤う。

 

「君は強くなった」

香西は敢えてそう呟く。

「強くなったというよりは、男性がもっと広い目で世界を見るべきなのよ」

私は自業自得と批判する。

争わず、話し合いで解決すれば済む問題は、些細なプライドを維持しようと、戦いを始めるのだ。

バカ…

そう思う。

香西の会社。

あそこでも、そんな内輪の争いが多かった。

その隙間を私が埋めていった。

 

昇格は自然の流れ。

意地の張り合いを調整し、欲の突っ張り合いを緩和し、三方ヨシの調和を取る。

それだけでビジネスはスムーズに回る。

その為に、謙虚に相互の話を聞き取り、寄り添う。

それだけで、人間は許し合える。

それが男には出来ない。

気性。

そうかも。

競争こそが進化のドライビングフォース。

そう言われてきた。

だが、ゲノム解析で分かったことは、進化は偶然の結果。

更に、進化はDNAのコピーミス。

それが重なり、新しい社会を創ってゆくのだ。

 

確かに、細胞同士の争いは体内でもある。

癌細胞がその良い事例だ。

生き残りの為、何処でもかしこも競争社会ではある。