否、
違う。
多分、後で責めを負う。
きっと、執拗な愛撫で責められる。
そんな今晩の光景が目に浮かんだ。
私は何も悪いことはしていない!
していない?
そうだろうか?
自信がない。
下半身に漂う倦怠感は、確かに何かあった証拠だ。
それを奥さんに指摘されるほどだ。
それにしても、カゲロウは私の不在を暴露した。
何の目的か?
それも分からない。
弟弟子を売って、何の利益が?
最近、富に寵愛を受ける事になっている私を落とし込む為?
それは在り得る。
だが、違う気がする。
彼女の相手は師匠ではないのではないか?
ひょっとして、奥さん。
ならば、昨晩は彼女こそ、奥さんと睦事をしていた?
いやいや、それでは私の抱いている下半身の違和感が説明出来ない。
何かされたのは、この私。
そして、何となく柔らかな肌感覚がうっすら皮膚の上に残っている。
だったら、あれはカゲロウ?
あるいは、奥さん?
ま、まさか…
「まずは、大吾にはこれをやろう」
急に話題を替えると、師匠は脇から包んだ袋を持ち出した。
そうか、先ほど土産を買ってきたと言っていた。
各弟子にこの席で配ろうとしているのか。
「は、はい」
大吾さんが白い顔を上気させ、師匠の足元へと歩み寄った。
「これだ!」
そう言って、師匠は小包を大吾さんへと手渡した。
「あ、有難う御座います」
大吾さんは感激している。
確かに、師匠が弟子に何かを買い与える事は滅多にない。
あるのは、何時も厳しい修行だ。

