2005年09月10日

デス種 PHASE-46 「真実の歌」

「あ」

コペルニクスのとある住宅地域を走る最中、キラが小さく声を上げた。

「どうしましたの?キラ?」
「あ、いやなんでもないよ?」

いつにもまして歯切れの悪いキラにラクスとメイリンの顔には疑問符が並んだ。
助手席のアスランがこともなげに指摘する。

「前の家だろう?キラ」
「・・・うん」
「えっ?」

とメイリンは慌てて後ろを振り返るが、
もう車はとうに通りすぎている。

「まあ、幼年学校時代のですか?」
「そう、全然前と変わってなかったから、懐かしくて」

目を細めるキラに対して、アスランはそれほど感慨にふけってはいないようだ。
そんなアスランにキラは言う。

「畑もそのままだったよ」
「そうだな」
「なんだ!しっかり見てたんじゃない!」
「そ、そりゃそうだろう。それにあの家は親類に維持を頼んでいたんだから、そのままで当たり前だろう?」
「なんだかんだで、懐かしいくせに」
「キラっ」

メイリンがおずおずと手を上げた。

「あの〜、ラヴいところ申し訳ないんですけど・・・畑、って?」
「ああ、母がプラントで食料栽培とかのバイオ工学の研究をしててね、キャベツに関してはエキスパートだった」
「キャベツのエキスパートってすごい字面ですね・・・」

アスランが前方の空を仰ぐ。

「研究所だけじゃ飽き足らずに、『本物の地面を使って研究する』ってきかなくなって・・・父、が手を尽くしたんだろう、地球のキャベツの特産地のツマゴイとか言うところの土を取り寄せて、そこの気候条件を再現できる設備まで家に建てたんだ」
「すごい仲良いじゃないですか!アスランさんのご両親って・・・・あ」

無邪気に声を上げたメイリンの顔がすぐに沈む。
それを察してか、アスランは気にしないといった風に穏やかに口を開いた。

「『あの』パトリック・ザラとは思えないだろう?」
「・・・やっぱり、ユニウスセブンで・・・」
「あの日から変わらないコーディネイターなんていないだろう。なのに、今回だって・・・・」
「アスランさん・・・」
「少し前までは、人は夢を持つこと、夢を追いかけること、夢を持つ人を支えることが、できたのです」
「そうだね・・・」

ラクスの言葉に、車中の皆はその言葉を噛み締めるように、すこし沈黙していた。
メイリンがふと思い立ったように声を上げる。

「あ、そういえば、キラさんのお父さんとお母さんは何をしてるんですか?」
「僕の生みの親は・・・よくは知らないんだけど、もういないんだ」
「あ・・・ごめんなさいっ」

バックミラーに移るキラの目には寂しさはない。

「僕をずっと育ててくれた父さんと母さんは、サラリーマンと専業主婦だよ」






「へ?」
「サラリーマンと専業主婦」





「とても素朴な響きですわね」
「ラクス様何気にひどいこと言ってません?・・・いやいや、え、あ、そうなんですか?」
「父さんは自動車メーカーのSEなんだ。前の戦争が終わってからはすごく忙しくなってね、単身赴任ばっかり」
「キラさんの口から単身赴任という言葉が出るのが恐ろしく似合わない気がする・・・」
「わたくしもハルマお養父様とは一緒に焼肉をご一緒しましたわ」
「ラクス様も焼肉とか言わないで下さい!あと『おとうさま』の響きのニュアンスに変なオーラを感じるんですけど・・・」
「俺はオーブに住むことになった時に車貰ったなあ」
「車!?」


突っ込み所満載の思い出話は取り留めなく続き、メイリンはすっかりツッコミ疲れしてしまった。



ここでかりぷそさんの記事に移動しよう!そして戻って来て続きを読もう!(爆






・結局土曜・・・一週遅れになってしまいごめんなさい!

流石に感想は各所で語られつくしているので割愛の方向で。
ミーアに関しては今日の放送も含めて書きたいと思います。


ルナマリア語録、ホーク道の後半へ続くっ!

◇ルナマリア語録


射撃訓練場にて

「何?どうしたの?」
「何じゃないわもう・・・やっと休息になったのに、なんでいきなり射撃訓練なの?」
「え・・・だって俺もう寝たし。レイがやるっていうから。」
「あ、そう・・・」

訓練場を出るお嬢。
「おい、ちょっと待てよ、ルナ!」

シンが追いかけて、腕をつかむ。

「ルナ、ルナ!何怒ってんだよ?」
「べつに怒ってないわよ」
「怒ってるだろうが」
「・・・もういいって」
「よくないだろ。わけわかんないよ」
「・・・ちょっと、話たいと思っただけよ」
「え?」
「あの時はバタバタしてたから、アスランと、メイリンのこと」
「あ・・・」

出てきたレイを一瞥する。

「でも、もういい」

「いいたかったのは、気にしないでってことだけだから」

「生きてるかもって思うと、わたしもなんだか落ち着かないけど・・・」

「でも、シンは悪くないから」
「ルナ・・・」
「命令だったの、わかってるし、疑いは晴れてないんだし、だから、気にしないでって・・・それだけ。ゴメンね。」
「ルナ」

そらは〜(ケミスタート)




前座扱いは今に始まったことじゃないけど。悲しいぜミネルバ。






◇ホーク姉妹の生きる道っ!


L-side



そーっと、ドアを開けた。今は誰もいない。
というか申請時の端末で確認しているのだから、利用者はゼロに決まっている。


ヘッドセットを付け、訓練スペースに立つ。
手元の端末で標的パターンの設定。これはもうずっと変えていない。


銃を構える。


短い電子音と同時に、的が現れる。
静止時間一秒に満たない標的が次々と出ては引っ込む。


それとともに、わたしの発砲音も続く。


10秒が過ぎ、結果が表示される。
特に感慨はなし


これをとりあえず10セット。


「ふぅ・・・」
「せいが出ますね」
「あら、いたんだ」

アビーがいつの間にか後ろに立っていた。相変わらずの神出鬼没っぷりである。
次の弾倉を銃に込める。

「ブリッジも落ち着いたの?」
「ええようやく、というか追い出されました」
「は?」
「副長が張り切っていまして、

『激務ご苦労!艦長もお休みになられた所だし、君も休みたまえ!レディファーストレディファースト』と」

「暑苦しいわね・・・」
「まあ、お言葉に甘えて休息を頂いたというわけです」
「でも何だってまた、ここなんかに?」
「たまたま通りかかっただけです」
「ふーん」


構える。間髪いれず次の標的が現れ始め、乾いた銃声だけがしばし響く。


「中心への命中は10の8・・・ですか。的から外した弾は無し。さすがですね」
「結果出る前からそこまで言えるあんたも相当なものよ」
「アカデミー時代は有名でしたものね、『ルナマリアの出る射撃の授業には遺書を書け』って」
「ふ・・・否定できないわ・・・」
「・・・まさか」
「殺しちゃいないわよ!そりゃちょっと・・・格納庫一つとか、3分で味方のジンを12機とか・・」
「充分シャレにならない数ですね」
「それも入りたての頃の話よ!それに尾ひれがついちゃっただけっ」
「随分と上達しましたね」
「癖直すのに苦労したけどね。それに・・・訓練で上手くなってもしょうがないし」
「・・・」
「あー、いや、今でも上手くなりたい、強くなりたいって思ってるわよ?」


銃を置く、ヘッドセットも外し、アビーの方を見た。


「わたしがオーブでジブリールを撃てていなかったから、プラントが・・・・。それはレイの言うとおり」
「あなただけの責任では」
「わたしが引いたトリガーの結果が、月であんな恐ろしいトリガーを引かせることになったことも揺るがない」
「・・・考えすぎです」
「かもね。でも、戦士ってそういうことなんだって、思ったのよ」
「ルナマリア」
「誰だって強くなりたい。自分の守りたいものを守りたい。シンなんか、そうでしょ」
「ええ」
「わたしだってそう。でも、そうやって手に入れた『力』が起こした結果を背負わなきゃならない。レイなんかは割り切ってるていうか悟っちゃってその辺解決しているけど、それはなかなかねー」


ロゴスを憎むこと、それを『間違っている』と指摘したアビーをまっすぐに見つめる。


「ロゴスは倒した。でもその先は・・・倒したからこれで戦争は終わる?」
「議長のおっしゃるとおりではそのはずですけど、何か?」
「・・・わからない、でも」
「でも?」
「アスランには、『その先』が見えていたのかな・・・」


あの、物憂げな瞳で『敵って誰だよ?』とつぶやいた彼。


ロゴスのせいでザフトを逃げたはずのアスラン(メイリンも)、しかしながら二人が乗っているだろうアークエンジェルは・・・・『あの』ラクス・クラインを信じるならば・・・・反プラントどころか、ロゴスとも相容れないというスタンスを示していたではないか!


わたしは討つべきものは討った。


でもアークエンジェルはこの先どうするというのか?ザフトを討とうというのか?
あの艦と再び合間見えることがあったら、わたしは銃を向けられるのか?



メイリンのいるかもしれない艦に。

何かをしようとしているかもしれない、アスランに。



「あ〜もう!何を信じたらいいのかさっぱりだわ」
「あ、さっぱり妖精が」
「飛んでない飛んでない」
「実在しますよ。さっぱり妖精」
「しれっと作品を崩壊させるような言動は止めなさいよ!」
「全くですね」
「自分で言うな!」

相変わらず、この不思議な同僚にはペースを乱される。
なのに、以前の調子で喋られている自分がいる。
彼女の才能なのか、なんとはなしにいつも胸の内を明かしてしまう。



でも、さっき、

本当はシンとこういうことを話したかった。話すべきだった。



「・・・ごめんね。わたしの話ばっかりで。逃げ場にしちゃって、ごめん」
「いえいえ」
「もうちょっと居るわ。あんたもせっかくの休みなんだからゆっくりしときなさいよ」
「ありがとうございます」

ヘッドセットをつけようとすると、アビーが振り向いた。去り際に一言付け加えるのはこの娘の十八番だ。

つい身構える。

「最後に一つ」
「な、何」




「信じるものを問う前に、自分を信じていますか?ルナマリア」




「・・・」
「失礼します」





銃を構えた。今度は的一つが出たままになっている。





「相変わらずグサッと来るわね、あんにゃろ」




まったくもってその通り!
こんなフラフラな状態じゃ、もう誰に対してだって顔向けないじゃないか。





―――見えない敵、いるかどうかもわからない敵。

それを振り払うかのように、トリガーを引いた。







M-side



案の定、罠だ。


あたしはキラさんと共にラクス様を柱の影に隠し、耳に隠した小型インカムに話しかける。

「始まりました!そちらは!?」
『こっちで無力化できたのは10人だ!外にはもういないはずってうわ!』

たたたたたっ

イヤホンの向こうで自動小銃の音が響いている。
それに応じて何か重火器が炸裂した音。

『気をつけな!メイリンっ、じきに行く!それまで死ぬんじゃないよ!』
「はいっヒルダさんたちも気をつけて!」



と、自分のすぐそばの柱に銃弾が辺り、破片がパッと散った。
思わず声にならない悲鳴をあげて身をかがめる。


「ラクス!こっちだ!」

アスランさんが叫んでいる。


「アスランさん!後はっ」
視認できるだけと言いたかったが続きは銃弾に阻まれてしまう。

応戦しているアスランさんが尚叫ぶ。


「走れっ!」
アスランさんとミーアさん、キラさんとラクス様とあたしで分断された形で円形の劇場の回廊を駆ける。


頭の上、すぐ鼻の先、足元、いたるところに飛び交う銃火。
そばで発砲するキラさんの炸裂音に、さっきから耳鳴りが止まらない。




ああ、これで二回目。

あの雨の日、アスランさんと逃げた日も、頭の直ぐ上を『死』猛烈な勢いで通りすぎていた。



今、アスランさんやキラさんは一歩も引かず、アスランさんに至っては打って出ている。




―――こちらに向かってゆっくりと手榴弾が放物線を描いて飛び込んでくる―――


この苛烈な修羅場をかいくぐる中、あたしの思いだけが急速に、クリアに沸き起こった。




お姉ちゃんだって苦手だというだけで、トリガーを引くことにかけては何も抵抗を感じていないだろう。


それだけでお姉ちゃんはすごい。適わない、とあたしは思う。


本当の意味で戦士になる覚悟、ともでも言うべきなのか。
結局のところ、ザフト予備校においても女性のパイロット候補生がいまだに少ないというのはこういうことなのだ。


トリガーを自分で引く覚悟。
あたしには圧倒的にそれがない。



でも、でもだ。
『引かなければやられる』そういう場所に一も二もなく放り出されてしまったら?


そうなれば覚悟云々なんて後からついてくるものに成り下がる。


引いて生き残るチャンスを掴むか、引かないでそのまま死ぬかの二者択一。
まさにそういう場に身をおいていること。

そうでなければ、アスランさんの行く末を見届けることなんて出来ないと、強く思い知った・・・・!



―――こちらに向かって、ゆっくりと、手榴弾が放物線を描いて飛び込んでくる―――






明確に、現実問題としてあたしたちを脅かす『敵』は、いる。


あたしはアスランさん達が求める『その先』にたどり着くために、




トリガーを、引いた。




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今回は珍しくも土曜にリアルタイムで見てたにもかかわらず、記事のアップが月曜になるという不測の事態になりましたことを、まずはお詫び申し上げます。 で、時間がないので行っちまおう。アスランかっこいいぜ!(雄たけび) OP前のギルギル君のくだりとミネルバ赤服...
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GANDUMSEED DESTINY PHASE46感想【春時雨】at 2005年09月10日 10:01
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PHASE−46 『真実の歌』【YAMA’s Blog】at 2005年09月10日 23:19
第46話「真実の歌」 レクイエムの中継コロニーは、全てザフトに制圧された。 五基もあったことに、驚きのプラントの面々。 議長「確かに敵も巧妙だったが、こちらも地上に気を取られ逈
「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」第46話【salty blog】at 2005年09月11日 00:29
今回のタイトルといい、予告での映像といい、この後に及んでよもや総集編だなんていいませんよね(にっこり)? ここで、総集編ちっくな話をぶち込んだらいい根性しているとしか
機動戦士ガンダムSEED DESTINY【PHASE47:ミーア】【vier:::blog】at 2005年09月13日 18:02
この記事へのコメント
こちらの前半の後に、私のとこの買い物シーンが入って、そしてこちらの後半の銃撃戦に続くってことで(いや、繋がらないから

Posted by かりぷそ at 2005年09月10日 10:45

>かりぷそさん

リンク張ってみましたw
流行のコラボってやつですね(えー
Posted by 四方堂綾瀬 at 2005年09月11日 01:16