2007年01月28日

心に関する小説、100ページ突破。

こんにちは。

さて、心に関する小説、書いてまして。

「磨心郷〜まごころきょう〜」ですが、
遂に100ページの大台を突破しました。

今回は、僕の小学校時代の実話も交えつつ、
楽しく書いておりました。

どうぞ、次なる展開をお楽しみに。

「磨心郷〜まごころきょう〜」を読む。

ご感想、お待ちしております。


さて、今日の1曲は、
Spangle Call Lilli Lineの「Nano」です。

このバンド、昨日ムネと呑んでたときに教えてもらったんですが、
かなりいいです。マイiPodの「cocoPod」でヘビーローテにします。



  

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2007年01月20日

ケータイ小説、更新しました。そして、Noonday Underground。

僕が書いてるケータイ小説、「磨心郷」。

第9章「初夜」を追加しました。

読みたい方は、こちらからどうぞ。

89ページまで行きましたね。
でもまだまだです。

途中で出てくる、もんぺを穿いた黒いおじさんはこう言います。


「『心』は、人の中にありながら、人と人の間にある空間を満たし、つなげることができる。

つまり心は、人と人との間をつなぐ、極めて重要な唯一無二の有機体なんだよ。

心が無ければ、人は単なるヒトでしかない。心があって初めて、ヒトは人間たらしめられるんだ。そうは思わないかい」

今後の展開をどうしようかなと、
思索中です。まだ結末は決まってません。

皆さんのご感想をお待ちしております!!


さてさて、今朝の1曲。

Noonday Undergroundで、「London」。



かっこいいっす。

Noonday UndergroundのMyspace

Myspaceで聴ける、
「It's Time To Get Down」という曲が、はんぱないっす。
なんじゃこりゃって感じ。

こっち方面じゃ、もう勝てる気配無いなっていう。


さてさて、Lily Allen嬢が、Myspaceのブログで
今月の来日公演時のプライベート写真を公開してるので必見です。

Lily Allenのブログ。

大阪府堺市の、Round1っていうボウリング場で遊んでたっぽいですw

やっぱり、陸部同期のアズサさんに激似てる・・・w。

  
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2007年01月17日

ケータイ小説書き始めました。

ども。

魔法のiらんどってゆー無料ホームページ作成サイトで、
ケータイ小説が書けるのはご存知でしょうか。

最近、そこでユーザーが書いたケータイ小説から出版化された
「恋空」が上下巻合わせて130万部を突破するなど、
若い男女の間でちょっとしたブームになってるみたいです。

恋空はこちらから無料で読むことが出来ます。


で、僕も、ケータイ小説書き始めてみました。

アヤテのiらんどHP。

「磨心郷〜まごころきょう〜」

という小説です。
僕の実体験もちょっとだけ含まれてますが、
基本的には空想です。

心に関する小説です。

「磨心郷〜まごころきょう〜」を読む。

この小説は、
僕が社会人1年目に「腹ダーツ依存症」という病気で
3週間ぐらい虎の門病院に入院していたときに書き始めたものです。

まだ、途中です。

もともと、このあやぶろで連載してたんですが、
途中でめんどくさくなっちゃって放棄してましたw

しかし、この小説はやはり書ききらないとなと思ったので、
ケータイ小説で頑張って執筆してみたいと思います。

まだ結末は決まってません。

iらんどID持ってればレビューとかも書けますし、
アヤテのiらんどHPに、誰でも書ける掲示板とかもあるので
色々ご感想とか、ご意見とか頂けたら幸いです。

そんなお声が力となって、
最後まで書ききるエナジーに変わるやも知れません。

なんか、いい小説が出来上がりそうな気がするんです。

  
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2006年07月31日

【心に関する小説。】7.ユーサイキア

こんばんは。

さて、最近とんと更新が止まっていた、
心に関する小説。

「磨心郷〜まごころきょう〜」

というタイトルをつけたまでは良かったのですが、
なかなか先が書けませんでした。

なので、久しぶりに続きを書いてみることにしました。

とりあえず、
前回までの磨心郷は、こちらから読んで下さい

<前回までのあらすじ>
心が疲れ果てた青年「僕」ことタキモト。会社からの帰り道の途中、雨宿りのためにたまたま入った「Bar Bristol」というバーで飲み屋のマッチを擦ると、トーテムポールのトータスが現れる。でトータスとマスターと3人で心を共有することに。その後バーのマスターに紹介された、もんぺを穿いた黒いおじさんから「心を磨く旅」について聞いたタキモトは、その「旅」にちょっと興味を抱き、旅立ちを決意する。マスターから案内された地下室から、見知らぬ世界への旅に旅立つのであった。

では、第7話、「ユーサイキア」です。どうぞ。


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7.ユーサイキア


そこは、ふわふわとした世界だった。
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2005年11月20日

【心に関する小説。】 6. 旅立ちの種火

小説家アヤテ。いやはや、また間が開いてしまいましたが、心に関する小説の続きをお送りします。
昨日の夜から割と家に篭りっきりでタイピングしてます。

「磨心郷〜まごころきょう〜」というタイトルに決めましてね。

ま、こんな休日もたまにはいいかな。
創作に耽る一日というのもオツなものです。

<前回までのあらすじ>
心が疲れ果てた青年「僕」ことタキモト。会社からの帰り道の途中、雨宿りのためにたまたま入った「Bar Bristol」というバーで飲み屋のマッチを擦ると、トーテムポールのトータスが現れる。でトータスとマスターと3人で心を共有することに。その後バーのマスターに紹介された、もんぺを穿いた黒いおじさんから「心を磨く旅」について聞いたタキモトは、その「旅」にちょっと興味を抱く。

前回までの磨心郷を読みたい人はこちら。

では、第6話「旅立ちの種火」をどうぞ。

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6. 旅立ちの種火

僕は、マスターに案内されて、カウンター奥の階段から地下室に降りた。やけに細くて急な階段だった。暗く埃っぽい。そして、異様に長かった。トータスも、ぽぴん、ぽぴんと音を立てながらついてきた。親切にも、トータスの頭の火が足元を照らしてくれた。4、50段は下っただろうか。漸く、一定の広がりを見せる床が見えた。

やけに天井の高い地下室だった。部屋の真ん中には、直径50センチほどもある丸い火の塊が乗っかった大きな蜀台が鎮座していた。その馬鹿でかい火が部屋全体の輪郭を照らしている。広さ的にはバーの敷地面積分しかないのでそれ程広くは無い。ただ、4、50段もの長い階段を下ってきただけあって、不自然な程にたっぷりとした高さのある空間だった。何となく落ち着かない。

マスターが意識上で言った。

「この火が、Bar Bristolにおける種火だ。ま、うちのあるじ的なものかな。トータスの頭の火はここから採られてる」

「さらに言っちゃうと、バーに置いてあるマッチとかもさっ。この種火の欠片を結晶みたいに凝縮さして、同じような火を生み出せちゃうように作られてんだよーぅ☆」

トータスが得意気に続いた。

それにしても、部屋の真ん中ん陣取る馬鹿でかい種火は、透き通るほど明るくて。不純なものが全く感じられず、何事をも受け容れてくれそうな、そんな色をした火だ。雰囲気に吸引力がある。

「この種火と心を共有すると、『旅』に出ることができる。『旅』の行く先々に煙草を持ち歩いて吸い続けるのは大変だろうから、これをあげるよ」

マスターからそうやって渡されたのは、丸い輪っかの形をした銀色のピアスであった。

「このピアスの丸い輪っかの真ん中に、君の持ってる煙草の火を近づけてみな」

僕は促されるまま、ピアスの輪の中に火を近づけた。ぽっ、と音を立てて、輪っかの真ん中に小さな火の塊が姿を現した。

「このピアスは、心を表す発火台。そして、その火が君の心の種火だ。『旅』の途中では、そのピアスを常に身につけているといい。その火を使って色んな人と心を共有することもできるだろうしね。ただし、万が一、誤ってその火を消した場合、『旅』は即座に終わりを告げる。くれぐれも気をつけるように。」

マスターはそう僕に説明した。後は、このピアスの火を部屋の真ん中の馬鹿でかい種火と一体化させて、心を共有するだけだ。

「色々、ありがとね」

僕は、マスターとトータスに伝えた。

「あ!ちょっと待って!あわよくば。あくまであわよくばだけど、途中からわいも合流とかあり?」

トータスが、ぽぴん、ぽぴんと揺れながらも慌てて提案した。

「ああ、それいいんじゃない」

マスターも同調した。

ほほう。
トータスと一緒か。
しかし途中ってどこからだ?
ま、よくわからんことだらけだ。

でも、ふむ。
悪くは無いかもね。

トータスとは知り合った(?)ばかりだけど、別に悪い気はしないかも。
むしろ、トータスと一緒の方が面白い旅になりそうな予感もあったりなんかして。
色々瞬時に考えたけど、デメリットは特に無いような気分だ。

「んじゃ、ひとつだけ条件つきで」

僕は逆提案した。

「合流した暁には、弥次喜多を超えよう。ってのはどう?」


トータスは一瞬面食らった様子だったが、

「の、望むところでぃー☆」

ということらしい。別に、てやんでえとかべらんめえとか敢えてベタなことは言わないけど、つーかーの関係になって面白い旅になればいいかな。ってゆーそんなに深い意味など無い感じで。

トータスとの珍道中か。ちょっとわくわくわくしてきたかな。それを楽しみにしながら、とりあえず僕は先に旅立つのだ。

よし、行こう。

決意してマスターの目を見た。

「心は、決して君を裏切ったりはしないから。それを忘れずに。」

マスターはそう、僕に伝えた。
僕はうなずいて、ピアスの火を部屋の馬鹿でかい種火にゆっくり近づけた。

そして間も無く、火は一体化した。

「また会おうぜーぃ☆」
「良い旅を。心は常に君とともに在る」

マスターとトータスの声が、かすかに後ろから聞こえたような気がした。

あやぶろは今どんくらい。
  
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2005年09月15日

【心に関する小説。】 5. 黒いおじさん

えーと、心に関する小説。かなーーーーりしばらく更新出来ませんでしたが、久しぶりに再開します。タイトル決めました。「磨心郷〜まごころきょう〜」です。

過去の磨心郷を読みたい方はこちら。

では、続きです。
「5. 黒いおじさん」をどうぞ。

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5. 黒いおじさん

くしゃっ。

意識の内部に、切り取られた断片的ナニモノかが入り込んできた。なるほどそれが、マスターの心情だった。今この瞬間のマスターの心情。それを写真のように読み取ることが出来た。

それは、次のようなものだった。

ちょっと、ほろ酔い気分のいかつい深夜だけど、君に紹介したい人がいる。

「紹介したい人?」

僕は思わず尋ねた。ふふん、とマスターは鼻で笑い、君の心はほんと今くすんだ色をしてるね、と応えた。トータスも意識上で、わいもそう思うよーん、と相槌を打つ。

「そうだなあ、ま、タキモト君の意思次第だけど、ちょっと『旅』に出てみるのもいいかもなあ」

マスターはそう僕に投げかけた。

旅。

しばらく行ってないな。夏休みもいつとれるのかわからん。どこか遠いところに行きたい。遠い国のふかふかの萌える芝生の上で1日中寝そべっていたい。だだっ広い海の真ん中で浮き輪にお尻だけ入れて浮かび、ぼうふらのように水上を漂いたい。

そんな発想が出ちゃう時点で、かなり僕は疲れているのだろう。

「ちょっと普通の旅とは違うけどね。『心を磨く旅』って言ってね」
「心を磨く旅?」

…どんなんだろう。

でも旅に行ける余裕なんて無いのだよ僕は。
明日はまた仕事だ。
非常にだ。
現実が重く肩に圧し掛かる。

「夏休みがとれたら、行ってみたいかもですね」

僕は応えた。

「ははっはっははは!タキモトまじめだなぁーぁ!休み取んなくても行けるょーん☆にひひ」

トータスが笑った。
それにマスターが続いた。

「そう、時間とか日にちとか、そういうもんは果てしなく無関係な旅なのさ。まあ行ってみて損は無いと思うよ」

時間とか日にちとかが無関係な旅、か。うーむ。
悩んでいると、おもむろにマスターがカウンターに座っていた別の客に声を掛けた。

「黒ちゃん、ちょっとこっち来なよ」

黒ちゃんと呼ばれたその人は、簡単に表現するならば、黒いおじさんだった。真っ黒に日焼けした肌。そこに浮き上がる、にやりと笑った真っ白い歯。上はアロハシャツに、下は紺色のもんぺを履いていた。中肉中背だけど、そうとうがっちりしていて筋肉質だ。

「おぅ、どした」

黒いおじさんは、煙草をくわえながら僕の隣に座った。マスターは、意識上の会話に切り替えて黒いおじさんにこう伝えた。

「こちらが今日初来店のタキモト君。ちょっと黒ちゃんの人となりとかを彼と共有してみてくんない?」
「了解」

黒いおじさんはそう応え、持っていた煙草の火を僕の煙草に近づけようとした。僕の煙草は相当短くなっていたため、慌てて新しい煙草を取り出し、火を移し替えた。で、黒いおじさんの火と、僕の火は一体化した。

黒いおじさんと共有したのは、次のようなことだった。

おじさんは、齢40近くで、回覧板を回す仕事をしている。で、とても重い病気を持っている。突然原因不明の現象により、色んな食べ物の栄養を分解する力が無くなってしまうというたぐいの病気なのである。おじさんが発症したのは今から10年ほど前。社会人として働き始め、かなり脂が乗り始めてきた頃だった。まだ若かったおじさんは、絶望の淵に追い込まれた。その病気の言葉の響きの重さにやられてしまっていた。これから先、何を楽しみに生きていけばいいんだろう。人生における幸せとは何だろう。答えは出ない。自暴自棄になりかけていた。
そんなある日、「旅」についての噂を耳にした。「心を磨く旅」だ。おじさんは、迷った末に、「旅」に出ることにした。

煙草の火がゆっくりと離れた。
そこまでが、僕が黒いおじさんの心と共有した内容だった。

黒いおじさんがそんな重い病気だなんて、にわかには信じ難かった。真っ黒に日焼けして、いかにも健康的としか言いようが無いおじさんだからだ。

おじさんが「旅」に行ってからの話がとても気になった。それはそれは長い長い旅路だったのだろうか。病気で全く人生に絶望してしまったおじさんが、なぜ今、ここまで生き生きとしているんだろう。どうやってここまで立ち直ったんだろう。その旅で何が起こったというのだろう。

疑問は次から次へと思いに表れては消えた。

それよりも、ここから先は自分の身と心をもって確かめてみたいという衝動がちょっとずつ頭をもたげた。


「旅、行ってみたいっす。…かも」


僕は意識上でマスターと黒いおじさんに伝えた。黒いおじさんは、にやりと真っ白い歯を出して笑った。そして、こう応えた。

「ちょっと話飛ぶけどな。聞いてくれ。人間っていうのはな、『人』の『間』っていう字を書くよな。『人』と『人』に『間』があるからこそ、人は人間たらしめられるのさ。そして、その『間』をうまく保ったり、素敵につなげたり、時にはその『狭間』で傷ついたりすることによって、人間は人間らしく生きることが出来るんだ。そうは思わないかい」

「んんー。そう、…かもですね」

「じゃあ、その『人』と『人』の『間』を満たしているものって何だと思う?」



「……何だろう」



「俺は、回覧板を回す仕事をしてるんだが、自分の仕事にはすげえ誇りを持ってる。タキモト、俺の回してる回覧板を、そこらへんにごまんとあるそんじょそこらの回覧板と一緒にするなよ。俺の回してる回覧板には、『心』が書いてあるんだ」

「こころ…ですか」

「そうだ。『心』だ。ま、回覧板の話は置いといてだな、俺が思うに『心』は、人の中にありながら、人と人の間にある空間を満たし、つなげることができる。つまり心は、人と人の間をつなぐ、極めて重要な唯一無二の有機体なんだよ。心が無ければ、人は単なるヒトでしかない。心があって初めて、ヒトは人間たらしめられるんだ。そうは思わないかい」


「ん、ん。わかるような気もする…かも」


僕は、何だかわからないけど、ちょっとわだかまっていたものがときほぐれる糸口のようなものが見えかけた気がした。でも、見え隠れしては、消えた。


「思う存分、磨いてきな」


黒いおじさんはそういうと、説教臭かったかな、とはにかんでまたにやりと笑った。

紺色のもんぺが何故か、小粋に見えた。




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あやぶろはたぶん40位あたりでのこのこしてるよ。
  
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2005年06月14日

4. 心の共有

音も無く、火は一体化した。

その瞬間、もの凄い速さで洪水まがいの水量の水流が、ぐおおおおおおおと音を立てながら頭に流れ込んできた。いきなり、世界が膨れ上がったような衝動。
トータスの心の中身が、現在から過去に向けて逆流しながらひどい勢いで流れ込んできたのだ。

それは相当、精神力を消耗する作業らしく、急激に疲れ果ててしまった僕はその負担に耐えかねて思わず煙草の火をトータスの頭から離してしまった。

「どうしたんでいー、タキモト。いきなり離しちゃったりなんかして。まだ1週間分しか共有してないのによー」
「ごめん、思わず離しちゃったわ。これ、あれだね。ドラクエなんかでMPを消費するってこんな感じなのかね」

意識上で僕は謝った。

なすすべも無いほどの消耗感。

しかし、なるほど過去1週間分のトータスの心の中身を大体理解することが出来た。トータスはここ1週間、ずっとこのBar Bristolに入り浸っている。そして身寄りもなく妻もいないこと、まあそれなりに最近楽しんでて安定した精神状態を保っていること、そしてこのバーが凄く居心地がいいこと、などがわかった。

そして僕を襲う、ずーんという疲労感。

「心を共有するのって、疲れるね」

僕は本音を伝えた。

「そりゃそうだよ、心は小宇宙だからねえー」
「はあ」
「心っていうのは、世界中の海の中身全てをちっちゃな金魚鉢に凝縮したようなものなんだよ。まあ、さっき共有したのは金魚の糞の大きさぐらいのもんだけどーねーひひひ」

トータスは、相変わらず、ぽぴん、ぽぴんと左右動を繰り返していた。

バス・ペール・エールはいつの間にか空になっていた。
久しぶりに僕は口から言葉を発した。

「マスター、おかわり」

「あいよ」

マスターから返ってきた返事は、何故か意識の中に入り込んできた。ふと見ると、マスターも煙草を吸っていた。

「トータス、初心者に対していきなり全部共有は無理だろう。体と心の負担がでかすぎるよ」
「やーすんませんマスター。ついつい試してみたくなっちゃってよーぅ…」

マスターが入ってきて意識上の会話は3人になった。3人でメッセンジャーでチャットしている感覚だろうか。それにちょい似てる。

「心は、写真のように瞬間を切り取って共有することも可能なんだ。今この一瞬の心の状態だけを共有するのなら、時間もかからないし、負担もでかくない」
「そんなことが出来るんすか」
「できるとも。まあちょっと慣れは必要だけどね。1回試しにやってみようか」
「あ、はあ」

マスターは煙草の火を僕の煙草に近づけ、そしてゆっくりと火を接触させた。  
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2005年06月06日

3. 踊るトーテムポール

カウンターのテーブルの隅で、それは踊っていた。
体長30センチほど。
どこからどう見ても、トーテムポールとしか表現のしようの無い物体だ。

マッチの火を煙草に点けるのも忘れて、僕は楽しそうに踊るトーテムポールを見つめていた。それは、コミカルに僕の心を捉えた。左右に揺れながら。

暫くそれを見つめていると、やがて、マッチの火が所在無さげに、消えた。
それとほぼ同時に、トーテムポールも姿を消してしまった。

私は、それをもう一度見てみたい一心で、改めてマッチを点けてみることにした。

しゅっ。
ぽっ。

火が点くと、再びそれは目の前を横切った。私は今度は、煙草にマッチの火をしっかり移し、それの行方を目で追った。先ほどとは反対側の場所に、それは居た。そして、相変わらず同じように踊っていた。
リズミカルに、左右に揺れながら。

「どうも今晩は。やんごとなきかな。やんごとなきかな。あんたは新入り君かい?」

そのトーテムポールは、言葉を発することなく、明らかに僕の意識の中に入り込んできた。

やんごとなきかな。
古文で習ったけど、どんな意味だっけ。

僕がそう心の中でつぶやくと、即座にトーテムポールが意識に語りかけてきた。

「捨ててはおけない、とか、ほっとけないってことだよ。ところで君、名前は?」

これ、何だろう。テレパシーみたいなやつなのかなあ。
僕は意識の中で、名前は滝本だ、と応えた。

トーテムポールは、先刻から変わらぬリズムで揺れながら、ぽぴん、ぽぴんと、22世紀から来た猫型ロボットが移動する際に放つような音を鳴らしていた。
そして、こう応えた。

「僕は、トータス。心の友と呼んでくれてもいいよ。ミスタータキモト、あまりにも君の心が疲れた色をしてたもんだからね、どうしてもちょっと心に入り込んでみたくなったんだわね。やんごとなきかな。やんごとなきかな」

やんごとなきかな。
やんごとなきかな。

僕はその言葉を繰り返し心の中で唱えた。何だかほっとする響きだ。何故だろう。

「ミスタータキモト、僕と心を共有してみないかい?」

心を共有?
私の心には疑問符がついた。
灯った。クエスチョンマークが。
灯ったっつーか、ウルトラクイズのハットみたいな感じで、ぴこん!とクエスチョンマークが立ち上がった。

そのクエスチョンマークを貪り食うような勢いでトータスは続けた。

「そう、心を共有するの。今やっているような心と心の会話は単なるキャッチボールだけど、共有するとお互いの心の全てが理解できるんだ。どうだい、やってみないかい」

うーん面白そうかも。
しかし、一抹の不安にも苛まれる。
心の全てが理解される?
想像がつかん。

普段あまりしゃべらない僕にとって、それがどういう感じになるのか、全くわからんかった。でも、ここ最近なかなか人と心を通じ合う機会って無いから、ちょっと好奇心が沸いた。

やってみよっかなあー。

興味本位で僕はそう応えた。

「よし、いいねタキモト。じゃあ、心の共有の仕方を説明するよ。まあ簡単なことなんだけどね」

トータスは頭をこちらに見せた。頭の上には、小さな火がちょこんと乗っかっていた。

「これが僕の種火なんだ。この種火に、君の持っている煙草の火を一体化させるんだ。そうすると、心が共有できるんだ。でも、火を消しちゃいけないよ。君の煙草の火か、僕の頭の種火のどちらかが消えてしまうと、お互いの姿かたちを見ることが出来なくなっちゃうから。気をつけてね」

わかった、やってみるよ。

僕はそう応えた。
燻らせていた煙草を見ると、残り短くなりつつあった。急いで新しい煙草を取り出し、火を移し替えた。
そして、新しい煙草の火をゆっくりとトータスの頭に近づけた。  
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2005年04月25日

2. 飲み屋のマッチ

僕はカウンターの入り口近くの椅子に座ると、バス・ペール・エールを頼んで店内を観察し始めた。
店内は薄暗く、よくあるイギリス風バーの体裁を整えたデザインである。見た目はありきたりだ。でも、空気が変わった色をしている。それは透明でもなく、完全に淀んでいるわけでもない。くすんでいるのに、すっきり感もある。不気味さは無いけど、怪しくないわけでもない。何故か、そんな微妙な空気感が心地よく思えてくる。

何故だろう。

夢見がちで甘く儚い音楽が流れていた。ゆったりとしたデジタルのリズムに、深く気だるい吐息のような広がりを見せるピアノ。ざらついたストリングス。織り成している。脳にくうんと響き、心の中へ西日のように差し込んでくる音の波。

「はい、どうぞー」

バス・ペール・エールが来た。マスターは僕に飲み物を出すと、そのまま奥の方に座っている客の方へ戻ろうとした。
「マスター」
僕はマスターを呼び止めた。
「今かかってる曲って、なんなんすか」
マスターは振り返ってこう言った。
「あ、これはね、『ザ・ビーチ』っていう映画のサントラ。今かかってるのは三曲目かな。MOBYっていう人の曲」
「『ザ・ビーチ』…のサントラ」
「うん、やっぱり夏はこれだよね。今聴かなきゃいつ聴くの、って感じ。ま、映画は大したことないけどね」
僕は、その音楽に身を委ねながら、煙草を取り出した。この音楽、やたらと落ち着く。むかつくほど落ち着く。

左手には煙草が一本。まだ火は点けられていない。つーか、何故か知らんがライターが見当たらない。ポケットやバッグの中を探ったが、一向に無い。
そんな状況を察してか、マスターがマッチをくれた。僕は礼を言って受け取った。この店のマッチだ。「Bar Bristol」と書かれた、紫色のマッチ。

しゅっ。

マッチを擦ると、ぽっ、っと音を立てて小さな火が現れた。それと同時に、何かが目の前を猛スピードで横切ったような気がした。

…!

僕は驚いてそれを目で追った。しかし、見逃した。マッチの火はちゃんと点かず、すぐ消えてしまった。
何だろう…。

しゅっ。

再度私は火を点けた。
またもや、何者かが僕の視界を横切った。急いで、僕はその物体を目でとらえようとした。今度は絶対に視界から逃すまいと、僕の目は高速でそれを追跡した。そしてその物体は、僕の視界の中にしかととらえられた。

トーテムポールだ。  
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1. Bar Bristol

心が、やつれていた。
心が、何も音を立てなくなっちゃいそうだ。
磨耗した心を鋭くさせるやすりが必要だった。

不快だ。
そして腐海だ。
僕はこの腐海に生きている。そして、この腐海を選んだのは自分自身だ。

会社という檻に自ら入り、やりたくもない仕事を押し付けられ、心を擦り減らしては働いている。
疲れを癒すものは、音楽と映画。週末は天国。月曜の朝は地獄。そんなリピート感に苛まれつつ、体は会社へと向かう。社会人の憂鬱。それは、五月病という言葉では浅はかな程深く長い。
いつまで続くんだろう。
憂いは喉仏をきつく締め付け、耐え難き焦燥とストレス、および無力感の波はサランラップのように体にまとわりついている。

自分の価値は何か。
自分にとって幸せとは何か。
わからない。
でも逃げたくは無い。
人生の勝ち名乗り受けたい。

現代の文明社会に生きていくためには、高度なコミュニケーション能力という名の口先の上手さと、ポジティブ・シンキングという名の空元気と、明晰で高回転の頭脳という名のずる賢さが不可欠である。その全てが、僕の中には満たされていなかった。
あまりしゃべらない少年だった。そして、あまりしゃべらない青年に育った。ただそれだけ。
僕にとって「しゃべる」という行動は、ちょっとした苦痛とじわりとくる悲しみを伴う作業なのだ。内面に渦巻く感情や、思考や、説明や、色んな事を表現する際に口から搾り出す「言葉」は、それに伴う変換作業によって様々な抵抗を受けて瑞々しさを失う。一人伝言ゲームみたいに。心の奥底から口先に出てくるまでの、距離にすればほんの小さな間に、何でこんなに違ったものに生まれ変わってしまうんだろう。

腹の中の細胞が身をくねらすようなもどかしさ。それは宙ぶらりんな迷走感を助長している。21世紀を生き抜くスキルが、僕には足りない。
努力はした。でも、奴らは見放した。台無しの努力の破片を見つめて立ち尽くす。かっこ悪いサラリーマンにだけはなりたくないと願っていた。避けようと身悶えていた。しかし、現実はこうだ。自己嫌悪の渦中に僕はいる。早く抜け出したい。抜け出さねば呼吸が出来なくなっちゃいそうだ。

会社帰りの電車の中、僕はそんなことを思い巡らしながら、つり革にぶら下がっていた。中央線快速。家畜同様の扱いでぎゅうぎゅう詰めの車内は、檻の中の一部だ。
午後十一時半。高円寺駅に着く。
僕は駅前の牛丼太郎で牛丼セットをかき込むと、自宅へと歩を進めた。

ぴた。
ぽた。

何やら冷たいものが落ちるのを感じた。それは雨の始まり。傘は無い。
自宅までは駅から徒歩十分程度。まだ三分の二以上あった。僕の念に反し、雨足は思いのほかクレッシェンド。

やがて、辺りは土砂降りの様相を呈してきた。僕のスーツはさらに漆黒。染め上げられちゃった。あいにく近くにコンビニなどは無い。どこか雨宿りの場所は無いだろうか。

そこで僕の目に入ったものは、イギリス国旗の看板だった。「Bar Bristol」という名の店である。自宅から駅の道程の途中で、以前から気になっていた店だ。何かにとり憑かれたように誘われ、僕はその店へと入っていった。ドアを明けると、店内には数人の客とマスターが静かにたたずんでいた。

「いらっしゃい」

齢三十五歳ぐらいだろうか。マスターは中年というには若すぎ、青年というには年老いた、痩せ型でお洒落な男性である。割とこざっぱりとしたファッションで耳にはピアスをしていた。  
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心に関する小説

こんにちは。こびとぞくのayateです。
これからというもの、心に関する小説を連載していきます。
お楽しみに。  
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