裁判所が断罪 組織ぐるみの違法捜査

2012年2月23日(22日発行)日刊ゲンダイ

 デタラメ調書がことごとく却下されたことで、「小沢一郎との全面戦争」をブチ上げた特捜検察の“敗北”は決定的となった。返り討ちにあった検察の威信は失墜、世間から痛烈批判を浴びているが、謀略捜査の“代償”を払わされるのはこれからだ。小沢捜査に突っ走ったチンピラ検事や上層部が一斉逮捕される可能性が出て来た。


 地検特捜部が真っ青になっているのは、調書が全面却下されたからだけではない。田代政弘検事のヤクザまがいの取り調べについて、裁判所が「違法不当な取り調べは組織的に行われた」と断じたからだ。


 すでに田代検事は「虚偽有印公文書作成」などの罪で市民団体から刑事告発されているが、一介のヒラ検事が、独断でこんなムチャクチャができるはずがない。本人も裁判で「上司の指示で」と言ったように、組織ぐるみだったのは明白だ。元東京地検検事で名城大教授の郷原信郎氏がこう言う。


「裁判所から『組織的なものだった』と認定された以上、検察組織もこれを放っておくわけにはいきません。捜査に乗り出さざるを得ないでしょう。虚偽の調書で検察審査会をダマしたわけですから、組織ぐるみで偽計業務妨害罪となる可能性もある。裁判所の判断によっては公訴棄却もあり得ます。検事についても、虚偽公文書罪で刑事告発されている田代検事だけでは済まないでしょう。政治的影響を考えると、3人の特捜検事が逮捕された大阪地検の証拠改ざん事件とは比較になりませんからね。捜査対象はもっと上の方にまで及ぶと思います」


 大阪地検の一件でさえ、フロッピーを改ざんした特捜のエース・前田恒彦検事のほか、直属の上司だった大坪弘道特捜部長、佐賀元明副部長までが逮捕・起訴されている。小沢捜査に置き換えれば、田代検事と同じく、石川知裕議員にメチャクチャな取り調べをした当時の吉田正喜副部長、捜査を指揮した佐久間達哉特捜部長ら現場の上司、そのさらに上から指令を出していた検察幹部の逮捕まで視野に入ってくる。


笠間検事総長も覚悟を示唆


 実際、検察トップの笠間治雄検事総長が、それらしいことをほのめかしているという。

 「笠間氏は最近、周囲に『腹を決めた。辞めるまでに無駄死にはしない』と話しているそうです。3月の退任までに今回の不祥事の後始末、つまり暴走検事たちの摘発を考えていると思われます。もともと笠間氏は、10年12月の検事総長就任の前から、小沢捜査には反対していた人物です。彼が『無駄死にはしない』とまで言っているのだから、相当なことが起こるでしょう」(司法関係者)


 田代検事を刑事告発した市民団体は、きのう(21日)、検察に2回目の捜査要請書を提出した。すでに告発は受理され、最高検から東京地検刑事部に回されているから、近く捜査が始まるのは確実。逮捕者がゾロゾロ出れば、特捜部は壊滅必至だ。


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