5.地球環境の変化とはどんなものがあるのか

 私たちは常に地球環境の「変化」の中で生きています。
 
 ① 自転による変化。1日。

 もっとも身近な変化は「昼と夜」です。これは地球の自転によるものです。したがって私たちが今存在している場所が「夜」であっても、球形で回転している地球のどこかは「昼」なのであり、昼と夜というのは場所的な「ここにおける」、また時間的「今における」な意味で限定的、相対的な概念です。ただし場所として具体的な「ここ」と時間的な「今」は、例えば「日本で」「9月7日正午に」というような文章中の副詞として使われれば、それは限定詞的(注1)であり、場面を絞り込むものです。しかし回転運動する自転の円環にあって、具体化されない「ここ」と「今」は一般性を語ります。「今」には昼も夜も含まれるので、「今」とはさまざまな要素を含む運動ということになります。
 (『精神現象学』  ゲオルグ ウィルヘルム ヘーゲル(以下、「ヘーゲル」とのみ表記)著 長谷川宏訳 作品社 66~77頁 参照)
 
 環境変化ということでは、昼は太陽光を受けて(一般的には)明るく、気温が上昇するし、夜は暗く、気温が下がります。ただし(具体的には)季節、気象の要素が、一様な「明るさ」「暖かさ」には帰結しません。

 ② 地軸の傾きと公転による変化。1年。
 
 地球の軸は地球の公転をなす面(赤道と考えてよい)に対して、2016年現在、23.43度傾いています。これが四季を生み出す基本原因です。


地軸の傾き

                         図 1.地軸の傾きと夏と冬

 
 図1.は、向かって左のとき北半球にある日本の位置は、赤道方向に倒れるので「夏」になり、向かって右のときは、日本が北極の方に倒れるので「冬」です。四季の変化は、地球の地軸の倒れと、地球が太陽を反時計回りで公転しているので起こります。太陽の地軸と地球の地軸が平行でないことで球体である地球のある地点を取り出たとき、冬至から夏至までの半年を掛けて、徐々に太陽光線の「入射角」と「日照時間」が変化します。ただし「基本原因」と述べたのは、この地軸傾斜と公転以外にも、例えば公転軌道が楕円であるとか、地球各地の地理的条件からくる気象の差異により、気温や湿度が変化するので、冬でも暖かい日があったりします。同じ緯度であっても、例えばパリやロンドンは北海道より北にありますが、北大西洋海流が暖流であるため日本の本州並の暖かさ(観測史上40.4℃=1948年7月28日が最高)です。ただ海流や地形の影響で湿度や雨量はまた別の話となります。日本は夏が高温多湿で冬は乾燥しているのですが、イギリスの冬は多湿でロンドンの霧は有名です。
 
 ③ 潮汐による変化 12時間25分と太陰暦1ヶ月

 1日→1年ときて、再び約半日に逆戻りしたのは。「潮の満ち引き」には、ほぼ1日のサイクルと、ほぼ1月のサイクルの二つがあるからです。どちらも太陽と月と地球の位置関係がかかわっています。
 約半日の方(12時間25分=干潮~干潮、満潮から満潮の周期)は、地球の自転に伴う上下運動と太陽と月の引力により、1日1回ないし2回起きます。
 太陰暦1ヶ月の方は、月と太陽と地球の位置関係に関係します。朔月(太陰暦1日)は地球から見て太陽の方向に月があるため(地球→月→太陽の順で一直線に並んでいるため月は一日中見えない)、月と太陽の引力が同じ方向働くため、海面が持ち上げられて「大潮」となります。
 潮汐について取り上げたのは、この現象により、半日ないし15日を周期として潮位が変化するということが、海岸部の浅瀬が干上がることが定期的に起こる原因であるというと。いうことは、この現象が生物が海から陸上に上陸する進化を助けたとも考えられるからです。

 ④ 日月歳差 25800年

 今度はいきなり25800年周期のものを扱います。歳差運動とはコマのように軸がぶれることで、図2.のように軸が回転しながら倒れる現象で、「ジャイロ効果」「ジャイロ現象ともいいます。


歳差2
                             図2.歳差運動

                                                   Yahoo!検索(画像)より

 実は地球の地軸もこの様になっています。このぶれた回転を一周するのに25800年掛かるのです。

日月歳差
                           図3.日月歳差

                                                   Yahoo!検索(画像)より
 
 
 このような歳差運動を「日月歳差」といいます。月の軌道と赤道(太陽の自転軸)が一致しないため、地球に対して月の引力と太陽の引力の働く方向がずれているために地球は回転しながらぶれているのです。
 実はこのぶれにより北極星はひとつの星ではなく「ある星からある星へと移っていきます。紀元前2800年頃、地軸の真北を延長した線はほぼりゅう座α星のあたりにを指していました。現在の北極星はこぐま座α星(ポラリス)で地軸はそのあたりを指してます。歳差運動を発見したのはアリストテレスより150年後ぐらいを生きたギリシャの天文学者ヒッパルコスです。古代ギリシア人の「世界」とは何か、という問いに対する飽くなき挑戦には、頭が゜下がる思いです。

 日月歳差の地球環境への影響については、後述の「離心率の変化」「地軸の傾きの変化」とあわせて述べます。

 
 2016年9月7日
 コリン ヤーガー