米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)移設問題ですきま風が吹く日米関係を尻目に、中国と韓国が日本の海洋権益を脅かす動きを続けている。鳩山由紀夫首相は在沖縄海兵隊の抑止力の重要性にようやく言及し始めたが、中韓は普天間問題での首相の沖縄訪問や日米協議のタイミングを見計らうかのように挑発行動を活発化。日本周辺には抑止力の空白を許さない現実がある。

 ≪「海兵隊は貴重」≫

 「北東アジア地域が完全に安全になったとは言いがたい。海兵隊は即応性、機動性が大変貴重であり、その意味で抑止力が存在している」

 首相は6日夜、海兵隊の抑止力をこう定義付けた。初めて沖縄入りした4日、「学べば学ぶにつけ(海兵隊で)抑止力を維持できていることが分かった」と発言した首相に、「首相の不勉強のおかげで多くのものが失われた」(石破茂自民党政調会長)など批判が強まっていることを意識したものだ。

 しかし、日本を取り巻く環境は、首相の「不勉強」を許してはくれない。

 沖縄訪問を翌日に控えた3日午後、中国国家海洋局の海洋調査船「海監51」が奄美大島北西沖約320キロの日本の排他的経済水域(EEZ)内で海上保安庁の測量船に接近して調査中止を迫った。

 「中国側は日米の動きを瀬踏みしつつ、日本近海で影響力拡大をねらっている。国家海洋局は海軍と緊密な関係にあり、3~4月の挑発行動と一連の動きとして扱う必要がある」

 外務省幹部はこう強調した。中国海軍は3月18日、駆逐艦など6隻を東シナ海から太平洋に進出させた。4月には10隻の艦隊が沖縄本島と宮古島の間を通り、最終的に沖ノ鳥島近海まで達した。同艦隊は同月8日と21日、艦載ヘリが海上自衛隊護衛艦に危険な近接飛行を実施している。

 ≪タイミング≫

 8日はワシントンでの日米非公式首脳会談(4月12日)が行われる直前、21日は米国で日米外務・防衛担当の事務レベル協議が開かれる前々日というタイミング。海保に対する妨害活動が行われたのも、首相の沖縄入りと、防衛省での日米実務者協議の前日だ。

 韓国も同月15日、竹島周辺海域で地質調査の実施を発表するなど、実効支配の既成事実化を図っている。

 しかし、首相は同月12日の日中首脳会談で中国艦隊の動きに抗議しなかった。岡田克也外相は今月6日、中国海洋調査船の行動について駐日中国大使を呼び抗議したが、型通りの「抗議」にとどまることが多い。

 一方で、政府は海兵隊の機能の一部を沖縄県外に移す案を米側に提起しており、「日本のちぐはぐな対応が中国や韓国の活動に拍車をかけている」(防衛省筋)といえる。

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