迅速検査とは、鼻汁やのどから採取した検体で、10-20分程度で検査結果の出るものを言います。
現在市販されている迅速検査キットは、有名なものでインフルエンザや溶連菌、RSウイルスやロタウイルスなど、様々な病気に対する迅速検査のキットがあります。

この迅速検査キットは、この手の感染症の診断を容易にした反面、その使い方によっては不必要な治療を行ったり、余計な隔離を行ってしまうことがあると思います。

代表的なものとして、溶連菌感染症があります。
溶連菌は、のどの炎症を起こす原因菌として有名なものです。よく幼稚園や保育園で「溶連菌が流行っています」という通知を見ることも多いかと思います。
溶連菌によるのどの炎症は、それこそ「誰が見てもわかる」というレベルでのどが赤くなったり、のどが大きく腫れます。

ただ、この溶連菌がかなりの曲者で、例えば発熱もなく元気なお子さんに溶連菌の迅速検査を行うと、1~3割(私は1割と教わったのですが、最近の報告では3割とも言われています)が陽性と出ます。
これは、「のどに溶連菌はいるが、体に悪さをしているわけではない状態」であり、「無症状保菌者」とも言います。

無症状保菌者の方から他の人に感染させることはないと言われており、この状態の方には本人が元気な限り治療は行いません。
また、無症状保菌者の方が溶連菌以外の原因で発熱した場合、溶連菌の検査を行っても当然陽性と出ます。この状況では、溶連菌による発熱とは言えないのはわかるかと思います。

ただ、この無症状保菌者のことを知らないと、発熱→溶連菌検査→陽性なら抗生剤というパターン化(これを業界用語でサル仕事(何も考えなくてもできる仕事の事)といいます)になってしまい、必要のない無症状保菌者まで治療するという問題が出てきます。


また、検査が陽性でも治療方針の変わらない病気もあります。
ロタウイルス/ノロウイルスといった胃腸炎に関連したウイルスやRSウイルスがいい例で、陽性だから治療薬があるわけではないし、検査が陰性だから感染力が低いわけでもありません。入院が必要な全身状態で、入院させる病室を決める際に隔離が必要かどうかで検査することはよくありましたが、自宅療養ができるレベルであれば原則として検査は必要ないと思います。

保育園に報告が必要だから検査、という場合もありますが、登園の基準が「全身状態が良ければ登園可」となっているものであれば仮にロタウイルスでもRSウイルスでも登園可能となります。
元気なら検査で陽性でも陰性でも登園できるのであれば、検査の目的は保育園の都合(連絡帳に書くため)だけになってしまいます。

いくら医療費の助成があり診療費がかからないとはいえ、検査だって(国の医療費という形で)お金はかかるのですから、本人にとって利益の無い検査をする意味は?と考えてしまいます。

迅速検査の話をしだすとかなり長くなるので、また機会があれば書こうと思います。