数字。いろいろな事象を客観的に表すために数値化することで起こっていることをわかりやすくしてくれる便利なツールです。今日はその数字、数値に関するお話です。

診療の中でも、たくさんの数値を用いて評価し、診断に用いています。ただ、この数字というのは便利ですが過信してもいけないものでもあります。

勤務医の頃、よく後輩の医師に伝えていたことですが

数字に振り回されるな、患者さんを診なさい

これは私自身も恩師から教わった、診療を行う上でとても大事なことです。数字はあくまで患者さんにおこっていることを表してはいるが、それでどのような影響が出ているのか、患者さん自身を診ることをなしに評価してはいけない、患者さん自身をしっかりと診なさい、ということです。

身近なところで体温。
よく私の診察でもお伝えしていますが、38.5℃と聞けば、大人の感覚だととても高熱で大変だ、と感じる方は多いのではないでしょうか? しかしお子さまの様子を見ているとお分かりになるかと思いますすが、案外子どもは高熱があっても元気にしていることも多いです。もちろんぐったりしてしんどくて、眠れていないこともあります。
38.5℃といっても、しんどいかどうか、その子、その時によって違います。ですから、一律に38.5℃になったら解熱剤を使う、というのではなく、お子さまがしんどそうなら使うという使い方で問題ないのです。

もう一つ例をあげると、アレルギー検査。
血液検査の数値が上がっていても、症状が出ないことも多いというお話は、アレルギーのご相談を受けた際にはお伝えしています。これも数字ありきではなく、ご本人がどれだけの症状が出るのか、どんな症状が出て困るのか、そこが治療するかしないかの線引きになります。アレルギーの検査の数値は反応を図るものですので多少の参考にはなるのですが、その数字を見るより、どのようなものを摂取・接触することでどのような症状がどのくらい出ているのかをおうかがいする方がよほど大事です。

それから、乳幼児健診の際に時々見かけるのですが、ミルクや離乳食を育児書に書かれた数字通りに飲ませたり食べさせたりしている方。あれはあくまで目安です。お子さまの欲しがり方、成長に合わせて調整が必要です。あっという間に食べ終わってしまうようであれば、それは明らかに足りていません。子どもが成長のために欲しているのに、必要量食べることが出来ないということを招いてしまいます。同じ月齢でも成長の早い子・ゆっくりな子、様々です。それを数字一括りにすることはとても難しいです。


数字、たかが数字、されど数字。
大事な指標ではありますが、ちゃんと本人を見ることがとても大事です。