2015年11月18日

川原礫「ソードアートオンライン16 アリシゼーション・エクスプローディング」



 ますます物語に拍車がかかりまくるアリシゼーション編8冊目。
 今回は遂に、分かれ分かれになっていた主人公とヒロインが再会……か?

 その前に人界軍と闇の勢力が入り混じって、1人1人の背景をドラマに据えた展開になっている。

 中世ファンタジーをベースにおいた仮想空間アンダーワールド。
 そこに住まう人々は皆、人間の作り出した人工知性であるが、通常の人工知性と違うところはそれらの元になっているものは皆、魂、「フラクライト」を礎にして築かれた、確固たる人格であるということ。すなわちそれらはきわめて人間と同質の存在であると言える。
 それは人界に住まう人間たちだけではなく、闇の領域に住む異形の民もまた同じ。

 人界と暗黒界を隔ててきた東の大門が、遂に地響きをたてて崩れ去り、異形たちは豊かな人界へ雪崩れこむ。
 かつて最高司祭アドミニストレーターに牛耳られていた整合騎士たちは、五万の異形の民を迎え討つ。
 貪欲ながらに愚かといわれた山ゴブリンの中にあって高い知性を持ち、多種族から見下されることをよしとしない族長のハガシ。自らの強さを誇りとして、先陣で人界軍を全滅させて優れた種族であることを証立てようとしているジャイアント族のグロシグ、愚鈍で残忍、無慈悲なる行為を厭わぬ平地ゴブリンのシボリ、窮極の暗黒魔術一発で敵を全滅させて、アンダーワールド全域の支配権をその手にしようとしている暗黒魔術師ディー。臆病故に戦いを避け、戦わずして敵陣に入り込み、 後方で待機する弱い者たちを襲おうとしたオーガ族のフルグル、自ら一族を愛し、ただただ美しい人族に憎しみと自種族の容姿に強いコンプレックスを抱くオーク族のリルピリン、ただ筋肉の強さを誇示するために戦うだけが目的の拳闘士イスカーン。
 失ってしまった過去の記憶の残滓をかみ締めて、そんな敵に立ち向かう元公理教会の騎士たち。
 皆が皆、深い思惑を抱えてぶつかり合う。現実世界から入り込んだ軍事企業の最高経営者、ガブリエル・ミラーは、闇の皇帝ベクターのアカウントを使ってアンダーワールドにログインし、闇の軍団を率いる。サイコパスである彼が手に入れたいのは、光の巫女、唯一、この世界で犯さざるべき禁忌を破ったフラクライトの持ち主、アリス・シンセシス・サー ティの魂。

 当初は敵として見え、一時的に和解し、そして最終的には理解し合って、大切な存在となったアリスとキリトだったが、キリトは今、魂をすっかり閉ざして、何を話しても反応しなくなっている。
 そんなキリトを助け出し、そしてアリスをガブリエルから守るため、現実世界からアンダーワールドへ降り立つ本作のヒロイン、アスナ。
 アリスに嫉妬むき出しで近付くも、アリスもまたアスナに対して強い対抗心を燃やす。そこに参戦する修剣士時代の後輩ロニエと先輩リーナ。
 4人は、闇の軍勢との戦いの最中にもかかわらず、キリトを巡って火花を散らすわけだが……。
 アリシゼーション編に入って、モテモテなハーレム状態が一時的に落ち着いたかなと思ってたけど、ここ へ来て、ジワジワと描かれていたハーレムがはじけた感じ。

 構図としては、劇中でもアスナの心の声が語っているが、ソードアート→ニブルヘイムの流れを、そのまま裏返した感じ。
 つまりは主人公がヒロインを救う王道から、ヒロインが主人公を救うという逆転劇が展開されている感じか。
 善も悪もそれぞれの事情がある。守らなくてはいけないものが、果たさなくてはいけない野望が、解消させなければいけない葛藤がある。
 その是非は別としても、ラスボスである闇神ベクタことガブリエル・ミラーにもそれがある。
 でも、ずる賢くて人を利用するだけ利用するのに、大した実力も、いいところもないという小物さを露呈した暗黒魔術師のディーが1番、カタルシスを満たす小物に なり果てた感がある。
 まだまだ続くよ。いつ終わるのかな。終わったら、次は騎士の外伝話でも入るのかな。
 個人的にはシェータ・シンセシス・トゥエルブが好き。トゥエルブ。カタカナ表記にしただけで、なに、この神秘さ加減。トゥエルブ。
 ……トゥエルブって言いたいだけか。



babatune06 at 00:00│Comments(0)TrackBack(1)小説その他 

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