2015年12月01日

志村貴子「こいいじ」2巻



 子供の頃の恋愛をずーっと引きずってて、それが解消されないっていうのはどういう状態なんだろうなぁと想像する。
 そもそも小学校の時の女の子が好きって感情そのものが正体不明で、やっぱりよく思い出せなくて、その気持ちがいまだ続いているという状況がまるでわからない。

「小学生の時、聡ちゃん、ゆめ姉ちゃんのこと好きなんだろーなって子供のあたまで思ったの。たぶん」「それがきっとさいしょ」
 片思い歴20年のまめ。「由芽ちゃんのこと好きなオレを好きになったの……?」と疑問型の聡太。妻を亡くし、娘と2人きりの生活を送る彼は、どうしても自分を想うまめのことを女性として見られない。なんせ、まめが生まれた時、すでに5歳に なってい た彼は、分娩室の前まで行っており、その後、オムツを替えたこともあったりして。
 そんな話を聞いて「でも、そっかぁ、なんかそれ聞いてふっきれそうかも」「あたしってホントに娘か妹なんだね」
 なんて、まめは結論づける。まだ2巻なんだけど……ふっきるの?

 娘はいるけど独り身に戻った聡太の昔からの想い人、まめの姉、由芽が外国から戻ってきて、再び聡太の恋心も焼けぼっくいに火。
 聡太の弟、幼馴染の瞬も結婚し、まめはなんとなく居たたまれない気持ちで心機一転、自宅を出て、昔少しだけ世話になった不動産屋さんの、やっぱり昔少しだけ世話になった店員さんである河田の下を訪ねる。
 そこで河田のことをなんとなく意識し始めるまめ。うーん、なんかちょっと目 の前にいる、いい男に恋をする、みたいなノリになってないかい、この娘。とりあえず、芯にはずっと聡太のことはあるけど、それは忘れられない何かで、それ以外はまぁよければいい、みたいな。
 そんなわけでちゃんとデートに誘おうとするのだけれど、なかなか言い出せない。「不動産のお仕事に興味があるんですけど」と思ってもいないことを言ってしまう」
「本当はね……今度いっしょにお鍋食べませんか?って言いたかった」同じ人をずーっと好きでいたせいで、聡太以外の男性の誘い方がわからない。距離感がつかめない。聡太の気持ちを掴むのは無理だとわかっていたし、ダメ元でやっていたので傷は浅かった。でも、今回は少し何かが違う。ガチでこれは勝負なのだから。
 思い切って電 話して、河田を誘うことに成功するのだ。

 その頃、聡一は近所の寺の跡取り息子、恭一から、昔、まめとつき合っていたことなどを聞いて動揺。
 なんとこれは、知らなかったまめの女の部分を知って、ちょっと気になりだしたみたいなパターンか? いや……違うな。どちらかというと彼氏の存在を聞かされた父親のような気持ちなんだろうか。そしてその彼氏が実は近所のアイツだった、みたいな。

 さて、河田さんは自分に娘と別れた元妻がいるけれど、まめとのことを真剣に考えたいみたいな話になってくる。
 まめさんも、そんな過去を打ち明けられたら、自分のことも話さないわけにはいかない。
 彼女は話し出す。ずっと忘れられない人がいるということを。そして聡太の妻、春 ちゃんが亡くなる間際の思い出を。
 そして、聡太は春ちゃんとずっと生きていくと思っていたこと、でも、まめは春ちゃんが間もなく死ぬだろうということを悟っていたこと。

 なんだか不穏になってきた。これは、まめが春の死を望んでしまった、みたいな罪の告白になっていくんだろうか。
 諦めきれない気持ちってなんだかすっきりしない。引くにも引けないけれど、押すにも押せないって状況だもの。引けば完全に失うし、押せば誰かが何かを失う。必ず犠牲を伴う何者か、それが諦められない気持ち、恋心。
 まめの気持ちの落ち着きどころはどこなのか。くっついたらくっついたで物語的大団円だけど、嘘くさいし、それじゃあ聡太の気持ちはどうなるのっていう。ゆめはゆめで冷たい 女だと自分を決めつけたままになってしまうし、まめも決して手放しで幸せにならないよねぇ。
 つくづく人生というのは思い通りにいかないものなのだ。



babatune06 at 00:00│Comments(0)TrackBack(0)漫画 | 志村貴子

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