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年明け早々一眼レフを購入しました。
もっと上手く撮れるようになりたいです。

今年も更新の少ないブログですがよろしくお願いいたします。







年末に、1991年に放送されたダウンタウンの「ごっつええ感じ」の中で最も忘れられないコント「トカゲのおっさん」を全編見直してみた。

 

放送作家でダウンタウンと同級生の高須氏のHPに、当時を振り返る記事があった。(以下太字で一部抜粋)
 

 

高須

「小松が一番気に入ってるコントって、なに?」

小松

「……「トカゲのおっさん」の一番最初の、長いヤツですね。」

高須

「なるほどなぁ。」

小松

「あの話が決まった時に「うわぁ、えらいことになったなぁ」って心底思ったんですよね。アトランタオリンピックのマラソン中継の裏だったんですよ。 

で、何をやっても数字は悪いに決まってる。 みんなはマラソンを見るだろう。それだったら、いっそのこと60分で一本のコントってでけへんかなぁって、松本さんが言いだしたんですよ。

高須

「トカゲのおっさん自体は、そんなに長いコントの予定じゃなかったんやんな?」

小松

「そうです。 普通のコントの中の1つとして設定と台本が上がってきて、そのためのセットを組んで、普通に撮るつもりだったんです。

リハも終わって、さあ後は撮るだけだって時に、 タマリに行って 「本番、よろしくお願いします」って言おうと思ったら、 松本さんが 小松…ちょっとスゴイことやろうと思ってんのよ…」ってぼそっと言い出して、「え、なんですか?」 「いや…うん、でも、どーしようかなぁ…」 とか呟いてねぇ(笑)。

で、これを一本長回しのコントにしようって言い出したんですよ。
 

 

鳴り物入りでゴールデンにスタートした「ごっつええ感じ」の1時間枠の番組でコント1本に37分。

あり得ないスタートで始まった「トカゲのおっさん」だが、今だったらおそらく放送1回目でクレームが殺到して打ち切りになっていたかもしれない。

なぜ今だったら放送が打ち切りになっていると思うのか?

(DVD化され現在も販売されているので、放送禁止という意味ではない)

 

●首から上がおっさん、下がトカゲの風貌

●路上生活をしているおっさん(松本)を飼いたいと子どものマサオ(浜田)が母親(板尾)におねだりする。

●通りかかった母親の情夫(ホンコン)がおっさんの風貌を激しく罵倒する。

 

言葉ひとつで苦情が殺到する今なら、差別、人権侵害であり暴力行為を助長している俗悪番組として訴えられているのではないかと思う。

 

公園のセットをバックに、おっさん(松本)とマサオ(浜田)のやりとりだけで笑いをとる37分のコントは、今もテレビ業界の中で伝説のコントと言われている。
とにかく設定がディープなのだ。

 

●マサオ(浜田)はおっさんと暮らしたいが、人というよりもペットと同列でおっさんを見ている。子ども特有の無垢で残酷な物言いをするものの、 おっさんのことを純粋に気に入っており、苦手な情夫(ホンコン)への逃げ場としておっさんを連れて帰りたいと思っている。

 ●どのような経緯でおっさんとトカゲが合体したのかは不明。風貌が故にかなり辛い人生を送ってきたと思われるが子どもに対して「大人」でありたいというプライドもあり、マサオからの申し出は渡りに船だと心の中では思っているが、あくまでも上目線でマサオと話そうとする。

 

純粋に見えて残酷なマサオと、弱みも傷もあるおっさん。

 

このコントラストに加えて、回が進むにつれ過酷になっていくおっさんの生き様を笑いに変えながらコントは続く。

 

 

このような笑いを生理的に受け付けないという人もいるだろう。

受け付けない人は、見なければいい。

しかし、そうでない人は再度見てみる価値がこの「トカゲ」にはあると思う。

 

おっさんは「いい人」ではない。助平だし嘘もつく。

一方でおっさん(後半で“我門”という名前であることがわかる)は、悲しいほどにやさしく傷つきやすい。

浜田親子(特に母親)にさんざんひどい目に遭わされるのだが、それでもおっさんは親子を責めない。すべて受け入れ、とても傷ついているのにマサオ(浜田)に寂しそうな表情で笑い、大人の立場を崩さない。

シリアスな内容で淡々と進みながらも、毎回最後は通りかかった少年(今田)に“トカゲダンス”を見せて笑わせるというオチがついている。 

マサオに対しては人として父親のように向き合いたい、マサオの母親に対しては男でありたい、
でも営業的な理由で(トカゲとして)トカゲダンスも踊る。

全てを引き受けながらも人とトカゲの間で揺れる複雑な気持ちを松ちゃんは見事に笑いに変えている。 

 

※ 後半でマサオの母親(板尾)の情夫(ホンコン)の借金を返さなければ母親(板尾)を風俗に売り飛ばすと借金取りに言われ、おっさん(松本)は母親の代わりにストリップ小屋で見せ物になることを選ぶ。
自分の身代わりで働くことになったおっさんの職場(ストリップ小屋)へ挨拶に行ったマサオの母親は、そこでもマネージャーの財布からお金を抜き盗り、おっさんに罪をなすり付ける。
その後も意地悪な金持ち家族(今田、東野、ホンコン)の家に浜田親子によって引き渡され、金持ち家族から人としての扱いを受けなかったことにショックを受け、人間が信じられなくなり頭頂部の一部と腕部分がトカゲ化する。

 

 

日々が(過酷な)コントだと感じている自分にとって「トカゲのおっさん」の笑いはとても深い。

ダウンタウンのコントをもう一度見たいが、たぶんもう「トカゲ」以上のものはつくれないだろう。

 

松本、浜田コンビがつくれないのではなく、時代がトカゲを受け入れてはくれないだろうから。