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戦後60年を過ぎて多くの当事者が鬼籍に入り、ようやく戦前の総括が冷静な目で行われるようになってきた。特にこの本は歴史の教師には一読を薦めたい。
アジア/日本


・西欧からの「近代化」のインパクトを受けて流動化する日本-中国-朝鮮の国際関係。

・日本が「近代化」の先生として中国、朝鮮等の近隣地域を指導しようとする所にすでに生じている暴力性。
(「民主化」を掲げてイラク侵攻したアメリカも似たようなものに見えるが、あちらは思想というより宗教かなぁ?)

・日本の植民地政策の展開や破綻と共に形を変えていく「アジア連帯論」。
(書店に並んでいる多くの本では、一部の思想だけを取り上げた瑣末な議論が多いような気がする。)

・戦後アメリカ資本主義の尖兵として再生した日本の「植民地的開発」。

明治維新以降は日本史として教えるのではなく、世界史として俯瞰しないと判りにくい。
近代化したばかりで国力も脆弱な日本が何故周辺諸国に軍事侵攻していったのか?という昔からの疑問の答えが本書にあった。

思想の生み出された社会状況や、思想が日本やアジアでどのように消費されていったかを、多くの文献にあたりながら、この本は読者にわかりやすくまとめている。
(疑問な点があれば、紹介されている文献を直接検証すれば良いだろう。)
まさに「思考のフロンティア」に相応しい1冊といえる。

人民服を脱ぎ捨てた中国がグローバル経済に組み込まれ、日中韓の生活スタイルの均質化が進む中で、再び「外から」或いは「内から」のインパクトによって、戦争状態を招くような沸騰が起きるかもしれない。

その際にも様々な思想が勃興してくるのだろうが、それらと対峙する際に、過去に出現した思想を批判的に整理した本書の持つ意義は大きくなるだろう。
情況 2007年 04月号 [雑誌]