Lady Black Cat 2 こんばんわ、Bazilです。病膏肓に至るというヤツですね。モノクロ時代の製作年不詳、ユルいアクションが時代の雰囲気に満ちたコニー・チャン主演『女賊黒野猫』の魅力にすっかり虜になったワタクシは、早くも別の作品が見たいようと切望していた今日この頃、今すぐ注文しても海の向こうの事情もあって、最低1週間はかかるわけですが、どういう訳か続編がウチにあるではないですか。ちょっぴりドジだが勇猛果敢、頼れる李探偵にラストシーンでその正体を明かした助手ちゃん、黒野猫と探偵先生との次なる冒険は……本日のレビュー:

『黒野猫覇海揚威』

 ……って、全然違う話やんけ!!

 主演の「怪盗黒野猫」はもちろん陳寶玉、男側の主人公も前回と同じ胡楓という俳優。敵役の石堅(シー・キエン)も全く同じ、弱きを助け強きをくじき、社会の上下はみな慶幸という黒野猫の基本的なスタンスも前作を引き継いでいるが、ストーリーは全く違う作品だったのだ。

Lady Black Cat 2 01 深夜、香港島某所。石堅率いる悪の組織が秘密の会合を開いていた。彼は香港のみならず東南アジア各地の黒社会の親分を集め、敵対する組織の壊滅と黒社会の統一を目論んでいたのだ。だが、その会合に密かに忍び込んでいた女スパイ。彼女は石堅の悪だくみを録音した決定的な証拠のテープを手に脱出を図るが、石堅軍団の知るところとなり抹殺される。だが、肝心の証拠のテープが見つからない。石堅の野望の確証を巡って、謎の怪覆面が率いる香港デストロン軍団と、気鋭のトップ屋・孫奇(胡楓)、そして黒野猫が暗闘する。

 ショボい小悪党のセコい悪事を暴くコメディ・タッチの前作とは一変、クール&ハードに展開するスリラータッチの作風は、これが同じ監督とキャストの作品かと目を疑う。石堅もチョビ髭をスッパリとそり落とし、ケロイド豚マスクをつけて女の子をベッドに押し倒したりする、まさに香港版天津敏の面目躍如だ。黒野猫も切れ味鋭いアクションに、場合によっては平気で人を殺すハードボイルドな一面も見せ、モノクロ・スタンダードの画面でシャープに進行するドラマは、まさに新東宝アクションの持ち味、石井輝男か小野田嘉幹か

Lady Black Cat 2 02 録音テープを巡る攻防戦は一進一退、黒野猫も香港デストロンの誇る恐怖の処刑装置「蛇の穴」に落とされて危機一髪。さらに今回は黒野猫と新ヒロイン李紅との、胡楓をめぐる三角関係までがストーリーに新鮮なアクセントを与え、映画としては前作より遥かに優れた出来映えだ。もっとも、胡楓がそんなにいい男か? という根源的な疑問は残るが(ジャケ写右側中央の男)。

 テープをデストロン軍団に強奪された石堅は、ついに香港ドクトルGに囚われる身となる。終始顔を隠したこの男、マントは思いっきり余計だと思うけれども、意外な正体は見てのお楽しみ。そこへ現れる怪盗黒野猫。拉致された胡楓と李紅のカップルの運命は? デストロン秘密基地をところ狭しとプロレスバトル、元々踊りの素養はあるらしい陳寶珠の格闘シーンは、ますます『スーパージャイアンツ』のカピア魔城の雰囲気を漂わせる。

 かくしてデストロン首領を倒し、石堅を蛇の穴に突き落として勝利の凱歌。香港黒社会の二大巨頭を葬り去った胡楓と李紅の元に、取材の並が殺到する。胡楓は自分の手柄ではなく、黒野猫のおかげだと謙遜するが、誰もそんな話は信じない。そこへ二人を祝福に来た音大生・馬安娜。彼女は黒野猫なんか信じないと言うが、そこで語ったエピソードは、胡楓と黒野猫の二人しか知らないはずの樹林での出来事……粋なエンディングにかかるのは、モーリス・ジャールの『グラン・プリ』のテーマだったので、ともかく1966年よりは後の作品であったようです。

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