京都・ビーバーレコードの閉店セールに乗じて、連作ものだとは全く企図せずに購入した『あゝ同期の桜』『人間魚雷 あゝ回天特別攻撃隊』『あゝ予科練』。1967〜68年にかけて製作・公開されたこの3本は、いずれも当事者たちの手記を原作とした海軍特攻戦記映画だが、『同期の桜』は学徒兵、『回天』は兵学校卒、『予科練』は予科練生と、主役がそれぞれ立場の異なる位置づけで、そこに製作者のスタンスが如実に反映しているようで興味深い。
『あゝ同期の桜』は監督の中島貞夫が脚色も担当。学業の志半ばでペンを操縦桿に持ち替えて、南洋に散った学徒兵の悲劇の青春を描き、そこには企画に名を連ねる岡田茂の、『きけ、わだつみのこえ』の夢よもう一度の情念が見え隠れするが、それ以上に中島貞夫(東京大学文学部卒)の思いが強くにじみ出る。
高学歴の彼らは、理不尽な軍隊生活に戸惑い、勝ち目のない戦争という現実も見えている。しかし、打破し難い閉塞感にも無理やりに己を納得させて、いっぱしの軍人へと成長していくのだが、中島貞夫は残酷な青春に追い打ちをかけていく。それが機体の変調から特攻に出撃したものの引き返してきた南条や、脱走して後廃人となった滝のエピソードに現われている。強烈なのはラスト、特攻機の実写フィルムを映し出したうえ、米艦に激突する寸前にストップモーションとなり「この瞬間、彼らは生きていた」とテロップが出て、頭がガツンと殴られるような衝撃を覚えるのだ。なお、山田和夫の著書によれば、このラストに東映社長の大川博が激怒、公開4日目から大川名義の追加テロップを入れさせた、とあるが、DVDには収録されていませんでしたよ。
第2弾の『人間魚雷 あゝ回天特別攻撃隊』では、そんな中島演出に懲りたのか、東映きっての職人監督・小沢茂弘がメガホンを執った。中村錦之介の自主大作『祇園祭』のパンフで、東映労組の人が「京都撮影所は軍国賛美の映画ばかり撮っている」と批判したのが、ちょうど本作の製作時期に重なるようだ。
様々なジャンルでサプライズ演出に肝を抜かれる小沢茂弘だが、戦記映画はいささか荷が重かったのか、淡々と撮り進めて行っている印象だ。ゼロ戦に250キロ爆弾をくくりつける神風特攻隊と違い、回天は船体を一から開発しなければならないので、そのエピソードが前半に配置されメカニックな興味を引く。実物大の回天に人が乗り込み水中に沈めるシーンがあるけれど、もしかして本物を使ったのかな。
前作でキャスティング上、主役の鶴田浩二が後半まで出てこなかったのには驚いたが、本作では前半で殉職してこれまた驚いた。史実でも回天開発を進言した人が、訓練中事故死しているらしい。以後はゴリゴリの職業軍人・松方弘樹と学徒出身の伊丹十三を中心に話は進んでいくが、この対比も面白かった。まるっきり『男たちの大和』そのまんまの出撃前夜の上陸シーンを経て、最後はやはり特攻だけれど、神風と違って実写フィルムがないので、いささか頼り気ない特撮で描写。
最後の『あゝ予科練』は、『あゝ同期の桜』でも共同脚色を担当した須崎勝弥が単独で脚本、印象的なエピソードを実にうまくつないで見応えのあるドラマに仕上げている。そして出色は、三部作で初めてクレジットされた「特撮 矢島信男」の文字。実際、『あゝ同期の桜』でも実写とのつなぎで、いかにも東映らしい堅実な特撮カットが配置されていたが、本作では短いながらも本格的な大空中戦シーンがある。もしかすると円谷特撮よりもうまいかもしれない。
予科練生ということでキャストはさらに若く、西郷輝彦や谷隼人、桜木健一が七つボタンの制服に身を包んで体当たりの演技を見せ、そこに梅宮辰夫や千葉真一、丹波哲郎、池部良あたりがチラリと顔見せする。意外と言えば意外すぎるキャスティングが、鬼教官の一人を演ずる山城新伍か。軍人精神注入棒や「熊ん蜂」「急降下」と称する激烈なシゴキ場面に、何十人という丸刈り男優たちが肉体の限界とばかりに挑むさまは、いかにこの間の『魁!男塾』が甘かったかを思い知らされたよ。
『あゝ同期の桜』は監督の中島貞夫が脚色も担当。学業の志半ばでペンを操縦桿に持ち替えて、南洋に散った学徒兵の悲劇の青春を描き、そこには企画に名を連ねる岡田茂の、『きけ、わだつみのこえ』の夢よもう一度の情念が見え隠れするが、それ以上に中島貞夫(東京大学文学部卒)の思いが強くにじみ出る。
高学歴の彼らは、理不尽な軍隊生活に戸惑い、勝ち目のない戦争という現実も見えている。しかし、打破し難い閉塞感にも無理やりに己を納得させて、いっぱしの軍人へと成長していくのだが、中島貞夫は残酷な青春に追い打ちをかけていく。それが機体の変調から特攻に出撃したものの引き返してきた南条や、脱走して後廃人となった滝のエピソードに現われている。強烈なのはラスト、特攻機の実写フィルムを映し出したうえ、米艦に激突する寸前にストップモーションとなり「この瞬間、彼らは生きていた」とテロップが出て、頭がガツンと殴られるような衝撃を覚えるのだ。なお、山田和夫の著書によれば、このラストに東映社長の大川博が激怒、公開4日目から大川名義の追加テロップを入れさせた、とあるが、DVDには収録されていませんでしたよ。
第2弾の『人間魚雷 あゝ回天特別攻撃隊』では、そんな中島演出に懲りたのか、東映きっての職人監督・小沢茂弘がメガホンを執った。中村錦之介の自主大作『祇園祭』のパンフで、東映労組の人が「京都撮影所は軍国賛美の映画ばかり撮っている」と批判したのが、ちょうど本作の製作時期に重なるようだ。
様々なジャンルでサプライズ演出に肝を抜かれる小沢茂弘だが、戦記映画はいささか荷が重かったのか、淡々と撮り進めて行っている印象だ。ゼロ戦に250キロ爆弾をくくりつける神風特攻隊と違い、回天は船体を一から開発しなければならないので、そのエピソードが前半に配置されメカニックな興味を引く。実物大の回天に人が乗り込み水中に沈めるシーンがあるけれど、もしかして本物を使ったのかな。
前作でキャスティング上、主役の鶴田浩二が後半まで出てこなかったのには驚いたが、本作では前半で殉職してこれまた驚いた。史実でも回天開発を進言した人が、訓練中事故死しているらしい。以後はゴリゴリの職業軍人・松方弘樹と学徒出身の伊丹十三を中心に話は進んでいくが、この対比も面白かった。まるっきり『男たちの大和』そのまんまの出撃前夜の上陸シーンを経て、最後はやはり特攻だけれど、神風と違って実写フィルムがないので、いささか頼り気ない特撮で描写。
最後の『あゝ予科練』は、『あゝ同期の桜』でも共同脚色を担当した須崎勝弥が単独で脚本、印象的なエピソードを実にうまくつないで見応えのあるドラマに仕上げている。そして出色は、三部作で初めてクレジットされた「特撮 矢島信男」の文字。実際、『あゝ同期の桜』でも実写とのつなぎで、いかにも東映らしい堅実な特撮カットが配置されていたが、本作では短いながらも本格的な大空中戦シーンがある。もしかすると円谷特撮よりもうまいかもしれない。
予科練生ということでキャストはさらに若く、西郷輝彦や谷隼人、桜木健一が七つボタンの制服に身を包んで体当たりの演技を見せ、そこに梅宮辰夫や千葉真一、丹波哲郎、池部良あたりがチラリと顔見せする。意外と言えば意外すぎるキャスティングが、鬼教官の一人を演ずる山城新伍か。軍人精神注入棒や「熊ん蜂」「急降下」と称する激烈なシゴキ場面に、何十人という丸刈り男優たちが肉体の限界とばかりに挑むさまは、いかにこの間の『魁!男塾』が甘かったかを思い知らされたよ。


自然豊かな山荘を訪れた若き科学者、プロレスラー、不動産業者、そして軍人。平和な緑に囲まれて過ごす穏やかな休日は、阿鼻叫喚の惨劇へと一変する。それは科学者が発明した化学薬品によって、突然変異を起こした食人キノコが原因だった。







