November 23, 2004

モーターサイクル・ダイアリーズ

モーターサイクルダイアリーズようやく観てきました。期待を裏切らない素敵な作品でした。
この作品は、キューバ革命の英雄、チェ・ゲバラが若き日に友人のアルベルトと一緒に南米を縦断した旅を描いたロード・ムービーです。

南米の雄大な自然をバックに、そこに暮らす人々の暮らしをつぶさに見て、若い二人は人生を変えるほどの様々な出会いを経験します。革命の闘士、チェ・ゲバラの原点がこの旅にはあるのです。
旅の始まりは、おんぼろバイクに荷物を山ほど積んで、金もなく南米1万キロを走破しようという無謀な若者二人。案の定バイクは途中で壊れるし、泊まるところも食べるものもなくなり、お調子者のアルベルトの口八丁で何とか旅を続けるありさま。そんな二人の旅は、ペルーに入ったとたんに大きな転機を迎える。クスコやマチュ・ピチュでインカ帝国の悲しい歴史を学び、南米人としてのアイデンティティを認識し、共産主義者のために迫害を受け、旅を続ける夫婦との出会い、ハンセン病患者たちとの心温まる交流などを通じて社会の底辺に生きる人々の役に立ちたい、世の中の矛盾を変えたいと彼らの心の中に大きな変化が起きた。そしてこの旅を契機に一人は科学者としての道を歩み、一人は革命家になった。

若くして非業の死を遂げたチェ・ゲバラは、今でも特に南米ではカリスマ的な人気がある。なぜそんなに人気があるのかよくわからなかったけど、この映画を見て50年も前の南米が今でもそれほど変わっていないことがよくわかる。貧富の差が激しく、社会の底辺からはい上がれない人たちにとって、チェ・ゲバラが唱えた革命論が今でも熱狂的に受け入れられるのも無理はない。キューバ革命に成功して、かなりの地位についたにもかかわらず、彼の革命は終わらなかった。外国の地で戦い、殺されてしまったゲバラ。ドン・キホーテのように強大な力に立ち向かい、弱いものには限りない優しさを向け、誰をも魅了する笑顔が素敵だったゲバラ。

ゲバラを演じたガエル・ガルシア・ベルナルは決してゲバラに似ているとは言えないけれど、やっぱり良かった! 憤りに燃える目、限りない優しさを湛えた目、内面的な変化をあの魅力的な目で演じ分け、人間的な成長課程を上手く演じていたと思う。アルベルト役のロドリゴ・デ・ラ・セルナ(チェ・ゲバラのはとこらしい)のメリハリのある演技も素晴らしかった。そしてこの壮大な旅を2時間という時間枠の中に詰め込みながらもその壮大さを損なうことなく、リアリティを感じさせる作品に仕上げたのは、名匠ウォルター・サレスの非凡な才能によるところが大きい。
bagdadcafe04 at 13:39│Comments(6)TrackBack(4)CINEMA 

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1. 楽しい週末  [ ねこと、日記と、フランス語 ]   November 23, 2004 20:33
Nous avons dîner au restaurant cor?en. C'était très bon! J'aime la cuisine coréene. 私たちが、ふたりで映画を観に行くのはたいてい週末の夜だ。 きのう、とうとう楽しみにしていた映画を観に行けた。 映画のチケットを買って、まだ少し時間が余
2. 「モーターサイクル・ダイアリーズ」  [ unaG ]   November 29, 2004 16:07
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3. DVD買います @ モーターサイクル・ダイアリーズ(橋本)  [ :: N a r o o m :: ]   December 08, 2004 15:35
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4. ヘイデン・クリステンセン  [ [TW] HOTWORDS ]   July 12, 2005 15:46
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この記事へのコメント

1. Posted by ごんまる   November 23, 2004 15:04
Yumiさん、こんにちは。
私も先日、この作品を見てきました。平日の地方のシネコンとあって、お客さんはまばら。思わず、ここにいる人達ってどんな人たちなんだろう、と想像してしまいました。後ろのハイテンションの女性2人組みは間違いなくガエルファンとして、前後の(と、いってもかなり離れている)男性が一人で来てるのって、かなりの南米好きorチェ・ゲバラ好き!?・・なんでしょうか。
とりあえず、日本人とはおおよそ縁の無いチェ・ゲバラの映画がこんな地方で上映されているのを知ったら、キューバ人もびっくりでしょう。
2. Posted by Yumi   November 23, 2004 22:27
おぉ、ごんまるさんもとうとうご覧になったのですね。
私も恵比寿はあきらめて神奈川県のシネコンに行ったので、がらがらだったし、客層も似たような感じでしたよ。

ここ数年、ゲバラの思想とかに関係なく、単なるファッションとして彼の肖像ってよく使われてますよね。この間、ニュースを見てたら浦和レッズの優勝戦でも彼の有名な肖像画がでかでかと掲げられていてとても不思議だったんですけど、あれもファッションですかね?
3. Posted by ごんまる   November 23, 2004 23:36
Yumiさん、こんばんは。
私は、2年程前に公開された映画「海辺の家」で、ヘイデン・クリステンセンが着ていたTシャツでゲバラを初めて見ました。そのときはもちろん誰だろう??って感じだったんですが、すごく印象的で記憶に残りました。
いま思えば、アメリカ人が彼をファッションとしてのみ取り上げるのって無知で恥ずかしい事だと思うんですが・・。(ちなみにこの作品はH・クリステンセンとジーナ・マローンが初々しくて嫌いじゃないんですけど。)

ついでながら、見終わった後、ここにいる人たちはどう感じたのか、何を思ったのか聞いてみたいくらいでした。単なる異国情緒に浸るのか、南米を旅してみたいと思い、実際行ってみるのか。それともTシャツ買おう、と思うだけなんでしょうか・・・。
4. Posted by Yumi   November 24, 2004 23:16
ごんまるさん、こんばんは。

私はゲバラの肖像画がファッションとして使われているのは、それだけ彼が格好良かったんだと思うんですよね。アメリカや日本みたいに資本主義至上の国では共産主義が崩壊した今となってはゲバラの思想を心棒している人はそんなにいないと思うし・・・。昔と違って、毛沢東やゲバラの肖像が西側諸国ではその思想とかけ離れてファッションになってしまったのは、東西の冷戦がすでに歴史になってしまったんじゃないかと思います。

で、ごんまるさんは見終わった後どう感じましたか? 私は南米を旅したい!と思いました。といってもゲバラのような旅はできないし、もちろん彼のような感じ方をするわけじゃないと思いますが・・・。ただただ南米の雄大な自然と歴史に強く惹かれました。
5. Posted by ごんまる   November 25, 2004 09:12
Yumiさん、こんにちは。
もし、私のコメントがシニカル過ぎると、感じていたらごめんなさい。この映画の舞台になった地域は個人的に思い入れがある土地、と言いますか、留学時代に英国で付き合っていた人がチリの人だったので、いろいろとその当時の事とか、思い出してしまって。彼はスペインと、アメリカの国籍も持っていて、いわゆる祖先が’後から南米に入っていった人’です。仮に彼と結婚したら、自分はメイドさんつきの高級住宅に住める一方、町にでれば、子供たちが働く姿を見なければならないんだ、といろいろ複雑な思いでした。チリも今では、南米の中では経済、治安共に安定している国ですが、ほんの何十年前までは政権をめぐって血なまぐさいことが起きていて、日本人のなかではほとんどそういう歴史も知られていないと思います。こういった映画が日本で公開されて、少しでも南米に対して興味もってくれるのは大変嬉しいことなのですが、映画を見るだけで終わりにしてほしくない、と思ったのです。もちろん、たくさんの人に南米に行ってその土地の空気を吸ってほしいとも思う一方、数年前チリのイースター島でモアイ像に自分の名前を落書きした日本人のニュースなどを聞くと、正直、情けなくなりますけど。でも、なんだかんだ言っても、やっぱり日本と南米はもっと関係を強くしてほしいというのが、私の願いです。
6. Posted by Yumi   November 26, 2004 23:41
ごんまるさん、こんばんは。
返事が遅くなってごめんなさいね。
別にごんまるさんのコメントがシニカル過ぎるとは思ってませんよ。ごんまるさん自身はどう感じたのかなぁと思っただけですので気にしないでください。
ごんまるさんにとって南米はそういう思い入れのあるところだったのですね。南米は確かに日本とはとても遠くてニュースなどでもあまり取り上げられることがないので、日本人にとっては遠い国々ですよね。私もチリの軍事クーデター以降の混乱は知識としては知っていますが、そんなに詳しくは知りません。他の国々にしてもステレオタイプ的なイメージしか持っていないのが実情です。
でも、きっかけは何であれ、この映画を観た人で南米に興味を持った人は結構いっぱいいるんじゃないでしょうか。いい映画ってのはそういう力があるものだと思います。もちろん、モアイ像に落書きしたような日本人みたいなのが増えても困りますが(こういう人は南米どころか外国へ行ってはいけません)・・・。
南米は自然遺産、文化遺産も多く、観光資源には恵まれていますが、やっぱり日本からは遠いしお金もかかって気軽に行けるところではないですね。

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