ツンデレblog

淡路島の弁護士が考えたこと

August 2013

 木村義志「机の上で飼える小さな生き物」という本を今読んでいる。とても面白い。昨日読んだ箇所にいい話があった。

 小学1年生の女子が,1匹のカマキリを初齢幼虫から飼って成虫にまで育て上げたという話なのだが,心あたたまるのは,この女の子がカマキリに筆でミルクを飲ませて育てたという部分。
 この女の子は,最初本来の餌である昆虫を与えてカマキリを育てていたが,これが成虫になる最後の脱皮に失敗し,前肢が変形して餌がとれなくなってしまった。そこで,前々からカマキリを育てている娘のためにカマキリの研究家にアドバイスをもらっていた父親が,「カマキリがミルクを飲む」といつ知識を娘に教え,以来この女の子は毎日筆でカマキリにミルクをやって成虫に育て上げたという。カマキリがミルクを飲むのは一部の専門家の間ではよく知られていることらしい。父から娘へ,娘からカマキリへ,それぞれの愛が感じられ,ほほえましい。


  で,この話にはちょっと続きがある。この話は1998年度分の夏休み昆虫研究大賞の入選作品なんだそうだが,上記の書籍には,この女の子の実名が記載されていた。ツンデレは,なんとなく気になって,その名前をぐぐってみたところ,facebookの頁がヒットしてしまったのである。ちょっとキラキラの入ったなかなか同名の人はいないだろうという名前で,年齢も出身地も矛盾せずなんだなこれが。うーん,こういう使い方をしていいんだろうか。

  そして,最後のオチなんだが,彼女の頁の写真には,手のひらに乗ったなんだかへんてこな黄色いトカゲだかヤモリだかのそれがあったのである。小1のときにカマキリ飼う女の子はやっぱり大きくなっても生き物(それも一般的には若い女性には好かれないことが多いそれ)が好きなんだなあと感心した。堤中納言物語(坂田靖子のマンガでしか読んだことないが)の「虫愛づる姫君」に出てくる右馬佐になったような気分である。

 神戸地裁洲本支部平成19年10月30日判決。
 有限会社である貸金業者及びその取締役に対し、出資法違反の貸付けを行い、支払をさせたことついて損害賠償責任が認められた事例(末尾に画像あり)

  この判決、貸金業を営む有限会社の取締役の対第三者責任認めただけでなく、故意の不法行為をやった者が過失相殺を主張するのは許されないとか、今見るとなかなかいいこと言ってるなあ。

 さて、ここで注目していただきたいのは、不法行為請求は否定されている保証書騙取の事案である。
    ことの起こりは、淡路島の地場のヤミ金業者(ツンデレに弁護士になって初めての懲戒請求をしてくれたお方である。)に家をとられたという人(以下、「家とられ事件原告」という。)の相談を受けたことであった。それでいろいろ調べているうちに、家とられ事件原告のヤミ金様への移転登記が保証書によって行われていることがわかった。保証書というのは、登記済証(いわゆる権利証)を失った者が他者に登記を移転するとき、登記の移転する者が登記名義人と同一であることを保証するという書面である。従って、当然に、保証書は、登記名義人を知らない者が作成するようなものではない。ところが、家とられ事件原告は、保証書を提出した者など知らないという。
 まず、家とられ事件原告の登記申請書に記載された携帯電話番号に連絡して事情を聞くと、この人は、Nという人に雇われていた人で、Nに言われて法務局に行ったことが分かった(法務局から登記手続に関して連絡するときのため、申請書に司法書士等手続に関しての連絡先を書くことが多い。登記申請書にNの関与は全く表れていない。)。Nは、税理士ではないが、洲本市内某所で記帳代行をしているとのことであった。家とられ事件原告に話を聞くと、ヤミ金様に、この記帳代行事務所に連れて行かれていろいろ書類に署名したり捺印したりしたことがあったとのこと。
 次に、ツンデレが保証書の作成者に連絡をとると、保証書を提出した者の一人めは、デイリー信販という貸金業者からお金を借りたとき、いろんな書類に署名したり捺印したと言う。これが上記判決の原告である(以下、「デイリー信販事件原告」という。)。
 そして、保証書の作成者二人めは、Nに記帳代行を頼んだ会社の従業員で、Nに、必要だと言われて実印を預けたことがあるとの話であった。
 ここで家とられ事件原告がヤミ金様に対して、家を返せ、損害賠償しろという訴訟になるわけだが、これについては、一審で負け、高裁で屈辱的な和解をしたので詳しくは書けない。
 この訴訟の中で移転登記に関与したということで、Nも被告に加えたのだが、そこでのNの言い分は、デイリー信販事件判決18頁に出てくる、「被告Kに保証人になってくれる人について相談したところ、原告を紹介されたので、本件保証書の用紙を被告Kに預けた。」というものだった(判決に「証人尋問の中で」って書いてあるな。Nは被告じゃなかったのかな。よく覚えてないや。調べるのめんどい。)。
 ちなみに、Nは、元司法書士事務所の職員で、淡路島の司法書士の間では非司法書士活動をしている者として名が知られているとのことだった。Nは「無料でやっている」と言い張っており、報酬を受けた証拠がないから、問題にできないんだとのこと。
 このような状況で、デイリー信販事件原告の依頼を受けて、デイリー信販事件の提訴となった。保証書騙取関係の請求原因は、要するに、デイリー信販事件原告が、デイリー信販の当時の代表者である被告Kに保証書を騙し取られたというもので、後記の判決のとおりの認定になったわけである。被告Kは、「自分がデイリー信販事件原告に保証書を書かせたのではない。Nに頼まれて、デイリー信販事件原告の実印を預かり、Nに渡しただけだ。」と弁明しているが(判決18頁)、他人の実印を知り合いに頼まれて渡す行為も十分性質(タチ)悪いと思うぞ。
 ここから分かることは、家とられ事件のヤミ金様も、デイリー信販の取締役KもNの知り合いで、ヤバイ筋の登記をNに頼んでいること、主導したのが誰かははっきりしないが、Nを経由してデイリー信販事件原告の保証書が家とられ事件の登記手続に流用されていることである。ちなみに、提訴の少し前、デイリー信販の取締役Kは、出資法違反(高利)で逮捕されたことがあった(判決の9頁に、「本件告訴時点において、被告Kは洲本警察署に勾留中であったから、事情聴取に際し交通費が発生することはない。」という記述がある。)。
 どう思います?
 家とられ事件のヤミ金様とかデイリー信販とか、淡路島のヤバイ筋の登記手続は、全部Nのところに集まっているんじゃないのか?と、ツンデレには思えてならない。淡路島のブラックネットワークというべきだろう。今でもNは同じ場所で記帳代行を続けている。
 最後に、気持ち悪いこと2つ。
 1つめ。家とられ事件のヤミ金様の代理人弁護士は、とある弁護士会の多重債務関係の委員会の委員長で、後にその会の会長になり、数年前、日弁連の副会長であった。

 2つめ。デイリー信販の取締役Kは、現在、弁護士を得意先とする仕事をする会社の社長をしている。ツンデレは、こういう人間が社長をする業者は利用しない方がいいと思う。かつての顧客であった弁護士との間で揉めているとも聞く。

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 子の不祥事(任意保険未加入の死亡交通事故)に関連して,その親が借金までして8桁の弁償金を用意し,弁護士に預ける。裁判所に情状証人として出廷、「できる限りのことはする。」と証言。しかし、子は実刑。
 その後、経緯は不明ながら、弁償金は弁護人が預かったまま。親はやっぱり生活が苦しくなるどうにかならないかと別の弁護士に相談。相談を受けた弁護士は金銭を預っていた弁護士と交渉,返還の約束をとりつける。支払約束したのは被告人で、親ではないという理屈。子は親に迷惑かけるのをよしとしていないとのことなので、民法474条2項の問題もあった(※)。
 ここで、被害者と親双方を知っている関係者が登場。被害者から連絡を受けて出てきたっぽい。市会議員。法律上はともかく、いったん出したお金を引っ込めるのは人間としてどうなのかと親を責め立て,返還請求を撤回させる。さらに返還交渉をした弁護士のところにやってきて,親は法律相談をしにきただけで,返還請求を頼むつもりはなかったと自分に都合のよい作り話。親に「そうでしょ。そうでしょ。」って責め立てたんだろうなあ。契約書があるんだから依頼がなかったなどということはない。弁護士が、報酬金さえ払ってもらえばそれでよい。返還請求をやめるのは親の自由だ(※※)というと,親は老齢でわからないまま署名しただけだ。報酬金を受け取るのは道義的にどうなのかと弁護士を非難。民法474条2項の話とか、法廷で約束したのは「できる限りのこと」で、老齢で何百万円の借金背負って生活できないんだから、もう「できる範囲」超えているでしょって話をしても、
   「いや、法律の話はともかく」
要するに、あんたの一方的な価値観なわけだ。そりゃあ、被害者とその家族はお気の毒だけど、今の日本の法制度からすると、運転した本人のみが悪く、親だから責任をとれという理屈は通用しない。
 まあ,自分の金をどう使おうと持ち主の自由だけどさ。老齢で借金して生活成り立つんですか?できそうにないから返してもらえないかって相談に来たんでしょ。あんた,この親が生活できなくなったら責任とれるの?金出さないやつは無責任なこと言えていいね。親は、「人を殺すということがどんな重大なことか分かりました」って泣いてたよ。人を殺してもいない人を、「人を殺したんだから」って責め立てたんだろうなあ。いったん返してもらって、改めて「できる限り」のことをやってもよかったと思うんだがなあ。
 お年寄り自身に責任のないことでお年寄りを責め立て、その生活を破壊し、この議員が正義が行われたって満足してるであろうことが胸くそ悪い。この件に関してはツンデレの方がおかしいという人がいるかもしれない。でも、世間に嫌われても依頼者を守るのが弁護士というものなのだ。

※ (第三者の弁済) 
第474条1項  債務の弁済は、第三者もすることができる。ただし、その債務の性質がこれを許さないとき、又は当事者が反対の意思を表示したときは、この限りでない。
       2項 利害関係を有しない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない。
※※(委任の解除)
第651条1項  委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
       2項  当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは、その当事者の一方は、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。

   せっかく裁判所から監視していただいているようなので、また裁判所の悪口を書く。

  修習生のころ、妹が仕事を辞め、無職になった。健康保険もなくなったので、裁判所共済組合の手続で、妹をツンデレの扶養家族にし、妹用の遠隔地保険証を発行してもらおうということになった(話のディテールはかなりあやふやになっていて、分かる人が読むと辻褄が合わないことを書いていることを恐れる。要するに、無職の妹をツンデレの扶養家族にしようとしたという話である。)

  書類を整えて、修習先の大阪地裁の窓口に提出してしばらくすると、呼び出しがあった。窓口の事務官の若い兄ちゃんのいうことには、「受け付けられない。」。(ここでツンデレの眉間ピクピク)
  理由は、「子の扶養は親がすべきことだから。」

   どっかーん!

おいこら!お前ら、民法を読め。扶養は誰がすると書いてある?

「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。」だ(877条1項)。

878条1項 も読め。

「 扶養をする義務のある者が数人ある場合において、扶養をすべき者の順序について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、これを定める。 」だ。

 「当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、これを定める。」ってことは、当事者に協議が整ったときは、兄が妹を扶養したっていいんだよ。ここはどこだ?裁判所じゃないのか?裁判所ってのは法律を適用するところじゃないのか。裁判所が法律を無視するのか?それとも家庭裁判所じゃないから民法の解釈はできないとでも言うのか?……
   多分、10分くらい怒鳴りまくった。窓口の兄ちゃん涙目だったな。ごめんよ。あんたの上司が悪いんだよ。途中、兄ちゃんの先輩が出てきて、「いや、社会通念上、子の扶養というものは親がするものでしょ…」

   だから、民法の規定を読めと言っているだろうが!

   最終的に、「家族ので協議して、兄に扶養されてます」というような内容の妹の陳述書作り、大阪地裁は法律の解釈もできないのか?というような文章くっつけて提出して、ようやく認められた。詳細はあやふやなんだが、あの兄ちゃん、もう一回くらい怒鳴りつけた記憶がある。

   裁判所というのは、裁判以外の場で法律に従った処理をしなくても全く気にしないところだという話である。国民としてはかなり恥ずかしいことだと思う。「今後同種の手続をする人が不安を感ずる可能性」のような抽象的な危険で言論に制限を加えようとしても驚くには当たらないというべきか。
   公平を期すために、弁護士のことにも触れれば、残業代を払わないとか、労働法上どうなの?というような法律事務所は結構あるらしい。ツンデレもがんばるから、みんなもがんばろうぜ。

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