ツンデレblog

淡路島の弁護士が考えたこと

October 2013

    一昨日の麻薬密輸組織の経験則において、平成25年10月21日の最高裁第一小法廷の決定について、密輸組織が確実な回収をするためには、その回収方法についても指示等をするのが通常であるというところから、どうして、運搬者に自分が覚せい剤を運搬しているという故意が認識できるのか分からないということを書いたところ、先輩の弁護士から、「最高裁決定の論旨は未必の故意の認定ではないか」というご意見をいただいた。
    たしかに最高裁決定は、

本件では,上記の特段の事情はなく,被告人は,密輸組織の関係者等から,回収方法について必要な指示等を受けた上,本件スーツケースを日本に運搬することの委託を受けていたものと認定するのが相当である。

とした上、

原判決は,そのほか,被告人の来日目的は本件スーツケースを日本に持ち込むことにあり,また,被告人の渡航費用等の経費は密輸組織において負担したものと考えられるとし,さらに,そのような費用を掛け,かつ,発覚の危険を冒してまで秘密裏に日本に持ち込もうとする物で,本件スーツケースに隠匿し得る物として想定されるのは,覚せい剤等の違法薬物であるから,被告人において,少なくとも,本件スーツケースの中に覚せい剤等の違法薬物が隠匿されているかもしれないことを認識していたと推認できるとし,このような推認を妨げる事情もないとしているが,この推認過程や認定内容は合理的で,誤りは認められない。

といって故意の認定をしている。

「被告人は,密輸組織の関係者等から,回収方法について必要な指示等を受けた上,本件スーツケースを日本に運搬することの委託を受けていたもの」
という事実に加え、
「被告人の来日目的は本件スーツケースを日本に持ち込むことにあったこと」
及び
「被告人の渡航費用等の経費は密輸組織において負担したもの」
という事実から、最高裁は
「そのような費用を掛け,かつ,発覚の危険を冒してまで秘密裏に日本に持ち込もうとする物で,本件スーツケースに隠匿し得る物として想定されるのは,覚せい剤等の違法薬物であるから,被告人において,少なくとも,本件スーツケースの中に覚せい剤等の違法薬物が隠匿されているかもしれないことを認識していたと推認できる」
としたのだというご意見である。

    なるほど、指摘を受けると、確かにそのように読むのが正しいように思われる。

    しかしだ。これ、事実上過失犯の処罰じゃないのか?

    費用を掛け,かつ,発覚の危険を冒してまで秘密裏に日本に持ち込もうとする物で,本件スーツケースに隠匿し得る物として想定されるのは,覚せい剤等の違法薬物であるなんて言い切っていいのか?わいせつDVDや偽造紙幣かもしれないじゃないか。最高裁は、なんかアブナイ物の運搬を頼まれた以上、それが違法薬物の運搬と認定されても仕方ないんだと言っているように思える。
    しかも、この認定の仕方は、過失犯の認定と比較しても無理がありすぎる気がする。なんらかの結果発生の危険があると認識していた場合(予見可能性)にはそれを回避すべき行動をとるべき(回避義務)であり、うっかりその回避行動をとらずに結果を発生させた場合に、過失犯が成立するとされている。しかし、その「なんらかの結果発生の危険がある場合」というのは、漠然と「このままではなんらかの事故が起きるなあ」というような抽象的な危険では足りない。その程度では過失犯が成立するための結果回避義務は生じないと考えられているのだ。
    例えば、先日のJR西日本の尼崎脱線事故に関する歴代社長の無罪判決では、神戸地裁は、「当時はATSを設置する法的義務はなかった。社内でも脱線の危険性は検討されておらず、ATSを整備すれば脱線は回避できたとの認識にはつながらない」と判断して予見可能性を否定したと報道されている。「あそこのカーブはなんだか危ないよな」という程度では予見可能性があったとは言えないというのである。事故直前の運転状況に照らして、「この電車はこのままでは脱線する」という具体的な危険がある場合でないと予見可能性があったとは言えないというのがこれまでの裁判実務である。
    もちろん、学説のレベルでは、それでは予見可能性の範囲が狭すぎる。公害なんかは化学物質を工場から出したらどこでどんな結果をもたらすか事前に予見することは不可能なのだから、なんだか漠然と将来の危険が危惧されるという程度の危険が予見できれば過失犯成立の前提となる予見可能性はあると言っていいんだ。という見解もあるにはある(「危惧感説」と呼ばれている。)が、ごく一部を除き、実務では採用されていない。
    過失犯でさえ発生する結果に対する具体的予見が必要とされているのに、密輸に関する今回の最高裁決定は、抽象的に、運搬物が薬物であるかもしれないと推認されるような具体的な事情の認定すらなく、「なんだかアブナイ物みたいだ」という程度で、中身が覚せい剤であると認識してよいとしたものと評価できるのではないか。
    先輩のご指摘を受けた後も、ツンデレの無茶苦茶だなという感想に変化はない。

    平成17年に当時の扶助協会を利用して代理援助契約を締結し、自己破産申立ての依頼をしたが、その後現在に至るまで放置されているという相談を受けた。法テラスとも相談して、元の援助契約を解約して当職が新たな債務整理を行うという方針でいくことにした。なお、相談者はなんども弁護士に問い合わせしたが返答がなかったと言っている。
    当初、8年間取引がないのであるから、債務はほとんど消滅時効(5年の商事時効)にかかっているのではないかと思われた。弁護士が受任通知をした場合、業者から債務者に対する直接の督促は金融庁の通達により禁止されているから、受任通知をしておいて時効の援用をすることは信義則上許されないのではないかという見解もあるにはあるのだが、最三判平成25年4月16日民集第67巻4号1049頁のいわゆる「時効待ち」事件において、最高裁は、債務者に債務を完済するに足りる財産がある場合について、「このような事情の下においては,債務整理に係る法律事務を受任した被上告人(ツンデレ注:弁護士)は,委任契約に基づく善管注意義務の一環として,時効待ち方針を採るのであれば,Aに対し,時効待ち方針に伴う上記の不利益やリスクを説明するとともに,回収した過払金をもってDに対する債務を弁済するという選択肢があることも説明すべき義務を負っていたというべきである。」と判示している。これは弁護士が受任通知した後も時効の進行は止まらないということを前提としているように思うのだがどうだろう。
    さて、話をツンデレが受任した事件について戻す。この事件において、債権者に受任通知をして債権届けをしてもらったところ、1社について平成23年に信販会社が代位弁済していることが判明し、そこから相談者に求償権があるという債権届けが出された。
    平成23年からであればまだ5年は経過していない。他は消滅時効でいけるにしても、この債権者に消滅時効の抗弁は通用しなさそうだ。金額は数十万円であるが、相談者は生活保護受給者であり、分割弁済はできない。結局自己破産を選択するしかなさそうだ。
 
    と、この業者の債権届けを恨めしそうに見ているうち、あることに気付いた。

平成17年に自己破産決意して、弁護士に依頼して、その後支払がないんだったら、平成23年の信販会社の代位弁済は、自己破産決意してから5年経ってからじゃん。

    平成17年に自己破産の決意をして分割払いをやめたというのであれば、その時点で期限の利益を喪失しているはずである。消滅時効はそこから始まっていることになる。商人である株式会社の付属的商行為に基づく債権だから、消滅時効の期間は5年だ。信販会社の支払は時効完成後の支払だ。これなんか言えないかな。たしか、保証人が支払っても主債務者は時効を援用できるとかなんとか…(ウソである。そんな判決はない。保証人について時効の中断事由が生じても主債務者は主債務の時効を援用できるという大昔の大審院判決(大判昭和5年9月17日新聞3184号9頁)はあるが。)。
    で、調べたところ、東京高裁平成11年5月25日金商1078号33頁という判決例を見つけた。
事案は、主債務者の銀行に対する借受金債務の委託を受けて連帯保証した信用保証協会が、主債務につき消滅時効が完成した後に主債権者に代位弁済し、主債務者に求償請求したというもの。保証委託契約には、民法463条、443条による保証人の事前通知義務を免除する特約があった。

     議論は、民法459条(委託を受けた保証人の求償権)1項の「債務を消滅させるべき行為」の解釈をめぐって行われたようだ(当該事件で保証人が弁済をしたのは平成16年の民法ひらがな化より前なので、当時は「債務ヲ消滅セシムヘキ行為」。)。
    つまり、時効の効果に関し不確定効果説をとれば、債務はまだ消滅していないから「債務」は存在することになるし、確定効果説をとれば、債務はすでに消滅しているから、弁済は「債務を消滅させるべき行為」とは言えない。確定効果説と不確定効果説の争い。これが1つ(①)。
    また、不確定効果説をとった場合でも、時効が完成している場合は、保証人が支払をしたところで主債務者には利益がないから、「債務を消滅させるべき行為」とは言えないのではないか。これが2番目(②)。
    最後に、保証人の事前通知義務を免除する特約がある場合、事前通知なくして支払をした保証人に過失がないと言えるかどうか。通常は、弁済をする前の通知をせずに保証人が支払をすると、保証人に過失があるので求償はできないということになるのだが、事前通知義務を免除する特約がある場合はどのように考えるべきか (③) 。
     の各点が問題となったのである。

    上記の各点について東京高裁(鬼頭季郎、慶田康男、廣田民生)は、①消滅時効の効果は不確定効果説であるから、弁済時債務がなかったとは言えない。②委託を受けた連帯保証人が主たる債務の消滅時効の援用ができるのにそれをせずに弁済をして主債務を消滅させても、それは主債務者に利益をもたらすものではなく、主たる債務者のためにする保証委託契約の本旨に適うものとは認め難く、連帯保証人には主債務者に対して求償し得ないものと解さざるを得ない。③本件事前通知免除の特約は、保証人において、その代位弁済に当たって事前通知をしなかったことを原因として、主債務者が債権者に対して有する抗弁をもって本件代位弁済に基つく求償権の制限を、原則として主張し得ない効果をもたらすものというべきであるが、保証人において、主たる債務者に対して事前通知のあるなしにかかわらず、保証人において容易に判断して行使し得べき抗弁等を、主債務者のために自主的に行使する責務を軽減する効果を有するものではない。とそれぞれ判断し、「控訴人は、本件保証委託契約に基づく連帯保証人であるから、その弁済は自己の連帯保証債務によるものであっても、主債務者との関係では弁済は委任事務の処理であり、その求償は、その実質は委任事務処理費用の償還請求の性格を有するものである。したがって、右委任事務の処理に当たっては善管注意義務が存するので、右注意義務に違反して主債務者である被控訴人太郎の訴外銀行に対する消滅時効等の抗弁権が存在するときには、これを被控訴人太郎の利益のために援用すべきであり、これを看過したときは、信義則上その代位弁済に基づく求償はなしえないものと解するべきである。」と結論づけた。
 
    この判決、今後も意外と使えそうな気がする。

民法459条(委託を受けた保証人の求償権) 1項
保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、過失なく債権者に弁済をすべき旨の裁判の言渡しを受け、又は主たる債務者に代わって弁済をし、その他自己の財産をもって債務を消滅させるべき行為をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対して求償権を有する。

  平成25年10月21日のことだが、「第一小法廷は決定で、密輸組織が密輸先で運搬者から覚せい剤を確実に回収できる事情がない限り、運搬者は組織から回収方法について指示を受け運搬を委託されていたと認めるのが相当と判断した。」という報道がなされた。

  事案は、成田空港の税関で、来日した外国人の手荷物の中から覚せい剤が見つかったというもので、その外国人が手荷物の中に覚せい剤が入っていることを知っていたかどうかが争点となっていた。その外国人が起訴された覚せい剤取締法違反(覚せい剤輸入かな?)は、故意犯のみを処罰する規定であり、被告人に覚せい剤を輸入しているという認識がなければ罪は成立しないからだ。

  先のニュースを見て、違和感を覚えた法律家は多かった。ネットではこの記事を読み、首をかしげる意見が大多数であったと思う。
  刑事事件においては「疑わしきは被告人の利益に」の大原則があり、犯罪の成立要件のすべてについて検察側に挙証責任(立証責任)があるとされている。だから、自身が覚せい剤を輸入しているという認識があったことも検察が立証しなければいけないはずなのだが、上記の最高裁の判断によると、被告人側で、「密輸組織が密輸先で運搬者から覚せい剤を確実に回収できる事情」を立証しない限り、運搬者は組織から回収方法について指示を受け運搬を委託されていたと認められてしまう(つまり、覚せい剤を輸入しているという認識があったものと認定されてしまう)ことになるからである。これは「疑わしきは被告人の利益に」の大原則を無視するものではないか?との疑問を多くの法律家が抱いたのも頷けるところである。
 もっとも、実際危惧したとおりの判断なのかは、決定文の一部を切り取ったニュース記事だけでははっきりしないから、実際そうであるかどうか自分の意見を言うためには、実際に決定文をすべて読んでからでないといけない。
 で、↓がその決定の全文である。
http://kanz.jp/hanrei/data/html/201310/20131023092307.html

  最高裁は、密輸組織の合理的行動は次のようなものであるという。
 「密輸組織が多額の費用を掛け,摘発される危険を冒してまで密輸 を敢行するのは,それによって多額の利益が得られるからに他ならず,同組織は,上記利益を実際に取得するべく,目的地到着後に運搬者から覚せい剤を確実に回収することができるような措置を講じるなどして密輸を敢行するものである。そして,同組織にとってみれば,引き受け手を見付けられる限り,報酬の支払を条件にするなどしながら,運搬者に対して,荷物を引き渡すべき相手や場所等を伝えたり,入国後に特定の連絡先に連絡するよう指示したりするなど,荷物の回収方法について必要な指示等をした上,覚せい剤が入った荷物の運搬を委託するという方法が,回収の確実性が高く,かつ,準備や回収の手間も少ないという点で採用しやすい密輸方法であることは明らかである。これに対し,そのような荷物の運搬委託を伴わない密輸方法は,目的地に確実に到着する運搬者となる人物を見付け出した上,同人の知らない間に覚せい剤をその手荷物の中に忍ばせたりする一方,目的地到着後に密かに,あるいは,同人の意思に反してでもそれを回収しなければならないなどという点で,準備や実行の手間が多く,確実性も低い密輸方法といえる。そうすると,密輸組織としては,荷物の中身が覚せい剤であることまで打ち明けるかどうかはともかく,運搬者に対し,荷物の回収方法について必要な指示等をした上で覚せい剤が入った荷物の運搬を委託するという密輸方法を採用するのが通常であるといえ,荷物の運搬の委託自体をせず,運搬者の知らない間に覚せい剤をその手荷物の中に忍ばせるなどして運搬させるとか,覚せい剤が入った荷物の運搬の委託はするものの,その回収方法について何らの指示等もしないというのは,密輸組織において目的地到着後に運搬者から覚せい剤を確実に回収することができるような特別な事情があるか,あるいは確実に回収することができる措置を別途講じているといった事情がある場合に限られるといえる。したがって,この種事案については,上記のような特段の事情がない限り,運搬者は,密輸組織の関係者等から,回収方法について必要な指示等を受けた上,覚せい剤が入った荷物の運搬の委託を受けていたものと認定するのが相当である。」
  確かに密輸をする側とすれば、輸入国側で目的物(覚せい剤)を回収できなければ、輸出(輸入)の目的を達成できないわけで、できる限り確実に運び屋から回収する手段を選ぼうとするだろう。そこは頷けるところである。そして、確実な回収をするためには、その回収方法についても指示等をするのが通常であろう。ここまでは正しいと思う。

しかしだ。

  なぜそこから「密輸組織において目的地到着後に運搬者から覚せい剤を確実に回収することができるような特別な事情があるか,あるいは確実に回収することができる措置を別途講じているといった事情がない限り,運搬者は,密輸組織の関係者等から,回収方法について必要な指示等を受けた上,覚せい剤が入った荷物の運搬の委託を受けていたものと認定するのが相当である。」になるのかがツンデレにはわからん。

  密輸組織が荷物が覚せい剤であることを運搬者に知らせず、回収方法について必要な指示をすることは普通にあるのではないか?最高裁自身が、「密輸組織としては,荷物の中身が覚せい剤であることまで打ち明けるかどうかはともかく,運搬者に対し,荷物の回収方法について必要な指示等をした上で覚せい剤が入った荷物の運搬を委託するという密輸方法を採用するのが通常であるといえ」ると言っているところである。密輸組織が覚せい剤であることを打ち明けて運搬を依頼するのが通常であることの理由をこの最高裁決定は何も説明していないと思うのだ。

  最高裁は、ひたすら、回収方法について指示を与えず荷物の運搬委託をする方法が不合理だと言っているにすぎない。回収方法について指示を与えない荷物の運搬委託が不合理であると、なぜ中身についての説明まですることが合理的だということになるのか。中身を知らせない方が係官の前でおどおどしたりぜず却って怪しまれないというメリットがあるのではないか。
  あるいは、最高裁は、回収方法について指示を与えない荷物の運搬委託が不合理であるのにもかかわらず、それについて合理的な説明をしない本件被告人の態度から覚せい剤の認識を認定してよいということかもしれない(決定文からはそのように読めないのだが)。しかし、被告人の弁解を信用できないことと、覚せい剤であると知っていたと推認されることは別の話である。被告人の話が信用できないから有罪というのはそれこそ「疑わしきは被告人の利益に」の原則に反するものだろう。
   あと、この決定を読んで思ったのは、最高裁は、密輸組織は絶対にミスをしないと決めてかかっているということ。密輸組織がうっかり回収方法について説明し忘れるとか、すでに説明してある運び屋(蔭山文夫)と間違えて、全く別の人(影山史雄)に荷物を渡すなんてこともないとは言えないと思う(ヒッチコックの映画にありそう)。この事件でそういうことが起こりえるかは別として。
  報道されるところによると、裁判員裁判が始まって以来、この手の密輸入事案での無罪判決が多数に昇っており、検察庁が立証の強化に力を入れ始めていたところだという。今後、この最高裁決定に従い、この種の事案で裁判所が雑な認定をすることになると思うとツンデレは憂鬱な気持ちになる。

現在消費者庁に出向中だという弁護士さんから、
 元社長ら、詐欺は不起訴=安愚楽牧場事件の捜査終結-東京地検  
を見たといってDMをもらった。

ツンデレは、上のエントリの中で、

 例えば、その破綻した事業について費用国庫仮支弁で債権者が違法行為がないか裁判所に調査を申し立てられる制度とか、内部文書等の閲覧謄写の制度とか、事業の遂行に特定の違法行為があった場合には、過失の有無を問わず、経営者に受けた利益の限度で法人への返還義務を認めるとか(もちろん事情を知って財産を譲り受けた者も同じ。)、あとおなじみの強制執行の実効化とか、弁護士は、こんな制度があったらいいなといろいろ夢想しているのだが。

と書いたのだが、それを見て、今消費者庁でそういうことを検討しているので、提案があるんでしたらしてください。という連絡をくれたのだった。

ただ、
「法務省など他省庁の所管事項などになると消費者庁としてはいかんともしがたいこともありますので、ご了承下さい。」
とも書かれていた。

おや?

その後、安愚楽とは関係ないけど、ちょっと思いついたので、振り込め詐欺救済法に基づく口座凍結に関連して、ちょっと使いづらいところがあったので、それについて提案をしたところ、その消費者庁の職員さんからの返事が

ただ、私も最近消費者庁に来て初めて知ったのですが、実はこの法律は議員立法で制定されたものであり、それを内閣が改正するというのは信義則(?)上避けるべきとされているので、行政庁にはなかなか手が出しにくいところのようなのです。議員立法の際にも法務省や金融庁あたりが裏で動いていたとは思うのですが‥‥。
最近の立法ですし、立法に関与していた議員に働きかけるのが正攻法ではあります。


あら?

手元に大羽宏一編「消費者庁誕生で企業対応はこう変わる」日本経済新聞出版社(2009)ていう書籍があるんですけどね。それのはしがきにはこう書いてあります。

 もともとわが国の行政組織は、明治時代の産業振興策に基づいて形成されたものだと言われます。そのため、縦割り行政であるのは当然と認識されていました。事実、わが国が戦後速やかに復興できたのも、縦割りの行政システムがあったからこそであるという意見も多いでしょう。しかしながら、経済の成長が停滞し、また社会が成熟する中で、事業者中心の縦割り行政の弊害が種々指摘されており、反省の機運が高まっています
 そこで福田首相は、「消費者を主役とする政府の舵取り役」として、消費者行政を一元化する消費者庁を新設すべきであると提唱していましたが、残念なことに08年9月に辞任してしまいました。この後を引き継いだ麻生太郎首相は、ねじれ国会の中、最後には民主党との協議を行い、合意に至りました。


もう1つ、やっぱり手元にある打川和男「最新消費者保護と苦情対応がよ~くわかる本」秀和システム(2010)という本の10頁にもこう書いてあります。
 各省庁たて割りになっていた消費者行政を統一的・一元的に推進するために消費者保護に関する行政を一元化し、消費者保護を実現するための新組織として、2009年9月に消費者庁が誕生しました。

 消費者庁がめざしているのは、古い行政モデルである「たて割り行政」からの脱却です。それまでの消費者行政がたて割り的に行われてきたのは、各省が国民経済発展のために事業者の保護育成を進める中で、「消費者保護」はあくまでも派生的なテーマとしてとらえられていたためです。しかし、「受付拒否」や「たらい回し」などの受付体制に関する問題や、関連省庁の間で連携が取られないために、重大な消費者問題が解決できないなどの事態が発生したことで、消費者行政を一元化し、政府の対応力向上をめざすべきであるという議論が高まりました。

いよいよ、ツンデレが上記の2冊を買ったのは消費者被害か?

このページのトップヘ