facebookで聞いた話なんだが、福岡家裁では、「離婚後300日以内に生まれた子の話」で触れた最高裁昭和44年5月29日決定民集23巻6号1064頁の、子から父親に対する認知について、母親の夫(父親であると推定される人)に対する調停を経た後でないと受け付けない扱いにしているとか。しかも、その理由は、母親の夫の、子の本当の父親に対する損害賠償請求権が、母親の夫の知らないまま時効にかからないようにするためだとか。

 うーん。不法行為に基づく損害賠償請求権って、これまた「「そして父になる」を法律的に分析する。の続きの続きの続き」で説明したように、被害者が加害者及び損害を知った時から3年又は不法行為の時から20年で消滅すると定めている(民法724条)。つまり、3年の消滅時効の方は、母親の夫の知らないまま時効にかかるということはあり得ない。また、20年の期間制限は、細かい話だが、時効でなく除斥期間だと考えられている(援用の要否、中断の有無等について違いがある。)。

 要するに、もし福岡家裁が冒頭に書いたような扱いを本当にしているのなら、なんか勘違いというか明後日を向いた理由に基づいて行っているような気がしてならない。「離婚後300日以内に生まれた子の話」にも書いたとおり、元夫(下手すりゃ現夫)と連絡とるのが嫌で、戸籍が作られていないような子どもが多数現れ、社会問題になったわけだ。福岡家裁の扱いは、この社会問題にますます拍車をかけるもののように思える。子の本当の父親の証拠隠滅に協力しているような感覚なのかなあ。そうだとすると、自分の責任を回避するために最高裁の認める認知請求の手続を否定しているようでとても嫌な感じがする。



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