19年前の殺人事件 告白した矢野治死刑囚を逮捕 警視庁 死刑囚逮捕は極めて異例
http://www.sankei.com/affairs/news/170410/afr1704100010-n1.html
 平成10年に失踪した会社役員の斎藤衛さん=当時(49)=を殺害したとして、警視庁組織犯罪対策4課は10日、殺人容疑で、元暴力団組長の矢野治死刑囚(68)=ほかの殺人罪で死刑確定=を逮捕した。
 確定死刑囚の逮捕は極めて異例。

 いやあ、裁判所やってくれますわw 勾留までいくのかどうか注視したい。
 刑事訴訟法上、逮捕状による逮捕の要件は、刑事訴訟法199条に規定されている。
1項 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。ただし、30万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、2万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪については、被疑者が定まった住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合に限る。
2項 裁判官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、検察官又は司法警察員(警察官たる司法警察員については、国家公安委員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者に限る。以下本条において同じ。)の請求により、前項の逮捕状を発する。但し、明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、この限りでない。
3項 検察官又は司法警察員は、第1項の逮捕状を請求する場合において、同一の犯罪事実についてその被疑者に対し前に逮捕状の請求又はその発付があったときは、その旨を裁判所に通知しなければならない。
「嫌疑の相当性(199条1項本文)」と、「逮捕の必要性(199条2項ただし書、刑事訴訟法規則143条の2)」が要件とされているわけだ。
 逮捕には、逮捕状による逮捕のほか、現行犯逮捕と緊急逮捕というのがあるが、19年前の殺人に現行犯逮捕があるわけはないし、緊急逮捕の要件は、「急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないとき」となっているので、どちらも考察の対象外とする。
 したがって、この死刑囚が逮捕されたということは、この死刑囚に、「嫌疑の相当性」と「逮捕の必要性」が認められたことを意味する。
 ツンデレが、なんだこりゃと思ったのは、このうち、刑事訴訟法199条2項ただし書の「逮捕の必要性」については、一般に、「逃亡のおそれまたは罪証隠滅のおそれがある等のため身体の拘束が相当であることをいう。」と解されているからである(刑事訴訟規則143条の3が、「明らかに逮捕の必要がない場合」について、「逮捕状の請求を受けた裁判官は、逮捕の理由があると認める場合においても、被疑者の年齢及び境遇並びに犯罪の軽重及び態様その他諸般の事情に照らし、被疑者が逃亡する虞がなく、かつ、罪証を隠滅する虞がない等明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、逮捕状の請求を却下しなければならない。」と定めている。)。
 ということで、死刑囚が逮捕されたということは、この死刑囚に、「逃亡の虞がない」とか、「罪証を隠滅する虞がない」と認められなかったことになるからである。
 
 いや、本当にすごいわ

 死刑囚って、拘置所にいる人ですぜ、逮捕しなかったら娑婆で自由にしてる人と違うんだよ。24時間体制で監視されているというのに、どうやって逃亡するの?逃亡のおそれを心配しなくちゃいけないような人なの?
 罪証を隠滅する虞って、どうやって? 死刑囚の外部との連絡は、未決のまま勾留されてる被疑者よりはるかに制限されてるんだけど… 勾留したら、弁護人との接見に原則として制限なくなるとしたら、死刑囚のままのときより罪証隠滅しやすくなるんと違うか? 誰か××や●●に入る語句を教えてくれよ。
××に照らせば、被疑者が●●に対して自己に有利な供述を得ようと働きかけたり、共犯者との間で共謀状況について口裏を合わせたりするおそれが十分あり、罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由が認められる。
 この死刑囚については、もうすでに勾留請求がされているかもしれないが、勾留の要件は、刑事訴訟法60条1項が規定している(60条は起訴後の勾留についての規定だが、要件については207条で起訴前の勾留に準用されている。)。
第60条  裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。
一  被告人が定まつた住居を有しないとき。
二  被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
三  被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
実際の勾留状は、どれに当たるのか、チェックする欄がある。
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 勾留請求を受けた裁判官、準抗告を受けた裁判所が、逃亡のおそれの相当理由や、罪証隠滅の相当理由について、どのような判断をするか非常に興味深い。

 まあ、多分、捜査の便宜のために警察の留置場で勾留してほしい(拘置所までいくのがめんどう)というのが捜査機関の本音なんだろうなあ。





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