2005年07月19日

楽しいビジネス書?

『儲かる古道具屋裏話』   魚柄仁之助/文春文庫PLUS

古道具・・・ってなんだか魅力的な響きじゃありませんか?
骨董品とかアンティークっていうと敷居も値段も高い感じだけれど、古道具っていうと、特に高い価値はなくても「普通の人が大切に使ってきたいいもの」っていうイメージ。
そう、まさにうちのおばあちゃんが昔から使い続けている、無水鍋とかホーローのバットとか、そういう感じです。
そんなものを集めたお店があったら楽しいだろうな。
薄暗い店内にいくつか裸電球がぶらさがっていて、家具から小物からわけのわからない部品までごちゃごちゃと無造作に置いてあって、行くたびに「今日はどんなものが出てくるんだろう」ってわくわくしちゃうようなお店・・・

実はこの本自体が、まさにそんなわくわく感を感じさせてくれる内容でした。
15年近く古道具屋を続けてきた著者が、とことん売れた商品や、売れなかったけれどちょこっと手を加えることで売れ筋商品に変えたもの、こんな変なものも売りました、なんていう話を次から次へと繰り出してきます。
しかも一冊通してばりばりの福岡弁。まるで落語家の話でも聞いているようなテンポのよさです。
話のおもしろいおっさんのいる古道具屋で、掘り出し物をどんどん見せられているみたいな気分。
この人のお店はほんとにそんな感じなのかもしれません。

そしてただの経験談にとどまらず、商品をどこでどうやって仕入れるのか、仕入れのコツから失敗しないための経営戦略まで書いてある。
これって立派なビジネス書じゃん!しかも机上の理論ではありません。
今までにあったあんなおもしろ話やこんな人情話がちりばめてあって、楽しみながらビジネスの基本も学べちゃう。
といっても、この人の理想はどんどん店舗を拡大していくことなどではなく、好きなことをやる時間がたっぷりとれてしかも儲かること。
なので、一般的なビジネス書とはやはり少し違うのかもしれません。
(私はビジネス書を読まないのでよくわかりませんが・・・)

ただ、どんなビジネスでも根っこのところで一番大事なのは「人を大切にすること」ですよね?お客さんにしろ仕入先にしろ同僚にしろ・・・
そんなことはこの本には書いていませんが、結局この著者が楽しく商売を続けられている一番の秘訣は、そこなのではないかと思いました。
あやしいオヤジっぽいけど、商売のしかたとか、お客さんや仕入先とのつき合い方とかが、清廉潔白でとてもすがすがしい。
27歳で古道具屋を始めて以来、一貫して楽しく商売してきた人の、知恵と工夫のエッセンスがたっぷり詰まったおすすめの一冊です。

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