2005年08月26日

皇帝ペンギン

フランスで大ヒットを記録したという、噂のドキュメンタリー映画「皇帝ペンギン」を観てきました。
ペンギンといえば、あの不器用なよちよち歩きやぽこんと出たお腹からくるユーモラスなイメージと、水にもぐったとたんうって変わってスピーディに自在に泳ぎ回るかっこよさとのギャップが、なんともいえず魅力的です。
だけど、この映画に見る皇帝ペンギンの魅力は、そのどちらでもありませんでした。

彼らの生活場所は、自由に動き回れて食料が豊富にある海と、南極中のペンギンが集まって繁殖から子育てまでを行うコロニーです。
一番の問題は、その海とコロニーが遠く遠く離れていること。
海からコロニーへ行くにも、コロニーからえさを求めて海へ行くにも、彼らの足では10日も20日もかかるのです。

繁殖期になると、ペンギンたちはコロニーをめざして隊列を組み、一斉に行進を始めます。
来る日も来る日も歩き続けて、同じように方々から歩き続けてきたペンギンたちが、示し合わせたかのようにある日同じ場所に到着するのだそうです。

そこでペアを組んで作ったたったひとつの卵を、それぞれ命がけで守っていきます。
生まれてくる子どものために、エサを求めてメスが海へと再び行進の旅に出ている間、
残されたオスは、何も食べずに激しいブリザードと戦いながら、卵を温めます。
メスがようやく戻ってくる頃、オスのお腹の下では卵が孵ってヒナが顔を出しています。
そして今度はオスがヒナをメスに預けて、海へと帰る番。

こうして、ペンギンたちはかわるがわる卵やヒナを守りながら、長い長い旅をするんです。
受け渡しがうまくいかずに割れてしまう卵や、旅の途中で力尽きてしまう親や、大きな鳥にねらわれて命を落とすヒナももちろんいます。
すべてがうまくいって、生き延びていけるのは1/200の確立だとか。
氷の上で楽しく生きていると思っていたペンギンの世界は、こんなにも厳しかったんですね。

動物の世界では、大群になることで天敵から身を守る生き物がたくさんいます。
群れになって敵が近づけないようにしたり、みんなで力を合わせて追い払ったり、
もしくはある程度が敵にやられても相当数が残るように。
そういう意味では、皇帝ペンギンにとっての天敵とは「寒さ」なのです。
特に卵やヒナは、マイナス40℃の寒気にさらされたら生き延びることはできません。
彼らはコロニーに集まり、集団で身を寄せ合い暖をとることで、冬を越すのです。

容赦のない氷と吹雪の世界の中で、卵やヒナを守っているあのお腹の下の暖かそうなこと。
円陣の外側で強風にさらされている仲間を、順番に内側に動かしていくという驚くべき団結力も、親に守られて無事生まれたヒナのふくふくした毛皮の質感も、外の世界の厳しさゆえに一層のぬくもりを持って胸に迫ってくるのかもしれません。
音楽も映像も構成も、BBCとはまた違った、フランスらしいドキュメンタリーだと思いました。

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この記事へのコメント
絶対に見たいと思ってたの!そして、あなたはきっと見るに違いないと確信してました。このペンギンくんたちの生態については何度かドキュメンタリーで見たことがあるけど、この映画はやっぱり見逃せないねますます見たい気持ちが高まりました。
Posted by 盆栽のさきっぼ at 2005年08月30日 18:53
見るときは絶対に字幕版を見てね!
ペンギンにフランス語しゃべらせたら、すごい哀愁ただようから(^^)
なんだ〜、そんなことなら誘えばよかったよ。
これ系は趣味が偏ってるから、なかなか普通の人は誘えなくて、
ひとりで行っちゃうことが多いんだ。
Posted by balloontrip at 2005年08月30日 20:27